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防災インタビューVol.140

気象災害から身を守るための知恵

放送月:2017年5月
公開月:2017年12月

村中 明 氏

元気象庁予報課長、CeMI環境・防災研究所

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

日本におけるさまざまな気象災害

日本で気象災害というと、誰でも頭にすぐ浮かぶのが台風です。梅雨の季節になると梅雨前線の付近で豪雨が降るといったことも度々あります。それから最近特に災害が続いていて話題になっているのが竜巻です。竜巻は非常に短い時間で局地的に非常に激しい現象が起こり、時としては亡くなる方もいるような災害です。また雨や風だけではなく、冬は豪雪に見舞われたりしますので、日本というのは、非常に気象災害の多い所だということが言えると思います。

冬の気象災害は、比較的雪が多い地方に限られています。その一方で、台風は今までは、西日本、東日本での災害が多かったのですが、実は昨年、岩手県で台風10号で大きな被害が出ました。また、北海道でも洪水を引き起こして、じゃがいもが不作になったということも話題になりました。台風が襲う頻度としては、北日本は西日本や東日本に比べると少ないのですが、実は日本中どこでも台風に襲われて災害に見舞われる危険があるので、頻度が少ない、あるいは経験する回数が少ないからといって災害がないというわけではないことを特に注意しておいていただきたいと思います。

台風が襲来することが多いのは、二百十日だとか二百二十日と言われますが、これは昔から言われていることで、別に統計や細かい資料がなくても、その頃に台風がしばしばやってくることを知っていたということです。実際の記録を見てみると、やはり8月の下旬から9月の下旬というのは、日本にやって来る台風の7割ぐらいがそこの季節に集中していますので、やはり先人の知恵というか、われわれが昔から経験していることは、ある種正しい防災知識であったりするということです。

同じ災害でも地域によってその起こり方が違うということもあります。例えば、短い時間に雷を伴った強い雨が降る場合、山で降った雨が地面にすぐ吸収されるような所では比較的災害が少なくても、都市部のようにアスファルトやコンクリートで固められている所では、1時間に50ミリ、80ミリも降ると、あっという間に水路や排水管が溢れて、処理できなくなって浸水してしまうということがあります。このように同じ雨でも、その場所ごとに災害の起こり方が違いますので、身の回りで起こる災害について、常に注意が必要だと思います。

「自分の身は自分で守る」ための行動

最近は「ハザードマップ」という言葉を、よく耳にすることがあると思いますが、洪水、浸水など、土砂災害の「ハザードマップ」というのを自治体で作っています。恐らくそれぞれの自治体で各家庭に配っていたり、場合によっては冊子やインターネットでもご覧いただけると思いますが、普段から、家族全員でそういうものに目を通しておくことが、非常に大事だと思います。例えば、避難所についてや災害時にどうしたらいいかという知識を含めて、災害時に役に立つ情報は揃ってきていますので、常に意識して、自分の身を守るための情報を積極的に取りにいくことが大事だと思います。

平成26年に台風18号が静岡県の浜松付近に上陸して、関東地方の南部を横切り、横浜などでは気象台開設以来の雨が降りました。その時に東京の真ん中の港区で、土砂災害警戒情報が発表されました。そのため、港区役所に住民から電話が殺到して、防災対応が一時滞ってしまったということがありました。港区では、ホームページ上に土砂災害の起こりやすい場所や住所が地図上に掲載されていますし、危険箇所も指定されていて、ハザードマップを見れば当然理解できるような資料は出されていました。そのような情報を普段から自分のこととして手に入れていなかったために、たまたま台風が来て港区に土砂災害警戒情報が発表されると、住民の皆さんが慌ててしまって、どうしたらいいかが分からなくなってしまったわけです。これは、ひとつの例ですが、そういう例は恐らくあちらこちらであると思います。自分の身を自分で守るためにも、ハザードマップや自然災害に関する資料、情報を事前に手に入れておくことが大事だということが、この例を見ても分かるかと思います。

自然災害に対しては常日頃の備えが大切です。低地で裏に山がなければ、土砂災害の心配はないかもしれませんが、逆に浸水や洪水の恐れがありますし、ちょっと小高い所であれば、浸水や洪水の心配というのは全然なくても、裏に山や崖があるとこれはまた違った土砂災害の危険があります。そのような、自分の身近にある危険性に常に注意しておくことが自分の身を自分で守ることにつながります。

気象災害においてはまず「避難」

自然災害が心配な地域においては、避難所に避難するというのが一つの一番安全な方法かと思いますが、避難勧告や避難指示が出た時に、実際に避難所に避難する方が少ないのはなぜなのでしょうか? 避難所に避難することを考えた際に、地震や津波で家が壊されたり流されたりして、体育館のような所に長い間避難しなければならないというイメージが、頭のどこかにあるので、避難所に行くのを躊躇してしまう方も多いのではないかと思われます。

しかし、気象災害においては、本当に危険な時間帯というのはせいぜい半日ぐらいです。ですから気象災害に備えて避難するということは、例えば夜の間だけとか、台風が行き過ぎてしまうまでの数時間の間だけ、というふうに考えれば、その間本当に短い時間ですので、自ら安全な所に逃げることを積極的に考えていただくのが第一ではないかと思います。台風などの危険が去った後でも、土砂災害や洪水が発生する可能性もあり、少し時間的に時差がありますけれど、それでも1日や数日という単位ではありませんので、むしろ気象災害の場合には、躊躇せずにすぐに避難する、安全な所に行くということが大事だと思います。

また、最近の災害の特徴で、耳にしたことがあるかと思いますが、台風などの際に、田んぼを見に行って水路に落ちて亡くなる、港に自分の舟を見に行って海に落ちて亡くなるということが非常に多く発生しています。仕事や自分の生活に関わることなので、気になって行ってしまうということがあるかもしれませんが、そのような行為は、自分の身を自ら危険にさらしてしまうことになりますので、やはり危険に近づかないということを第一に考え注意していただきたいと思います。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。