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防災インタビューVol.127

災害支援の現場から見た防災

放送月:2016年4月
公開月:2016年11月

阪本 真由美 氏

名古屋大学減災連携研究センター特任准教授

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

プロフィール

私は、和歌山で生まれて、海がない岐阜で育ちました。修学旅行で神戸に行ったときに大変美しい港町に憧れ、神戸大学に入りました。ちょうどその年に阪神淡路大震災が起こり、美しかった港町神戸が大きな被害にあったことは、非常にショックでした。当時私は国際協力について研究しており、国際協力に憧れていたので、国際協力機構JICAに就職しました。その後、開発途上国で繰り返し大きな災害があって、その被災地支援に携わる間に、自分自身もっと防災について知りたいと思い、一旦仕事を辞めて大学院に入り直しました。今人生を振り返ってみると、やはり阪神淡路大震災というものの影響は大きかったと思います。

国際的な災害支援の現場で

私が仕事を辞めた2004年にインド洋津波災害がありました。開発途上国において、20万人近い方が亡くなるほど大きな被害をもたらした津波災害を目の当たりにして、「何とかして被災した地域の支援はできないものか」と考え、JICAを辞めて直接被災地に行って、「被災者のお役に立てるような支援は何かを考える」ということに取り組みました。大学院での研究も「被災者をどう支えていくか」ということを中心にやっていました。

インド洋の津波の際は、言葉も通じない中ですし、地域の情勢も厳しく、とても難しい状況でした。津波で道路は通れなくなりましたし、ライフラインなども全て使えなくなってしまいます。地図などももともとあった地図が全く使えない状況で支援をしていかなければいけないという非常に困難な状況の中、いろいろな国からたくさんの国際支援の方々がやってきました。それぞれの支援者は良かれと思って支援をしても、地域の人から見たら「え?何で?」というような支援もたくさんあって、その国際支援自体が「第二の津波」とまで言われるようになりました。このことは、国際支援に携わる立場としてもショックな出来事で、それ以降、国際社会の中では災害時に国際協力をやるときに、どうやって支援を受け入れていくのか、それをどうやって効率よく被災者の生活再建に結びつけていくのかという議論がたくさん行われて、支援方針の見直しも行われました。

国際緊急援助隊の受け入れを経験して

海外での災害支援のために、日本の国際緊急援助隊も災害が起こると被災した地域に24時間以内に準備をして駆け付けるという仕組みがあります。私も国際緊急援助隊の業務調整員として、2003年のアルジェリア地震の時には、被災地に行きました。災害が起こった直後は、被災地も大変混乱しているので、物資がなかったり、通信もうまくいかなかったりします。そういう状況において効率よく活動できるようにするために、国際連合が中心となって被災地で支援調整の仕組みを作っています。日本の援助もこの支援調整の仕組みについてよく勉強していて、災害が起こると国際連合の中に入って活動を展開するというのが一般的になっていますが、2011年の東日本大震災では、今度は日本が逆に海外からの支援を受け入れなければならないという立場に置かれました。実際に日本国内に国際連合の人たちを受け入れて調整することをそれまでは考えていなかったので、たくさんの混乱が起きました。

災害が起こると、一番最初に来るのは国際緊急援助隊で、行方不明の方を捜索したり、救助するというような救命救急のための活動をしますが、日本の地理がよく分からなかったり、言葉が通じなかったり、津波で道が通れず、なかなか現場にたどり着けないなど、課題もたくさんありました。日本側の受け入れ態勢がきちんと整っていなくて、受け入れたものの被災現場での活動がなかなかうまくいかない地域もありましたが、消防などが中心になって、海外からの支援チームの受け入れを行い、実際のところ、支援が大変有効に動いた地域もありました。例えば大船渡などでは、海外からの支援チームと日本の消防の緊急援助隊が共に調整しあって、被災者を合同で捜索して、早く行方不明者の捜索救助が完了した地域もありました。一方で日本側の受け入れ態勢がない状況に直接海外からのチームが入ってきて、独自に捜索救助をやっているという事例もありました。

東日本大震災ほど大きな災害ですと、やはり日本国内の資源を総動員しても、なかなかニーズにはマッチングしないところもあるので、今後、南海トラフ巨大地震などの災害を考えると、海外からの支援を上手に受け入れて、それをいち早く行方不明者の捜索救助や支援に充てるという取り組みは必要だと思います。現在日本では、海外からの支援の受け入れ調整は自治体に任されていますが、自治体自体が被害を受けてしまうと、自治体も被災者支援で大混乱しますので、さらにそこに海外からの支援を受け入れるというのは、大変難しい状況です。できれば、このような海外からの支援を受け入れるためのチームを別の所で作っておいて、災害が起こるとそのチームが海外チームと一緒になって行動するというような仕組みがあるといいと思います。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。