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防災インタビューVol.139

人の命を守る タイムライン防災

放送月:2017年4月
公開月:2017年11月

松尾 一郎 氏

CeMI環境・防災研究所 副所長

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

地震から身を守るために

海溝型の地震ですと津波の被害がありますので、まずいかに逃げるかを考えるのが重要ですが、地震で一番大事なことは、最初の大きな揺れのときに、いかに身を守るかということです。地震の場合は、なかなか予知予測はできないので、いきなりやって来ます。その時に、いかに身を守るかということが、とても必要なことだと思います。

2007年に中越沖地震がありましたが、この時に柏崎市の仮設住宅に住んでいる方50人に話を聞きました。柏崎市は震度6の揺れでしたが、その大きな揺れのときにどうしたかということで、自宅が全壊、大規模半壊で住めない状態で辛くも助かった方々に話を聞いてみましたが、50人の中であらかじめ家具の固定をやっていた方は37人、それ以外の方は家具の固定はやっていませんでした。この柏崎の地域は、この地震の4年前にも中越地震に襲われ、震度5強でしたが、その後「自分のところは大丈夫だろう」ということで、何も対策をしなかったということでした。この中越沖地震で、半分の方の自宅は全壊状態、大規模半壊が10人、半壊状態が13人でした。自宅内外の被害で何が大きかったかというと、塀や灯籠が崩れたという人が48人、たんすや食器棚、あるいは冷蔵庫、ステレオ、テレビなどの安定したものが飛んできた、これが46人です。実際に地震の最中、揺れの最中にけがをされた方が42人いました。けがの原因は何かと聞きますと、18人が飛んできた電化製品や家具などによるもので、慌てて動いたために倒れたり転んだりした人が14人いました。その中の30代の男性は、家が崩れるような大きな揺れだったので、子どもを抱えて揺れの中、外に逃げようと思ったら廊下が狭いのでガラスにぶつかって、ガラスが割れて左腕に刺さってけがをしたそうですが、子どもを抱えて外に出ることが精いっぱいだったので、外に出てからけがが判明したそうです。このように慌てて行動して転んだり、けがをした方が、かなり多かったということです。実際に、揺れに自宅が持つかどうかを判断するには、あらかじめきちんと耐震診断をしておくことが必要ですし、少なくとも家具が飛んでくることがないように、固定をしておくことが大切です。これはすぐにでもできることなので、今すぐやっておいてほしいと思います。

確認したい七つの言葉

地震の揺れから身を守るために気を付けてほしいことを、格言風にまとめてみました。この言葉を思い出して、まずは自分自身の安全を守ってもらえればと思います。

①「地震に場所なし時なし予告なし」

地震というのは、いつどこで起こるかは分かりません。日本であればどこでマグニチュード7近くの揺れが起こってもおかしくはありません。そのことは日ごろから考えておくことが重要です。自分たちが住んでいる所、あるいはご自身が勤めている所で、大きな揺れに襲われたときにどうするかということを、あらかじめ考えておくことが必要だと思います。

②「日ごろの備えは我が身を救う」

日ごろの備えとは何か。それは、ご自身がいる所に揺れがどういう大きさで、どういう揺れが起こるのか? ご自身がいる場所で揺れが起きたときに、どう動くか? あるいは、それに対する家具の固定も含めて、事前に行うべきこと、その備えをしておくことが我が身を救うのだということを言っています。

③「すわ、3秒、あなたはどう動く?」

実は、過去の内陸地震の波形を見ると、ちょこっとした縦揺れが始まってから、動けないくらい大きな揺れが来るまで2、3秒の時間があります。この2、3秒の中で、いかに身を守るかが大切です。頭に手を置くとか、あるいはテーブルの下に潜り込むとか、そういう動作がとても必要だということを言っています。

④「揺れたらあなたを襲う家具、電化製品」

これは先ほどお話しした中越地震の時に柏崎で起こったことです。固定していないものは、大地震の際には飛んできます。阪神大震災の時も、大きなものが自分の目の前を行ったり来たりするという実談が聞かれました。家の中にあるものが飛んでくるのだとすると、少なくともそれが飛んでこないような対策、固定が必要です。なるべくならご自身が寝るところには、動くようなものは置かないことが重要だと思います。

⑤「動けなかったらダンゴムシ」

ダンゴムシというのは、触ったらくるっと丸くなる小さな虫です。身の回りに自分の体を守るようなものが何もないとしたら、最後の最後はダンゴムシのように丸くなって、少なくともおなかと胸と頭を守るような体勢をとることが必要だと思います。

⑥「揺れた後は足元注意、はだしは厳禁」

大きな揺れの後はガラス製品などが割れて、床にいろいろなものが散乱しています。中越沖地震の時も、それらを踏んでけがをされた方がたくさんいました。日ごろからはだしで部屋を歩いている人も、揺れに備えてスリッパを近くに置いておくことは必要です。

⑦「作ろう、宅内避難所」

宅内避難所というのはシェルターのことです。一部屋だけでもいいので、その部屋に行けば物が飛んでこない、倒れるものもない、あるいはそこの部屋は大きな揺れがあっても倒壊することがない、強固な壁で守られている、そういう部屋を宅内避難所にすることができればいいと思います。最近は一部屋耐震ということで、家の中に宅内避難所をつくる取り組みが進められていますので、ぜひ最寄りの工務店、あるいは行政、自治体の方々に聞いていただければと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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