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防災インタビューVol.134

災害をイメージして『良き避難者』に

放送月:2016年11月
公開月:2017年6月

吉高 美帆 氏

CCJ研修ディレクター

プロフィール

私はCOMMUNITY CROSSING JAPANという団体で、防災・減災のための研修ファシリテーターをしています。私の出身は福島県相馬市という田舎町ですが、東日本大震災で少し有名になってしまった所です。それまでもこの団体で活動していたのですが、実際にこの防災・減災の活動を始めたのは3.11の後のことです。

COMMUNITY CROSSING JAPANの活動

私たちの団体COMMUNITY CROSSING JAPANでは現在、マンションの防災を主なテーマに、東日本大震災で被災した東北の事例を紹介しながら、マンションの住民の方々に防災・減災のワークショップを行ったり、幅広くコンサルティングをして、皆さん自身が災害のときに自分自身で動けるようになっていただくための活動をしています。

東日本大震災の前までは、私は防災・減災の専門家というわけではなく、環境問題の講師をやっていました。防災と環境問題というと全く違った分野に聞こえますが、実際、COMMUNITY CROSSING JAPANは以前から、地域の力、コミュニティーの力で社会課題を解決していこうという活動をしていた団体ですので、その一つとして環境問題や子育てについても取り組んでいました。3.11の時には既に東京に住んでおりましたが、まさか実家があのような大震災に見舞われるとは思っていませんでした。震災後に、大きな社会課題の一つに防災、減災があるのではないかということを仲間と話し合い、我々が今やらなければならないことは何かをもう一度考え直し、防災、減災について取り組んでいくべきだということになりました。まずは東北にヒアリングに行き、被災者の方に話を伺ってきました。東京から来た私たちに対して被災者の方がお話をしてくれたことに、今でも感謝しています。私たちCOMMUNITY CROSSING JAPANは東北の宮城県南三陸町で、地元の復興のために活動している「復興応援団」という団体と手を組んで、地元の方を紹介していただき、津波の被害が大きかった宮城県の沿岸地域の方の生の話を聞くことができました。

被災者の声から見えてきたこと

実際に被災者の声を聴くことで、見えてきたことがたくさんありました。中でも、これは東京の皆さんにもぜひ考えていただきたい、感じていただきたいところなのですが、被災をして苦しい立場に立つと、行政の方が助けてくれるのではないかと期待しすぎたり、衝突が起きたりすることがありますし、避難所の運営がうまくいかずクレームが起きてしまうこともありました。そのような事態の中で、地震が起きたときには自助で自分の命を守れたにもかかわらず、正しい避難行動ができずに命を落としたり、避難先で亡くなってしまうというような、震災関連死をされた方が非常にたくさんいらしたことが分かりました。このようなことで助かるべき命が失われたことは、非常にもったいないと思い、助かるべき命を守るためにも、我々は「良き避難者になる」ことを目指して防災を考えていきたいということで、それをキーワードとして東京に持ち帰り、活動をしていくことにしました。

「震災関連死」とは

「震災関連死」というのは非常に難しい問題です。阪神淡路大震災や新潟や熊本の地震でも起こっていますが、震災で助かったのに避難生活の中で命を落とすということです。大きな地震が来たときに、電気、水道、ガスなどのライフラインが全て止まってしまう状況を想像してみてください。電気、水道、ガスなど全てが使えなくなったときに、衛生面をどう保つのかということが非常に大変です。冬でしたらインフルエンザなどがまん延したり、長期間にわたる避難生活で体調を崩されたりした際に、なかなか薬も届かない状況で、乳幼児や高齢の免疫力が少ない方から命を落とされるという現状が実際にありました。私たちも知らなかったことで、実際に現地の方から、このような「震災関連死」の現状について涙ながらに教えていただきましたが、これが大震災の現実で、それをどうやったら防いでいかれるのか、ということを考えていきたいと思いました。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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