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防災インタビューVol.114

災害後の生活の再建のために ~自助の大切さ~

放送月:2015年3月
公開月:2015年10月

田中 聡 氏

富士常葉大学教授

支援をする側、される側の課題

被災地を支援するということは、善意のある行為で非常にいいことだと思います。しかしながら、被災された相手の状況をきちんと考えながら支援をしないと空振りになってしまうこともありますし、空振りになるだけでなく、被災をされた方にあまりいい影響を及ぼさないということもあります。しかし、なかなか経験がないとそのあたりの状況は考えることが難しいので、ボランティアのコーディネーターや経験者の話や意見を聞いて進めることが非常に重要なことだと思います。

また、行政からの支援も被災地の自治体職員が責任感を持っていろいろやってくれますが、人が足りなかったり、時間が足りなかったりしますので、なかなか支援が行き渡らないこともあります。被災直後もそうですが、少し落ち着いてきてからも、被災地のニーズや状況はどんどん変わって、やることが増えていくわけですので、それに対応するのは大変です。

また、支援される側も、支援する側の都合というものを考える必要がありますし、支援を受ける際には、自分の生活の再建にとって好ましいものを好ましい量だけ受け取るということも考えていかないと、生活の再建にブレーキがかかってしまうこともあります。支援される側として、受け身ではなく、ある程度考えながら選択しながら支援を受けていくことは、ある意味難しいことですが、必要なことだと思います。

災害時の支援には、支援が出てくる順番というものがあります。「次はこう来るから、その前にこう動こう」という知識を持つことが大切です。その知識を持っているか、持っていないかで生活の再建のスピードが変わってしまうことがあります。そういう意味では過去のさまざまな事例や情報を知っていることで大切で、情報量がかなりいろいろなものを決定していくというのは間違いないと思います。

自分自身で動くこと ~自助の大切さ~

大きな災害においては、やはり「自分で動く」ということを基本にすることが大切です。よく「最初の3日間は、自助が大切だ」と言われていますが、そういうふうに時間を限定するのではなく、「あらゆる場面で、まず自分で考えて動く」ということを基本にしないと、なかなか災害を乗り切ることはできないと思います。いざというときには「どのくらいの情報を持っているか」が重要で、それは「それまでにどういう情報を得てきたか」ということですので、そういう意味ではさまざまな勉強や、被災地に行って災害の状況を実際に見てみたことなど、日ごろから収集した情報が、いざというときに効いてくると考えています。人というのは、「自分の身の上には、そんなことは起きないだろう」と思いがちで、私も「そんなことが起きないように」と願っていますが、もし起きたときのことを考えながら、日ごろから情報収集していただければと思います。

また、行政だけでは、災害に対応するということにはある意味限界がありますので、あまり負荷をかけないことも大切です。そこに負荷をかけるとかえって自分たちの町の復興が遅れてしまうことがあるので、むしろ行政にはあまり負荷をかけずに自分達でどんどん進めてしまう、待たずにやるということが重要だと思います。普段は余裕があれば頼めばなんとかなることも、災害後はできない状況が発生するので、災害後は特にそれを理解して、公助というのは、どうしてもできないときに一番最後に頼るのが基本であると考えていただきたいと思います。

災害に備えるためには、まず日ごろからの心がけが大切ですので、常に自分の家を守り、命を守る選択をしてほしいと思います。家がなくならないように潰れない家に住むこと、津波や土砂災害などがあるような危険な場所に住まないようにすること。家を選ぶ時など、そのような選択ができる機会が、人生には2、3回あります。その時に、それまでに得た知識を使って、きちんと選択していくことが重要ではないかと思っています。そして、今、まずは、じっくり自分の家をよく見て、耐震補強が必要ではないか、転倒防止が必要なところはないかをしっかり確認して、きちんと備えていっていただきたいと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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