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防災インタビューVol.113

防災 ~イメージ力で命を守る~

放送月:2015年2月
公開月:2015年9月

石井 修一 氏

司法書士 元ディズニーランド危機管理担当

行政書士として、防災士として

現在の本業は行政書士なのですが、私は行政書士をする際にテーマを三つ考えました。一つは「自分の体、命に関する安全」「自分の意思能力、考える力」「認知症や財産などに関する備え」です。これは皆違うように感じるのですが、本当はつながっています。例えば急に相続が発生したとすると、お金に関することが急に出てくるわけです。それを財産に対する災害の一つだと考えると、きちんと相続しておかないと、残るものも残らなくなってしまいます。自分自身が認知症などになったらどうするかを考え、成年後見制度についても勉強しておく必要があると思います。それと命です。命については、そのものずばりの防災になります。消防法等々が必要になってきますので、そこで勉強しました。一番の基本は消防法の第8条で消防計画ですが、この消防計画を作るのは防火管理者です。防火管理者は2日間の講習でその資格がもらえるので、その後は自分で権限をもって消防計画を作ることになります。しかしながら、とても2日間の講習で作れるほど生易しいものではありません。いろいろなところにひな型もたくさんありますので作るだけは簡単ですが、形は作れても、それができるかどうかという話になると疑問です。

私が消防計画を作るときには、実際にその建物に行って隅々まで見て「皆さんはどこまでやりますか」「どこまでやろうと思っていますか」と聞きます。全くやる気がないのであれば話になりませんが、「ここまでやりたいんだ」という話があれば、そのレベルに応じた消防計画を作ります。今いろいろなところに出回っている消防計画は、非常に格好がいいです。1から10まで全て書いてあって、100点満点です。しかし100点満点の消防計画を書いても、できないものはあまり価値がありません。それよりも60点でも70点でも、きっちりやれるものを作っていきましょうということを、そこの皆さん、施設の人と話し合いながら消防計画を作っています。それを消防署に持って行くと「ここをもうちょっとレベルを上げませんか」という話になるのですが、「それは次の段階です。今はこのレベルで、我々のほうが次に向かって作っていきますので、少し時間を下さい」という形で等身大、身の丈に合った消防計画を作るように心掛けています。

行政書士は、いろいろな業種の方と仕事をしますが、基本的に官公庁に提出する書類、権利義務に関する証明の作成が主になりますので、消防署も我々行政書士のテリトリーの中にあります。それで、積極的に消防に提出する書類についても作成していきたいので、そのためには一生懸命勉強しましょうと仲間にも呼び掛けています。専門的な知識も経験も必要なので、やる人は少ないのですが、少しずつ皆やっていってほしいと思っています。

命をつないでいくために

防災に関して一番大事なものは「命をつないでいく」ということで、そのためには何が必要かというと、まず「健康」です。災害はいつどこで起こるか分からないので、いざというときに動けるようにしておくというのが、まず大事です。もう一つが皆さんもご存じの「事前の備え」です。いざ何かが起こったときに、その時に手に持っているものしか使えませんし、手に持っている技術しか使えません。しっかりした心構えを持っていないとパニックになって、何をやっていいか分からないということがあります。そこで皆さんに常に言っているのは「防災はイメージ力です」ということです。イメージできれば対応もできますので、具体的なイメージを持つことが大切です。もし道路を歩いているときに地震に遭ったらどうしますか? 上からガラスが降ってくるかもしれませんし、物が飛んでくるかもしれません。あとは「いっぱい持っているから大丈夫」と思わずに、その時使えるものがきちんと手のすぐそばにある、もしくはかばんの中にあるというのが大切なので、「きちんと使えるものを常に持って行こう」と伝えています。この必要なものというのも、なかなかイメージできないのですが、実際に必要なものが何かを聞くと、大体「水」「懐中電灯」という答えが返ってきます。水も当然大切ですが、では水というのはどのくらいの量をイメージしているのでしょうか。よく「2リッターの水をペットボトルでたくさん保管しています」と言う方もいますが、2リッターの水を持って移動しますか? ポケットに入るのは大きくても500ccなので、荷物の中に常に500ccのペットボトルを入れておくことが大切です。

私がいつも持ち歩いているものの一つは、上の部分にライトが付いたボールペンです。いつもボールペンは仕事柄使いますので、いつもどこでも明るさだけは確保できるように、ライト付きのボールペンを絶えず持っています。靴についても基本的に革靴は履きません。ウオーキングシューズでしっかりしたものを履いて、いざとなったら家まで歩いて帰れるようなものを用意しています。かばんについても基本は肩から下げる、もしくはショルダーで背負っていく、両手をなるべくふさがない、そういうところを考えながら選んでいます。このように少しずつ自分のイメージを膨らませながら、ここでこうなったらどうしようというのを、たまに問い掛けながらやっていくことが大切です。

防災力はイメージ力です。イメージができれば対処できるので、ぜひ考えておいていただいて、備えていただければと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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