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防災インタビューVol.133

防災のための地域連携

放送月:2016年10月
公開月:2017年5月

奥田 建蔵 氏

東急エージェンシープロミックス社長

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

地域をつなぐ防災

私は5年ほど自分のマンションで防災活動をやってきましたが、自分のマンションで防災活動を進めていけばいくほど、実は地域との連携が必要になってくるということを感じるようになりました。防災を考えたときに、もちろん自分の住んでいるマンションの中の安否確認や防災備品を揃えるということも非常に重要なのですが、実際に災害が起きたときには、地域の避難所と連携したり、地域の行政と連携を取ったりということも必要になってくることが分かりました。そこで、防災の次のステップは「地域との連携をどうつくっていくのか」ということが課題になってきました。

ところが調べていくうちに分かってきたことがあります。マンションには、法律で義務付けられた管理組合はあるのですが、自治会を持っているマンションは非常に少ないです。江戸川区の方に伺いましたら、50も60もあるマンションのうち、自治会があるのは、4つか5つのマンションだけだそうです。実はこの自治会というのは、行政と地域をつなげる大変重要なハブになっているものなのですが、ことマンションに限っては、そのハブがないということです。そういう意味では、マンションはどちらかというと行政からもちょっと孤立しているような形になっていて、地域の防災の連携が普段なかなかできていないということが分かってきました。

それでまた私はなぎさニュータウンにお邪魔して、「この地域の連携について進めたいと思うんですけれど、どうでしょうか?」という話をしましたら、やはりそれは課題だということで、江戸川区のマンション協議会に入ってはどうかと勧められました。この江戸川区のマンション協議会というのは、江戸川区にあるマンションの管理組合の代表の方が集まる場で、マンションの防災をはじめ、長期修繕など、さまざまな問題を話し合って情報交換し、そしてマンションに持ち帰って自分たちの環境を整備していくという取り組みをしている所です。そこで、この地域の連携を進めていきたいという話をさせていただき、皆さんに賛同いただいて、この小さなエリアですが、マンションの管理組合同士がつながる取り組みをスタートさせたいということで、「安全マンションプロジェクト」を始めました。

「安全マンションプロジェクト」による地域連携

この「安全マンションプロジェクト」は、地域のさまざまな団体が一緒になって災害に備えていくというものです。マンションの管理会社や管理組合、避難所運営をする学校、区の行政、震災などの防災の専門家の方、それから最近ではコンビニやストア、金融機関などの地域の企業や地域のメディア、そして、われわれ住民が一緒になって、災害が起こった場合の対策を事前に練っておくために、きちっとネットワークを組めるといいんじゃないかということでこの「安全マンションプロジェクト」をスタートさせました。避難所運営をする学校と自治会とは連携しているのですが、マンションとはやはり連携していないので、このネットワークをどういうふうにつくっていったらいいのかが大きな課題になっていまして、その連携をつくるために、第1回防災セミナーを開催して、取り組みを進めたところです。

「安全マンションプロジェクト」として、どのように地域の防災活動のネットワークをつなげていくかを考えた時に、ご存じのように、マンションの管理組合というのは事務所がどこかにあるわけではなく、住民の方、個人個人に担当が回ってきて理事会をつくっているということで、特定の事務所があって、挨拶にいけるような形にはなっていません。これが地域の管理組合をつなげていく時のちょっと大きなネックになっていまして、われわれはマンションを1軒ずつ回り、管理事務所があるところには管理事務所、管理人さんがいらっしゃる所には管理人さんに、管理人さんもいないところには、管理組合向けのポストに、地域の防災のための「安全マンションプロジェクト」をやりますのでセミナーに来ませんかという案内を持って、防災委員のメンバー4人ぐらいで自転車に乗ってマンションを全部回って案内させていただきました。

セミナーの内容については、江戸川区の危機管理室の方や地域の消防署、東京都の防災部門にもお邪魔して、協力をお願いしました。マンションの防災のことをやっている「マルカ」にイシヅキ先生がいらっしゃいまして、先生にマンションの防災セミナーの講演をお願いして、地域の会館を借りて第1回目のセミナーを開催しました。人数はそれほど集まらなかったのですが、継続していくことが一番大切なので、これをきっかけに広げていきたいと思っています。もう一つ、マンションの管理会社も非常に協力的で協賛という形で援助してくださいました。また、コンビニのチェーンのバイヤーにもお話ししましたら、地域とのCSR活動という観点から、ご協力をさせていただきたいということで、まずそのセミナーに立ち会いを頂きました。こちらはセブンイレブンですが、「24時間、災害があってもコンビニというのは開けていたい」「たとえ商品がなくなっても、地域の方がトイレなどの利用で入って来られた際に対応したい」ということです。実際に、東日本大震災の時には、移動型のコンビニを出して非常に住民の方々に貢献されたということも聞いております。本当にそういう企業さんとのつながりを地域でも大事にしながら、地域での連携を強めていきたいと思います。同時にこれは私の仕事とも関連があるのですが、企業のCSR活動という観点からも、地域社会と一緒になって、こういった防災の活動の取り組みを進めていけたらと思っています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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