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防災インタビューVol.133

防災のための地域連携

放送月:2016年10月
公開月:2017年5月

奥田 建蔵 氏

東急エージェンシープロミックス社長

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

企業との連携 ~持続型のビジネス~

私は東急グループに勤めていますが、「いいまちづくり」「住みやすい沿線」といったことがよくテーマとして出ています。「暮らしの良さ」という観点のひとつに、「生活の美しさや質」ということもありますが、一方「住んでいる地域の課題が解決されている」ということが、「住みやすいまちづくり」のひとつではないかと考えています。

私は昨年、川崎市と専修大学がやっている、KSアカデミーという所に半年間通って、地域の課題を解決するためのビジネス手法として、今注目されている「ソーシャルビジネス」または「コミュニティビジネス」といったことについて、多くの人たちと意見交換したり、知識を教えていただいたりする機会がありました。このことを通して分かったことですが、やはり今起きている多くの社会課題を解決していくためには、行政も企業も、それから一般の住民の方々も、なかなか手を出しにくい、誰も手を付けていないスポットがあるということに気が付きました。

地域防災の件もそうですが、いわゆるマンションの管理会社は、マンションの管理ということを委託されてはいるものの、地域防災のサポートをどこまでできるかということになると、なかなかこれでお金がとれるのかということもあって進んでいませんし、地域の市民の方たちも、ボランティアの範囲ではできるけれども、それ以上というのはなかなかできません。また行政の方も行政サービスとして予算で決められている範囲しかできないということで、なかなかスポットゾーンが空白地帯みたいに残っているものが結構あります。実はそこをビジネススタイルで解決していこうということが、今後求められてくると思いますし、そういった意味では先ほどの企業、行政、NPO、市民、学校、専門家といったような方々のリーダーの方たちが集まりながら知恵を絞って、持続型のビジネスという形で解決していくことが求められてくるのかなと考えています。

これはよくよく考えていきますと、現在は経済至上主義で、アメリカからやってきた四半期決算という考え方が主流になっていますけれど、もともと日本の会社には買い手に喜んでもらうことはもちろん、社会貢献が出来てこそ良い商売であるという「三方良し」という考え方もありましたし、社会の役に立つことを通して利益を得るといったような、立派な経営者の方々のお考えもあったと思いますが、そういったものが今また重視されてきているのではないかと思っています。そういう意味では、ひとつの企業の中にある、CSRの部門、いわゆる事業部としての製品やサービスを生み出していく部門、それから広告や広報といったような宣伝やコミュニケーションをやっていく機能を持った部門が、お互い連携することによって外部と一緒になって進めていくというような取り組みが、これからは企業の中でも広まっていくのではないかと考えています。

私は今日本が抱えている社会や地域の課題を解決していくためには、企業が連携して一歩踏み込む形で入っていくところに大きな可能性があると感じています。それはひいては、本業の事業を成長させていくことにつながるわけですが、企業が課題を解決するための製品やサービスを生み出し、それをコミュニケーションという形で広め、そして社員の人たちがボランティアやCSR活動や、ソーシャルアクションといったものに参加することによって、多くのお客さまや取引先と一緒にそういった課題解決をしていくといった流れが今生まれつつあります。

これをやっていくためには、経営者の方々のミッションや情報発信ということも重要のですが、いわゆる組織の中の事業部門とCSR部門、コミュニケーション部門というものが、この企業の使命に対して一緒になってやっていくというような座組みが大変重要ではないのかと考えております。この社内の中の座組みをどう作っていくか、それともう一つは社外との連携の仕方をどう作っていくのかということが大切だと思います。そういったCSR部門の取り組みが非常に進んでいるところもありますし、世界の中でもグローバル・サステイナブル・リーダーと呼ばれるような企業も出ています。最近では2030年に向かって「SDGs」という「世界の持続型社会に向けた目標」を、世界130カ国を超える国々で進めていくといったようなことが広まっておりますし、日本でも政府も一緒になってその取り組みを進めていこうとしています。また企業などでも「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン」ということで、ローカルネットワークを立ち上げて、活動を進めていく組織もできてきていますし、これからはそういった企業活動がますます盛んになってくるのではないかと思っています。

先進国日本が、これまでの防災に関する経験を生かして、世界にこの日本型の考え方や、日本で学んだ防災の先進的な取り組みを、多くの世界に役に立てていけるのではないかと思っております。また、そういったことに関して、私どもの会社が、広告という力を生かすことによって、皆さんの防災の取り組みやプログラム、またイベントやフォーラムやセミナー、それから地域社会づくりだとかいったようなムーブメントを一緒になって広げていけるような取り組みにつなげていけたらと思っております。

最近会社の中でも、働き方というのが随分変わってきたようにも思います。いわゆる本業の自社の活動ということもありますが、NPOやNGOに所属していたり、または地域社会で貢献する役割を果たしたり、またさまざまなセクター、マルチセクターというところにその働き場所をいくつか持ちながら、元の企業にその視点を持ちこんで、新たなイノベーションや取り組みを持っていくといったようなことや、ソーシャルリーダーとして取り組みが進んでいると聞いています。まさにそのようなリーダーの方たちと、企業が一緒になって取り組んでいけたらと考えております。

防災という視点から私は入っていきましたが、いろいろな立ち位置の視点を学ぶことが、こういった取り組みには大切なことではないかなと思います。またこうしたつながりが、社会の課題を解決するという目的を共有している人たちを結びあわせ、それぞれの専門の方とつながっていく中で、企業の力を借りたり、また市民社会の力を借りたりしながら、課題を解決するために活動し、それをメディアの皆さんの力が一緒になって広めていくようなムーブメントが広がっていければと願っています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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