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防災インタビューVol.114

災害後の生活の再建のために ~自助の大切さ~

放送月:2015年3月
公開月:2015年10月

田中 聡 氏

富士常葉大学教授

生活再建のために

仮の住まいに住んでいる時間が長くなると、そこに慣れてしまうということもあります。仮住まいの場所で、コミュニティをつくって、その新しいコミュニティを維持しながら、次の災害公営住宅へ皆で移ろうというような動きもあります。一人でできる人もいますが、つながりというのも大切なので、いろいろなものを分かち合いながら進めていくのも重要だと思います。ただ、そこから漏れてしまう方も結構いらっしゃいます。特に高齢で単身になられてしまうと、ボランティアも含めてさまざまな支援が入っていますが、最終的にはご本人が何らかの意思を持って動かなければいけないけれど、うまく動かなくなって、「このままでいいや」と思ってしまう方もいます。こうなってくると、行政がいかに支援をして次の住まいに移るのかというのが、今後の大きな課題になってくるであろうと認識されています。

高齢の方でも趣味のグループをつくったり、お互いのコミュニケーションがあると、そこを契機に皆さんいろいろと次の活動ができます。このようないろいろな情報を得ることができるグループは、つながりという意味ではどんな場面でも非常に重要かなと思います。ママ友に代表されるようなグループなどもかなり重要な情報源となっていますので、そのような情報源はやはりたくさん持っていたほうがいいだろうと思いますし、それがその人の資産になると思っています。

また、先ほどお話ししたように、仮設住宅などでバラバラになってしまった際にも、コミュニケーションの取り方の一つとして、FacebookやSNSなどがあり、災害直後はなかなか難しいですが、電気がつながると割と早い時期にインターネットなどはつながるので、生活の再建を考えてネットワークをつくるためには、非常に有効であると思います。

さまざまな支援 ~ありすぎる支援、足りなすぎる支援~

被災地にはさまざまな支援がありますし、特に最近は被災地からの情報発信ができるようになってきていますので、いろいろな支援が日本だけではなく世界中から被災地にくるという、ある意味ではうれしい状況があります。ただこれに関しては、必要な時に必要な量の支援があるのが理想的なのですが、物資もそうですが、お金や人の支援も一度に大量に来ると、それはそれでなかなか難しい問題も発生します。

東日本大震災の時にも、ものすごく多くの方が被災地にボランティアに来てくれており、一つ一つはものすごく有効で、被災地のためにもなっているというふうには思います。ただ順序よく受け取るというか、受け取る側の準備ができていないと何を受け取っていいのか分からないとか、どの程度受け取ると自分には適度で量が多すぎないかという判断がとても難しいこともあります。また一部にも言われていることですが、支援がありすぎて、支援に慣れてしまったり、支援漬けのような状況になってしまって、自助という、自分でやろうという部分がちょっと下がってきてしまう状況も見受けられます。

逆に、借り上げの仮設住宅のような所はなかなか支援が届かないということで、最初は皆さん不満を持っていましたが、物資がないので自分で買ったり、移動手段がないので自分でお金を払って動いたりすることで、かなり早い時期から普通の生活をされていたために、生活の再建、自力での再建が早かったという事実はあります。物資や情報は足りなかったものの、その分を自分で補おうとするので、自力の再建が早い人も結構見受けられるということも、今回の震災のさまざまな調査から分かってきています。

ボランティアの支援も最初はなかなか入ってこなかったという問題もありましたが、実際にボランティアでは解決できない問題もたくさんあります。また、災害支援の経験を積んでいるボランティア団体の中には、被災地に入った途端にいつ撤退するかを考えるところもあるくらい、「いつ撤退をして、いつから自分たちで、自力でやっていただくことに移行するか」という判断は非常に難しいものになります。

東日本ではまだプレハブの仮設住宅には毎週結構いろいろなボランティアの方が来て、いろいろなお手伝いをされています。部屋から出ない人を皆で誘って、「お茶っこ」という会をやったり、あるいは高齢の女性の方を集めて編み物などのサークル活動をやってみたりしながら、皆でコミュニケーションをとるような活動がかなり継続的に続いていますし、健康やさまざまな問題の相談に乗ったり、相談そのものは受けられなくてもどこかに連れて行ってあげたり、誰かとつないであげるというようなものも結構あります。

ただ、先ほどお話をしたようにそれを全部受けてしまうと自立が難しくなるので、どうやって選択をするのかということが課題になっています。また、校庭にも仮設住宅が出来てしまったりして、子どもたちの遊び場が少ないので、外で思い切り遊ばせるというような、子どもに対するボランティアも結構あります。このようにさまざまな情報が被災地から発信されているので、それを受けて日本全国からボランティアがやってきているという状況です。

一方で、被災地ツアーのようなかたちになってしまうかもしれませんが、被災地に来た方が、現状を知り、今はこういうふうになっているんだということを肌で感じることも非常に大きな意義があると思います。また最近は修学旅行などのプログラムに、半分は被災地支援、半分は震災の語り部の方たちがやっているツアーに参加して、当時の話を聞いたりすることで、被災地で感じたことを次へ発信していくというような教育的な効果を上げているものもあります。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。