1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報
  4. 防災インタビュー
  5. 災害に強い社会をつくる
  6. 「災害に備え、災害を生き抜き、日常に戻るために」
  1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報

防災インタビューVol.155

「災害に備え、災害を生き抜き、日常に戻るために」

放送月:2018年8月
公開月:2019年2月

鍵屋 一 氏

跡見学園女子大学
観光コミュニティ学部
教授

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

避難生活のための知恵

日常だと家事や近所に出掛けるということがありますが、避難所ではそういうことはしませんので、動く回数が圧倒的に少なくなります。そこで足のむくみや疲労を取るための着圧ソックスが有効です。非常にひどい場合は医療用の着圧ソックスを着用することをお勧めします。それから歯磨きも大事です。なかなか水が出なかったりしてやりにくいところもありますが、歯磨きをしないでいると口の中に細菌が多くなったり、あるいは誤嚥性肺炎のもとになりますので、から磨きでいいので歯磨きをして、できれば洗口液を使って口の中を清潔にしておくということが大事なポイントになろうかと思います。
避難所だと周りの人の目があるのですが、逆に、在宅避難で自宅にいると具合が悪くなってもそのまま我慢してしまうこともあり、一気に危ないことになる場合がありますので、早め早めにお医者さんに連絡をして診てもらうことが大事です。
また、災害の後には、家を片付けなければならないという時期がやってきます。いつまでも水害で泥が入ったり家財が水に浸かったりすると気持ちもめげて、なかなか前向きになれないのですが、片付けなければいけないかなという気持ちになってきたときに、知っていてほしいポイントがあります。まずは、写真を撮っておくことです。できれば家の四方から外側がどうなっているかということを写真に撮る、それから家の中も片付ける前に、こんなふうにたんすが水に浸かってその跡があるとか、水の浸かった線が見えるとか、そのような段階で写真を撮っておきますと、その後行政の被害家屋認定調査の際にも、すぐにできますし、保険金の請求などにも役に立ちますから、まず必ず写真を撮っておいて下さい。
その後、罹災証明書という、確かに災害を受けましたという証明書を役所が発行します。その罹災証明書の発行を受けることによってさまざまな公的な支援制度を受けることができます。例えば、床上まで水がきたら一部損壊になり、それに応じた支援が受けられるなど、今後の支援につながっていきますので、まず写真を撮って罹災証明書を取ることから始めていただければと思います。その後、いよいよぬれてしまった家具や電化製品を片付けるというところにくるのですが、気持ちとしては片付けはとても疲れるので、意識的にゆっくりとやるように心掛けてください。

被害に遭ったときに役に立つ知識

被害に遭わないようにする方法についてはいろいろな情報がありますが、被害に遭ったときにどうするかということについては、行政からも指導がありませんし、情報が非常に少ないです。「震災がつなぐ全国ネットワーク」という組織から「水害にあったときに」という生活再建の手引きが発行されています。これは「震災がつなぐ全国ネットワーク」のホームページにありますので、それをご覧いただければと思います。ここには、役に立つ情報がたくさん載っています。
スマートフォンや携帯電話が水に浸かってしまった場合、皆さんも日常の中で経験したことがあるかもしれませんが、絶対に電源を入れてはいけません。これはまず乾燥させて、できればショップに行って大丈夫かどうかも確認してから電源を入れた方がいいです。中が熱くなってしまうので、ドライヤーで乾燥させてはいけません。冷蔵庫などで乾燥させるのが良いかと思います。水害に遭った自動車も絶対にエンジンをかけないようにしてください。エンジンをかけると中でショートしてしまって、せっかく無事だったものまで焼けてしまうということもありますので、修理工場に連絡をして、持っていって直してもらうということが大事になります。また、お金がぬれてグシャグシャになってしまった場合は、程度にもよりますけれど、そのままある程度乾いたら銀行に持っていけば新しいお札に替えてもらえます。
特に、気を付けなければいけないのは床下浸水で、畳や床の上までは水が上がってこなかったけれども泥が床の下にあると、その泥がだんだん乾燥してきた時に、カビなどが発生したり、すごく嫌な臭いが発生してたまらない状態になることがあります。そうならないためにも、早い段階で泥を掻き出して乾燥させる必要があります。最低でも1カ月以上乾燥させなければいけませんので、結構長期戦になりますけれども、役所などから紹介されたボランティアや業者に頼んで床下の泥を全部外に出してしまうことが大事です。この場合、感染症などのリスクもありますので、消毒剤などを使用して、感染症にかからないよう準備をしていただく必要もあります。この際も一人で背負い込まないで、社会福祉協議会などに相談して、ボランティアを派遣してもらったりしながらやっていただければと思います。

助けてくれる人は必ずいる

災害の際には、目の前に水がない、食料がないとなると、すごく不安になるものですが、近年の水害で水や食料が手に入らなくて亡くなるということはあまりありません。必ず救助の手は伸びてきますし、必ず生活は再建できます。政府も自治体もボランティアも、懸命に支援活動に入りますので、そういった支援が来るということを信じて、気を強く持って、災害直後は、隣近所の人と話し合いながら、少し辛抱しながら進めていくということが大事です。必ず助けてもらえますので、被災してもあまり過度に心配をせずにちょっと辛抱して救助を待つということが良いかと思います。そのためにも、まずは自分が助かるというところからスタートして、命を守ることを心掛けていただければと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

会社概要 | 個人情報保護方針