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防災インタビューVol.133

防災のための地域連携

放送月:2016年10月
公開月:2017年5月

奥田 建蔵 氏

東急エージェンシープロミックス社長

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

防災を通したコミュニティづくり

安否確認というのは、マンションの防災においては特に重要な部分だと思います。この活動をするために、防災委員のメンバーで考えたのが、マンション全体に防災の意識を高めていくために、とにかく多くの人が参加できるような仕組みを作ろうということでした。

私のマンションは14階建てで、3棟あります。そこで各フロアに1人ずつ、3棟あるので、14×3ということで、42名の方をフロア担当ということで任命して、その方々がご自身のフロアを回って行って安否確認をするという流れにしました。これを3カ月ごとの任命制にして、3カ月に1回、お隣の方にバトンタッチしていく方法にしました。そうしますと、1フロアで、1年で4人が担当し、3年たつと12人、4年たつと、約400世帯を超えるマンションのどの世帯の方々も1回はフロア担当を経験できることになり、マンション全体にその活動が広がるのではないかと考え、実施しました。

今でもこれは続いており、今回が15回目になります。フロア担当説明会に、42名の方に集まっていただいて、このマンションの安否確認のやり方をお話しさせていただきます。その際に、江戸川区の方にも、区の防災の話をしていただいたり、南葛西地区の地域の特性に応じた、液状化や津波の話、地盤の固さや火災の危険度などについても話しながら、住民の方々と葛西という所がどういう防災の特徴があるのかという話をさせていただきます。われわれのところは葛西の臨海町ということで埋立地なのですが、埋め立てや海の歴史の話をすると、皆さん「葛西の歴史のことが勉強できて面白い」ということで楽しんでいただいています。

この説明会の最後に15分ほど42名の方を6つぐらいの班に分けて、話し合いの時間を持ちます。それまでは知らない方と顔見知りになるチャンスでもあり、「うちの防災はこういうことをしているんですよ」というような話し合いをしていただくと、とても話が進みます。最後にアンケートを取ってみると、防災の知識やノウハウを学ぶことができたという回答もありますが、一番良かったのが、今まで知らなかった人と話ができたということが挙げられています。

防災を通して、マンション内のいろいろな方と出会い、コミュニティがつくられていって、お隣近所の方々が仲良く話ができるようになる、挨拶できるようになるというのが、この活動をやっていて本当に良かったなと思えるところです。

防災勉強会 ~学びを生かす~

マンション防災の取り組みの中で、なかなか実は防災の知識が深まっていかなかったので、ちょっと勉強をしようということで、六本木の森ビルで2ヵ月に1度やっている防災の勉強会に何回か参加しました。この勉強会は、コミュニティクロッシングジャパンの荒さんという方がされており、そこにいろいろな専門家の方がいらしていました。その際に荒さんから、東日本大震災の避難所の視察ツアーを行うので、一緒に行きませんかというお誘いを受けました。バスで仙台から東日本の被災地を巡りまして、3カ所ほど避難所の運営の現地を訪ねて、そこで対応されていた方々にヒアリングを行ってきました。そのヒアリングで、現地の様子をまざまざと伺ってきて、これは大変なことになると思いました。その次の日仙台に帰って、会議室に集まって、「学んできたことをどのように生かすか」というワークショップというか、反省会のようなものを行いました。

荒さんと話している中で、防災に対して何も準備が出来ていない、いわゆる「未整備マンション」を減らしたい、「防災未整備マンションゼロの地域を目指したい」ということが出てきました。これが本格的に防災に入るきっかけになりました。

マンションの中で防災のことを何もできていないマンションが29%ほどあるということが調査によって明らかになっていましたが、専門家の方に話を伺うと、数字的には29%かもしれないけれど、防災訓練を形ばかりでやっているだけのところを含めれば、5割から6割が何もできていないのと等しいのではないかということでした。そのことを聞いて、防災が未整備のマンションをゼロにするということを、地域の中で進めていけたらと考え始めました。

実際にマンションに帰って考えてみると、お隣のマンションに誰が住んでいるのかも分かりませんし、ましてや管理組合もよく分かりません。そこで、なぎさニュータウンの僕の防災の先生の所にお話に行きましたら、南葛西地区の地図を出してくれました。この地図を見ると、歩いて15分もあれば行けるようなエリアの一角に、53ほどのマンションがありました。私はこの中で、防災のことが出来ているマンションはどのくらいあるのかを考えながら、1軒ずつ回りました。

自分たちのマンションの防災だけではなく、地域とつながっていくためにどうするかということを考えながら、新しい活動「安全マンションプロジェクト」に取り組むことになりました。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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