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防災インタビューVol.114

災害後の生活の再建のために ~自助の大切さ~

放送月:2015年3月
公開月:2015年10月

田中 聡 氏

富士常葉大学教授

大都市圏での仮設住宅の課題

住まいが被災したら、その周りの所に何とか住処を見つけて町の再建を果たしていくというのが今までのやり方だったのですが、東日本大震災や、あるいは今後起こりうる首都直下のような大きな地震災害になりますと、もっと広い地域が被災をして、いろいろな所に避難をするというような広域避難の状況が発生します。そうすると、どこに仮の住まいを確保するかというのも、自分の住んでいる自治体だけでなく、選択肢がある意味広くなりますので、非常に難しい問題になってくると思います。

今回の東日本大震災の際に、仮設住宅を造る場所がない場合は、民間の賃貸住宅を自治体、県が借り上げてそれを仮設住宅として提供するという制度も初めて採用されました。特に仙台などの都市の場合には、借り上げて住まわれている方のほうが、プレハブの仮設住宅の方よりも多いのが現状ですので、これから特に首都圏などの大都市では採用されるのではないかと思っています。

この制度は、住まいという意味で住環境などにおいてはいいのですが、情報提供ということになりますと集合的に住んでいるプレハブ仮設のほうが効率的ということもありまして、情報や物資の提供が少なくなってしまう問題も発生しています。情報の差が、事後復興のスピードの差に変わってくることもありますので、バラバラに町の中に仮設で住んでいる方に、いかに効率的に情報を届けるかも、今一つの課題として上がっています。

仮の住まいの確保とその後の生活

東日本大震災で被災された方は、津波の被害が多かったので住む土地が非常に少なくなってしまったことと、住宅の嵩上げの問題もありますので、まだまだ住環境は整っておらず、時間がかかるという現実もあり、いまだにプレハブの仮設住宅や借り上げられた住宅に住んでいる方も多くいます。特に資力や年齢などの違いで、ある意味格差が出てしまっているかもしれません。このように、今被災地で起こっていることは、恐らく将来ほかの被災地でも同じようなことが起こってくるだろうと思われます。そういう意味では、まず被災をしないことが重要ですが、不幸にも被災して自宅が壊れてしまった場合には、次はどこに進むかということを具体的にあらかじめ考えることは難しいかもしれませんが、でもそういうことを考えなければいけないということをあらかじめ知っておくことは非常に重要なことだと思います。

特に首都圏のように住宅が密集している所では、恐らく区画整理や、新たな防災を考えたまちづくりが始まると思いますので、そうなっていくとまた合意の形成のための時間がかかってくることがあります。これは阪神大震災の時にもありましたので、事前復興として、事前に考えておくという考え方が、最近少しずつ芽生えてきたというふうに思っています。

そのためにも、今被災地で何が起こっているのか、過去被災地ではどういうことが起こったのかを知ることがまず第一歩です。実際テレビやラジオ、インターネットなどでも情報が入ってきますが、なかなか現地に行って見るのは難しいと思います。ただ、テレビなどでは、どちらかというと被害がひどい所や、ある意味では絵になりそうな所を流してしまうので、テレビなどでも出てこないようないろいろな背景や、さまざまな記録、証言などを見たり、読んだりしながら考えることが非常に重要ではないかと思います。

被災後の仮住まいの問題や、その後の生活について、今から準備をしておくことは難しいのですが、実際に過去被災地でどのようなことがあったのかという知識を持ってさえいれば、どういう選択肢があるのかを事前に知ることもできますし、今直接役に立たなくても、自分がその立場になったときにふと思い出すことで、役に立つことがあると思います。

先ほどもお話ししたとおり、行政ができることは限られていますので、何でも行政に頼るのではなく、自分たちでできることはなるべく自分でやることが大切で、自分たちでできることは結構あるということです。

住まいの再建への道のり

被災後最初に仮設住宅に入った時は、皆同じ状況ですが、その後の「住まいの再建」というのは、一人一人の問題になってきます。同じ仮設住宅に入っていても、早く再建できる人、なかなか再建が難しい人というふうに差が出てきてしまいます。この差が、なかなか再建できない方にとっては、大きなプレッシャーになっていくという状況が過去にはありましたし、今の被災地でも同じようなことが起きています。

50代前半ぐらいの方でしたら何とかローンを組んで再建することもできますが、ローンがそろそろ組めなくなってくる年の方だと、お子さんとの親子ローンなどのかたちをとったり、あるいは再建を諦める、というところに迫られてきますので、ローンが組めるか組めないかのぎりぎりの年齢で被災されたご家族は、ものすごく選択を急ぐ必要があるという傾向があります。家の再建のために土地探しの問題や、資材の高騰の問題など、いろいろな条件が重なって判断が難しくなる状況もありますが、行政の支援を待っているよりも、自分自身でまず動いたほうが結果的に早い生活の再建につながると思います。常にそのへんのことは頭の隅に置いておくことが重要だと思います。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。