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防災インタビューVol.134

災害をイメージして『良き避難者』に

放送月:2016年11月
公開月:2017年6月

吉高 美帆 氏

CCJ研修ディレクター

「もしも」に対応するために

「もしも」の事態はいつ起こるか分かりません。アレルギーの方もそうですが、その他にも、自分自身弱い部分があると思います。ストレスがかかると片頭痛が出たり、女性だと生理痛がひどいという方は、どこで被災しても大丈夫なように必要な薬を備蓄品に入れたり、常に持ち歩いていることが重要です。ご高齢の方ですと、複数お薬を飲まれている方も結構いらっしゃいます。被災したときに、お医者さんが避難所に回ってきたり、マンションに運よく回ってきたときに、お薬手帳があるかどうかでも全く対応の早さが変わります。大災害のときに一から診てもらうというのは、医療の器具もなかなかない中で難しいのですが、お薬手帳があれば処方がものすごく早くなりますので、コピーで構わないので、持病を持っている方は、お薬手帳を防災備蓄品に入れておいたり、常に持ち歩くことをお勧めします。私も皮膚が弱く、乾燥でカサカサしてしまいがちです。ストレスや長い間お風呂に入れないという状況になると、恐らく出てきてしまうだろうということが考えられるので、保湿できるクリームを毎日持ち歩いています。このように、何かあったときにすぐに対応できるように「もしも」のことを考えて、自分自身で必要なものをぜひ蓄えておいていただきたいと思います。

防災、減災というのは平時の積み重ねです。緊急時だけのこととして考えるのではなく、発災したときにも普通の生活をいかに続けられるか、というような観点で考えて、いろいろ準備されるといいと思います。例えば老眼鏡がないと全く目が見えない方は、スペアを防災備蓄品に入れておいたり、コンタクトレンズを多めに準備しておいたり、そういうことが非常に重要です。

「良き避難者」になるために

COMMUNITY CROSSING JAPANでは、マンションを造っている会社から依頼を頂いて、マンションの住民の方にワークショップをお届けしています。その中で、災害時のトイレのことや食料、衣料、物資、水、ペット、情報、あとは防犯、そういう生活のカテゴリーに分けて、皆さんと一緒に考える時間をとることで、マンションの中で皆さん自身が自立していただけるような流れをつくる仕事をしています。皆さん、防災、減災というと何か難しいとか硬いとか、とっつきにくいというようなイメージを最初は持っていますが、東北での避難生活に根差したお話をお伝えすると、実感していただけています。

例えばマンションで、マンホールトイレを準備しているから大丈夫だと思っていたけれど、マンホールトイレに人が並んでしまったら、全員用を足すまでどれくらいの時間がかかるだろうというような具体的なことを考えていくことで、皆さん自身が自発的に防災、減災を考え、自分たちでもできる、やらなくてはという思いを抱いていただけるようになります。これこそが皆さんが「良き避難者」になってくれているのだと実感できる瞬間です。

防災というのは堅苦しいものだと感じやすいのですが、実際には大変身近なことであり、万が一起こってしまえば、残念ながら非常にたくさんの命が失われてしまうのが大災害なのです。その中でも「あなたにこそ助かっていただきたい」、そういう思いで防災について伝えています。何からやったらいいのか分からないとは思いますが、ご自身の生活を災害時にもそのまま続けていかれるだろうか、という視点で考えていただければと思います。

災害が起こったときは、まずは自助が非常に大切です。自助というのは災害が起きた瞬間に、例えば頭を守ることも大切ですし、事前に家具の転倒防止をしておくことで、その時に亡くならないということが一番大切です。マンションの高層階に住んでいる方は、エレベーターが止まってしまうことも考えられます。5階以上でしたら荷物を持って上がっていくのも大変ですし、20階とかですと上り下りも不可能です。若いころは上がれたけれど、今は60代になってしまって上がれない、そういうこともあるかと思います。その時に、どうするのかというような視点でも、ぜひ考えていただきたいと思います。

自分自身で考えて、行動する

東北の例を挙げてお話ししましたが、これらは全て災害を体験された方の生の声です。まずは命を守ることが大切です。命が失われてしまったら、再建も何もありません。家が流されて仕事がなくなっても、命さえあれば何とか前を向けると、ただ命がなくなってしまったら、もうどうしようもないというようなお話を東北の方々は語ってくれました。ぜひ皆さんには、皆さん自身が良き避難者となって、被災したときには臨機応変に周りの方々と助け合って生きていかれるようになっていただきたいと思っています。東北の方々が「東京で起きたら大変だよ、だから私たちの声で何か役に立つんだったら持って帰ってちょうだい」と涙ながらに語ってくださいました。そのことを胸に、私たちCOMMUNITY CROSSING JAPANは活動しています。ホームページやFacebookでも活動の様子を載せていますので、ぜひ一度ご覧いただけるとうれしいです。

本当に防災、減災というのは難しいことでも新しいことでもなく、むしろ本当に生活の延長線上にあることです。何か情報を集めることは今の世の中では簡単にできますが、その情報をうのみにするだけでなく、自分たちで考えて、自分たちに合わせてアップデートしていくことが重要です。働いていたり子育てをしたりしていると、なかなか調べる時間もなくて難しいことですが、私たちもお手伝いさせていただきますので、ぜひホームページからお問い合わせいただければと思います。

首都直下型地震についても、残念ながら必ずいつかは来ると思っています。防災、減災は老若男女にかかわらず、本当に皆さんに降り掛かるものです。ある意味、地域や会社で取り組める一番の材料です。だからこそ、ピンチをチャンスに変えることもできますので、防災、減災への取り組みを一緒に頑張っていきましょう。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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