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防災インタビューVol.135

防災のためのレジリエンスとリテラシー ~予測力・予防力・対応力~

放送月:2016年12月
公開月:2017年7月

林 春男 氏

防災科学技術研究所理事長

互助力・共助力を高める仕掛け

自助、互助、共助、そして公助という4つの力をご紹介させていただきましたが、これは災害の時だけにしか発揮されないのかというとそうではなくて、毎日の生活の中で発揮されているものです。自助というのは、「天は自ら助ける人を助ける」というところから始まって、やはり生きる基本だと思います。互助というのも先ほどの「お互いさま」という言葉を考えてみると、顔見知りの人たちや親しい人たちの間で日常的に起こっています。共助というのも今ボランティアの世界が大変伸びていますし、あるいは東日本の特徴ですが、インターネットを通して皆が募金をしたり、特産品を買ったりというのも、共助の一つの形だと思っています。そういう意味ではいろんな格好で日常の中にもあります。

昔から実は社会はこういった「互助力や共助力を高める仕掛け」というのを持っています。それが「祭り」です。祭りというのは普段付き合わない人たちも含めて、みんなが集まって、それぞれに普段にはない役割分担をしながら、一つのイベントを作り上げていきます。危機管理の世界では、そういったイベントも実際に起こる災害も、どちらも基本的には同じだと考えています。ですから「1回限りのシナリオのないような事柄をうまく乗り切る」という意味からいうと、祭りをしっかり担える能力を持っている地域やグループは、互助力や共助力が高いというふうにも言い換えることができると思います。

祭りを通していろんなものを教える、引き継いでいくというのも昔からの大事な知恵ですが、もう一つ、これからもっと積極的に私たちがやるべきことの中に、「防災教育」というのもあると思います。これはもちろん学校でもできますし、地域でもできますし、企業体のような所でもできると思います。基本的には、防災のリテラシーを高めるために皆さんに防災について基本的な知識や技能や態度を学んでいただけるような機会を、できるだけ多く提供していくということで、祭りだけに頼らない中での防災リテラシーの向上に役立つことだと思っています。

これから来るであろう南海トラフの地震というのは、およそ今から20年ぐらい先にあるとすると、今40歳代の方は、高齢者層になりかかっているぐらいだと思います。自分も今そういう世代に立っているのでよく分かりますが、だんだん助ける側から助けられる側にまわりつつあるなという自覚を持ち始めています。そう考えて「では今度は誰が助けてくれるんだろう」と思うと、今の若い人たち、今の子どもたちということになるわけです。そうすると今の子どもたちにこれからの近未来の日本の直面する現実について、正確に理解してもらって、必要な備えをしてもらう防災リテラシーを高めるためには、今積極的に学校や地域や職場で防災教育というものに取り組んでいく必要が、ますます高くなっているのではないかと思っています。もちろん祭りは大切にしたいと思いますが、祭り頼みだけでは不十分ではないかと思いますので、ぜひ教育によっても、防災リテラシーを高めていってほしいと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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