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防災インタビューVol.111

子どもたちの命を守る防災教育

放送月:2014年12月
公開月:2015年7月

矢崎 良明 氏

板橋区教育委員会学校防災・安全教育専門員

避難訓練の見直しの必要性

以前の避難訓練は、まず最初にサイレンを鳴らして「訓練地震です。机の下に潜りましょう」というふうにやっていましたが、実際には机の下に潜る前に地震は来てしまっていますので、放送は間に合いません。また、机の下に隠れるといっても、休み時間だったり、校庭にいたり、水泳をやっていたり、子どもはいろいろな場所にいるわけで、「机の下に隠れましょう」とだけ言っても対応できません。もう一つ不思議なのは、避難訓練というとみんな必ず校庭に出るのですが、本当に地震の時には校庭に出なくてはいけないのかどうか、結構疑問に思いました。大雨でも大雪でも地震は来ますので、そういうときに校庭に出ようと思っても出られなかったら、子どもたちは困ってしまいます。東日本大震災でも実際にあった話に、ある学校の校長先生が、校庭に出ようと思って校庭を見たら液状化して波を打っていて、とても出られなかったというのがあります。別の学校では、校庭に出ることは出たけれど、当時ものすごく寒くて雪が降っていて、子どもたちが寒さに耐えきれなくなってしまい、グラグラ揺れている校舎の中を先生方がまた上がっていって、2階、3階からジャンパーやコートを校庭にいる子どもに投げて着させたという話もあります。それなので、ただ単に「地震の際には校庭に出よう」という訓練を見直す必要があります。校舎が鉄筋コンクリートで耐震補強されている学校は、校舎がつぶれるということはまずないので、校舎の中にいてもいいわけです。

今までやっていた避難訓練も、当たり前のようになっていますが、よく考えてみると見直す観点が出てきています。また、マニュアル化された避難訓練を経験して、いつも先生の指示に従っていると、子どもは目の前の状況に対して融通が利かず、即判断ができなくなってしまいます。最近は緊急地震速報が普及していますが、やはり「緊急地震速報をいかに活用してやるか?」というのが、これからの避難訓練の改善の視点になると思います。地震速報が鳴ったら、すぐにものが倒れてきたり、落ちたりしない場所に移動することが大切です。

「緊急地震速報」で身を守る

緊急地震速報というのは、最近は私たちも日常的に耳にするものですが、精度も高くなってきていますので、避難訓練の中にこの緊急地震速報を取り入れるのがいいと思います。または緊急地震速報の設備が整っていなくても、例えば「ティロンティロン」という音に反応して自分の命を守れる子どもをつくっていくことが大切で、そういう訓練を今後ぜひ進めていく必要があると思います。

やはり気象庁もこの緊急地震速報は、身を守る一つの手段として非常に有効だと力を入れていますので、学校教育の中でもこれを取り入れた訓練というのは重要だと思っています。ですから、学校の避難訓練で取り入れるときには、「ティロンティロン」という報知音を鳴らして、鳴った途端に上から物が落ちてこない、横から物が倒れてこないような所を自分で見つけて、そこに身を寄せるという訓練をしておくと、学校だけでなくて家庭でも、どういう場所にいても反応でき、自分の命を守ることができるので、日ごろから学校でやっておくことは非常に意義があると思います。

ただ、この非常に有効な緊急地震速報も、万能ではないということを私たちは知っておく必要があります。緊急地震速報には2種類ありまして、テレビやラジオなどの放送から流れてくる「一般向け」のものは、気象庁が地震のP波を感知してから10数秒から20秒で届きますが、直下型地震とか震源が近い地震には間に合わないかもしれません。ところがインターネット配信している、いわゆる「高度利用者向け」のものは、鉄道会社やガス会社、電気会社など、すぐに止めないといけないところで使われているので、速報は大体4秒で来ます。しかしながら、テレビやラジオで流れているのは、もしかしたら揺れのほうが先に来て、緊急地震速報が間に合わないこともあるということを十分承知しておく必要があると思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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