1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報
  4. 防災インタビュー
  5. 災害に強い社会をつくる
  6. 地に足着けて地球を考える
  1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報

防災インタビューVol.142

地に足着けて地球を考える

放送月:2017年7月
公開月:2018年2月

桜井 愛子 氏

東洋英和女学院大学
国際社会学部 准教授

プロフィール

私は、東洋英和女学院大学の国際社会学部で准教授をしています。「持続可能な開発と防災」というテーマで、現在2年生と3年生の学生を持っており、私のゼミでは「地に足着けて地球を考える」ということをテーマにしています。私自身が防災の世界に入ったのは、東日本大震災がきっかけでした。それ以来、災害復興や防災教育に携わるようになりましたが、それ以前は長く国際協力の分野で途上国の教育開発、特に中東のイエメンという国で女子教育の推進をしていました。
東日本大震災を機に防災の世界に入るようになりましたが、私自身がそれまでにいろいろ経験してきたことを、どうやって学生に伝えようかと考えたときに、まず防災というのは自分たちの地域を考えることであり、地元に根付くことが大切ですので、地元の活動をしながら国際的な問題について考えることができるような学生を育てたいとの思いから、このテーマにしました。

「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」の活動を通して

東日本大震災の後、私は国際NGOセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンという、子どもの権利を守ることを使命にやっている団体に入りました。そこで東日本大震災の復興支援プログラムに携わるようになり、被災地の学校と子どもたちを支援する活動を始めました。その当時は被災地の特に津波で学校が水に漬かったり、家が流されてしまった子どもたちにランドセルや文房具を配ったり、余震も多かったので、地震に備えるための防災頭巾を配ったり、震災後は必要な物資を配って、子どもたちの学校生活をより充実したものにしていこうという活動をしていました。
震災から半年から10カ月ぐらいがたったころ、国際NGOの本部から「次の災害に備えるために、この経験からどう学ぶのか」ということを通して防災を考えてほしいという要請がありました。実際に防災に関する活動については日本は非常に進んでいるのですが、災害後の緊急的な支援や人道的な支援を世界中のいろいろな場所で行っている国際NGOとしては、日本の基準で活動するというよりは、国際的な枠組みの中で当時は動いていました。その要請を受けて、震災から10カ月を過ぎたあたりから「次の活動としては今後の防災に備えよう」という切り替えがあって、それを日本でどうやっていくかを考えるようになったのが、私が防災に関わるきっかけになりました。
今まで、日本は国際協力の世界ではドナーといって、途上国の人たちを助けるためにお金や人を送る立場でした。技術も途上国の人たちに伝えていくことが主で、受け手と出し手の関係でいくと、どちらかというと出し手の側でした。しかしながら東日本大震災の時はあれだけ大規模な災害でしたので、世界各国から膨大な援助や募金が届きました。国際NGOとして私は、ドナーの方から受け取った募金を日本でどのように役立てるのかを説明する責任がありますので、活動の計画や報告を英語で作成することに携わりました。
そして震災から10カ月ほどして、オーストラリアのセーブ・ザ・チルドレンから、オーストラリアで集めたお金を防災のために使ってほしいというお話がありました。その際に世界で使っている防災に関する教材も一緒に頂きましたが、日本でそのまま使えるものではありませんでした。実は、我々は今まで国際協力をする際には、割と日本でやってきたことをそのまま世界に伝えようとしてきたところがあったのですが、今度は逆の立場になりました。実際に世界の教材を見てみると、今回の東日本大震災では、一番大きな被害は津波であったにもかかわらず、世界ではあまり津波は想定していなかったり、いろいろ考え方の違いもありました。そこで、以前に私が勤めておりました東北大学の先生のところに行って「日本の被災地で防災教育をするので力を貸してほしい」とお願いし、日本の実情に合った防災教育をするために、以前から日本ではよく使われている手段ですが「防災マップ作り」を通して、防災教育をしていくことを検討しました。
このように、世界から頂いた教材を踏まえて、日本の実情に合った形に変えていくという作業を通して、私にとっても大きな学びがありました。今まで国際協力をやっていく上で、日本の経験が優れているので、これを伝えようという形で持っていく場合が非常に多かったのですが、それを受ける立場の人がどういうふうに考えるのか、どういうふうに感じるのかというのは分かっていませんでした。今回の経験を通して、日本人の子どもたちが海外からの支援を受けながら何かを学ぶときに、現地のことが分かっていて、子どもたちが今何が必要かをその時期その時期に把握して、それを踏まえた上で実際に活動をつくることが、いかに難しいことなのか、そしてどれだけきめの細かい考えをしていかなければいけないのかを学ぶことができました。私自身、海外でやってきた経験を基に、日本の東日本大震災の復興に携わるようになって、あらためてもう一度自分の関わり方、人との関わり方、支援するということ、されるということがどういうことなのかを考え抜く、いい機会になりました。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。