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防災インタビューVol.140

気象災害から身を守るための知恵

放送月:2017年5月
公開月:2017年12月

村中 明 氏

元気象庁予報課長、CeMI環境・防災研究所

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

プロフィール

私は、数年前まで約40年間、気象庁で予報の仕事をしておりました。気象庁という所は天気予報や地震や津波、火山に関することなど、いろいろな仕事があるのですが、私は、気象庁に入庁してから40年間ほとんど予報や気象防災の仕事をしておりました。

小学校の低学年の時に伊勢湾台風を東京で経験し、その時、家の裏山にあった非常に大きな木が倒れたことが、子ども心にもとても印象に残っておりまして、それから気象に非常に興味を持ちました。小学生の頃から天気図を書いたり、気象の本を読んだりして、念願叶って気象庁に入って以来40年、予報の仕事をしてきました。今は気象予報士という制度が出来ていて、気象に関心を持っている方は非常に多くいますが、私は50年も昔から気象に興味を持って関わってきていますので、気象オタクの元祖に近いのかもしれません。

現在は、環境防災総合政策研究機構という所で、気象災害を防ぐために、タイムラインというものを全国の自治体に広めるような仕事をしています。ここでは、気象をやっている人はとても少ないので、手伝ってほしいという要請があり、私自身も防災に非常に興味があったので、今はここで気象のお仕事をしています。

気象災害が多い国「日本」

気象災害というと、洪水や高潮が思い浮かぶと思いますが、日本という場所が気象や気象災害に対してどんな所にあるのかということをまずお話ししたいと思います。

日本には春夏秋冬があって、非常に季節の変化に富んでおり、なおかつ水資源が非常に豊かです。そういう意味では、自然に恵まれた場所にあることは間違いないのですが、実はそれと裏腹の関係にあって、非常に気象災害の危険な地域でもあるということです。例えば一つの数字を挙げてみますと、日本というのは平地が少なく山がちですので、洪水氾濫区域というのは国土の10%くらいしかありません。しかしながら、実は人口の50%がそのわずか10%の土地に住んでいます。その上、国の資産の実に75%がその洪水氾濫区域にあるということで、一度洪水が起こると非常に危険な所です。もう一つは、日本の国土は、ほとんど温帯地方にあるのですが、温帯地方にありながら、熱帯地方並みのものすごい雨が降る所でもあります。最近、短い時間に降る激しい雨が増えているのではないかということをお聞きになったことがあると思います。それが地球の温暖化に関連しているという声も聞きますけれど、確かに気象庁のアメダスで行っている観測などを見ますと、1時間に80ミリを超えるような猛烈で浸水の災害につながるような雨が、それ以前に比べて増えている傾向にあります。このような雨の回数は、実際に多くなっているのですが、ただ、それが温暖化によるものかどうかはまだ原因がはっきりしていません。アメダスの統計が始まってから40年ぐらいしかたっていないので、非常に長い気候、気象の変動の中で、40年間での変化だけで結論が言えるかどうかという難しさがあります。ただ、その回数が増えているという意味では災害につながるような雨ですので、注意をしなければいけないということは確かです。気候の変動という意味では、例えば200年ぐらい前は非常に寒かった時期があって、イギリスのロンドンのテムズ川が凍ったとか、日本でも岩手県の宮古湾の海が凍ったという話があります。長い地球の歴史の中で、地球自体は生き物ではありませんが、やはり地球の気候も変動があるということなのだと思います。

年間の雨量の分布を見ますと、先ほど言いましたように場所によっては熱帯地方のように激しい雨が降っています。特に、太平洋側は、梅雨から台風の時期にかけては非常に雨量が多いですが、一方、冬は北陸から東北地方の日本海側が世界で冠たる豪雪地帯で、雪が多く降ります。このように気象災害は地域によってもかなり違いますので、人々の記憶から薄れてしまったり、他所であった災害が自分の所の災害として生かされることがなかなかありません。そのために皆が初めて経験するような災害が毎年のように起こってしまうということがあるわけです。そのためにも、他所で起こった災害も自分の所の災害として記憶する、あるいは昔あった災害から今を学ぶことが重要です。また、今回起こった災害は仮に大した災害ではなかったとしても、もし条件や環境が違ったらもっと大きな災害につながる可能性があるということを考え、災害一つ一つについて自分の身に降り掛かるものとして思いをはせていただくと、防災に非常に役に立つのではないかと思います。日本人は台風などにも慣れてしまっていますが、外国の方が少し長く日本にいると、「日本という所は地震も含めて、自然災害が多い所だ」ということを感じられるのではないかと思います。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。