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防災インタビューVol.160

経験して、想像して、楽しむ 地震への備え

放送月:2019年1月
公開月:2019年7月

上園智美 氏

日本ミクニヤ株式会社
防災部

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

自助 ~自ら備え、落ち着いて行動する~

私は大学の時に地質学の勉強をしていたので、2016年に熊本で地震が起きた時には「活断層が動いたな」というふうに瞬時に思いました。両親と連絡が取れない間にも冷静な判断をしなければいけないということで、両親はもしかしたら2人とも駄目かもしれないというような最悪の状況を想定して覚悟を決めました。それで、まずは覚悟を決めて深呼吸をして、さてこれから何を自分がすべきかということを想像しました。何か大きなことが起こった際に一番大事なことは、いったん落ち着いて深呼吸をして次の行動を考えるということです。

熊本地震の直後に、熊本に住む友人たちにメールを送って、まずは深呼吸をしてくださいと伝えました。やはり地震で大きく揺れた後というのは、ドキドキして自分がどうしたらいいかすごく混乱してしまうと思うので、まずは目をつぶって深呼吸をして、大丈夫だと自分に言い聞かせてから、それから「では、いま自分は何をしたらいいか」ということを考えて行動してほしいと伝えました。そのメールを見た友人たちに後で聞いてみると、このメールを見て「そうか、これをやればいいのか」と落ち着いて対応ができたのですごくありがたかったというふうに言っていただきました。大きな災害があってパニックになってしまうととても危険ですし、特に熊本地震は夜中に起こったので、暗い中でしかも電気が消えて揺れるというのはとても怖いです。その際にも、まずは落ち着いて行動するということをお願いしたいです。

災害が起こった際には、まずこのように深呼吸をして、自分自身を落ち着けてから行動することも大事ですが、それ以前の対策として、家を建てたり、家を借りる時に、ハザードマップなどを確認して、その場所が安全な場所なのか、もしくはどういう災害に遭いそうな場所なのかということを調べておくことが大切です。まず安全な場所を選び、その上で災害に強い家を造ったり、家の中を安全にしておくということもやっていただきたいと思います。災害の際には誰かが助けに来てくれると考えるのではなく、自分の身は自分で守るということを第一に考えていただければと思います。住民の皆さんとお話をしていると、「防災は行政がやるものだ」と思っている方が残念ながらいらっしゃるのですが、誰かが来て助けてくれるわけではなかなかないので、やはり自分のことは自分で守るために、安全な場所に、そして安全な家に住んでいただきたいと思います。また家だけではなく、いろいろ場所に行っているときに災害に遭う可能性もあるので、常に覚悟をして備えておいていただければと思います。

地震への備え ~10の行動~

被災地に行くたびに「まさかここでこんな地震が起きるなんて」という言葉を本当によく聞きます。やはり皆さんは、なかなか自分が被災するという想像が難しく、どうしても他人事になってしまっているのだと思います。しかし、日本に住んでいる限り地震というのは、どうしても絶対に遭ってしまうものです。それは大きいか小さいかにも差はありますが、残念ながら皆さんが生きている間にもっと大きい地震が来るかもしれないということはどうしようもないことだと思います。そう言いながらも、なかなかこれを他人事ではなく、「自分事」にするのは難しいと思うのですが、そのひとつの方法として、次のことをしてみて下さい。まず、ちょっと周りを見渡していただいて、今そこで地震が起きたら何をするか、10個思い浮かべて書いてみてください。例えばここで地震が起きたら、まず私はこの机の下にもぐります。それから扉を開けて逃げる準備をすると思います。しかし、10個書くというのは難しいことです。最初にやってみると多分2つぐらいしか書けないと思いますが、何回か訓練をしていただくと、だんだんと書けるようになっていきます。何度かやって練習をしておくと、実際に大きな地震が起きたときに、「そういえば10個書いたな」ということを思い出して、「ああ、あれをやっていけばいいんだな」というふうに安心して対応することができると思います。

例えば、10個書けたとしても、その状況は多分自分が無事であることが前提で書いていると思います。自分がけがをしてしまう可能性というのはなかなか考えづらいですし、ましてや自分が死んでしまうということはなかなか考えられないのですが、「では、けがをしていたら、その10個のうちどれだけのことができるか」というのも考えておいていただけると、「やはりけがをしないことが大事だな」というふうに思っていただけるかなと思います。その他、例えば熊本地震の際は余震がとても多くて、怖くて家の中にいられなかったということがありましたが、地震が来た際の10の行動が書けたら、次には余震が来たらどうなるかということも想像していただけたらと思います。

このように、地震の際の行動を10個書いてみるという経験は、大事な訓練になります。経験したことがあれば、やはり災害が起きたときにも役に立つと思います。それからここでもし地震が起きたらどうなるかなと考えることは想像力が必要ですので、この想像力を育てるということも災害時にはとても役立つと思います。これが最初にお話しした「防災に必要なことの3つ」のうちの2つのこと、「経験」と「想像力」ということになります。そしてやはり防災を続けるためには「楽しむ」ことが大事なので、道路啓開のゲームもやはり楽しむということにつなげたいと思ってゲームにしたのですが、そういうふうに楽しみながら、ぜひ続けていただければと思っています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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