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防災インタビューVol.114

災害後の生活の再建のために ~自助の大切さ~

放送月:2015年3月
公開月:2015年10月

田中 聡 氏

富士常葉大学教授

プロフィール

私は建築学科を卒業して、建物についての耐震工学を研究しようと思っておりましたが、阪神淡路大震災以降、建物の研究と同時に「人がどういうふうに災害後行動するのか」「何を考えてどういうふうに動いていくのか」ということを研究しております。今も東日本大震災後の行政の災害対応について、また、被災をされた方がどうやって生活を再建されていくのかについても調査を進めています。現在は常葉大学の教授として、防災を専門に研究しています。常葉大学では、防災と環境という二つのコースがありますが、そのうちの防災のほうのコースで教育をしています。

住まいの被害の評価

現在は、災害によって住まいが被害を受けた場合に、どれくらい壊れたのかを評価するための効率的、客観的な調査の方法について研究しています。東日本大震災においても、非常に多くの建物が一気に壊れてしまいましたので、その際にもどのように調査するのか、どうやって被害を見ていくとより効率的に調査できるかということについて、お手伝いさせていただきました。

住まいについて「全壊」「半壊」という言葉を聞いたこともあると思いますが、家の被害の大きさがその後の被災をされた方への支援の目安になっていくので、やはりそこのところを公平に、そして効率的に調べる必要があります。従って、その手法も非常に大きな問題になってくるわけです。

被害状況の調査は、基本的には被災地の行政の方がやることにはなっていますが、そんなに数はいませんし、被災地の自治体の方もやはり被災をされています。また、実際に壊れた建物を見たことがある人は少ないので、やはりそこのところにはいろいろな工夫を入れないと後で不満が出てくることになってしまいます。時間がたってきて慣れてくると、住まいの被害状況がどの程度なのかという分類もだいぶうまくいくようになってくるのですが、最初の頃はばらつきが出てしまうという問題も発生します。そこで、我々のような研究者が、客観的な被害の調査方法、見方をアドバイスしています。

住まいの被害状況の見方

住まいの被害状況と一言で言っても、建物によって壊れ方は千差万別です。津波に押し流されてしまったり、地震でつぶされてしまった建物は、誰が見ても「全壊」という判断ができますが、ちょっと壁が壊れたり、内部が壊れたりした建物を分類していくのは、非常に難しいです。実際には、壊れてしまった建物を「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」というような4つに分類していくのですが、この分類によって、その後のいろいろな支援が決まってきてしまうという問題もありますので、なるべく早く正確に行っていくことが必要です。しかしながら、隣の家と自分の家の被害を比べて、同じような被害なのに、分類上では違うということもありますし、東日本大震災のように膨大な数になりますと、その後の支援に絡んでくるので、早く調査の必要があっても、なかなか数が多くて対応ができないという非常に難しいジレンマを抱えているのが現状です。

一般的には、被災すると避難所へ行って、その後仮設住宅に入るというように考えられていますが、被害がそんなに大きくなかったり、被害は出ていても自宅に住める場合は、在宅避難と呼んで自分の家に住まわれるケースもありますし、親せきや知り合いの所に避難する方もいます。このようにできるだけ自分の力で何とかしようとする方も多いですが、自宅が全壊で、自分ではどうにもならない場合は、行政が住居を提供してくれるというようなバリエーションがあります。どちらにしても、この住まいの状況の調査のための人が不足している問題がありますので、この調査自体はそんなに難しいものではないので、被災された方が自分のお宅を自分で調査していくことも重要ではないかと思っています。

過去の地震災害の際に試してみたのですが、自分の家のことは自分が一番知っているので、どこにひびが入ったか、どこの調子がおかしいかなどについては、行政が来て見ていくよりも、自分自身のほうがいろいろなものが見えていますし、分かっていると思いますので、まずは住んでいる方が自分でそれを確認できれば、非常に手間が省けると思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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