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防災インタビューVol.161

セコムの防犯ノウハウを生かした災害対策

放送月:2019年2月
公開月:2019年8月

小松原 康弘 氏

セコム株式会社
企画部

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

被災地へのAEDの設置と講習会の実施

熊本地震の被災地支援の内容とその中で感じたことなどを紹介させていただきます。まず、熊本地震の際に最初に進めてきたのは、心肺蘇生で重要な役割を持つAEDの提供です。われわれの場合はこのAEDをただ売るだけではなく、メンテナンスをしたりレンタルをしています。最近では災害救助法で、行政がAEDを仮設住宅の集会所へ設置することもだんだんと増えてきてはいるのですが、熊本地震当時はまだまだAEDは設置されていない所があったので、仮設住宅の集会所にAEDを設置していったということです。

災害時の支援というのは、地域による偏りが出てきてしまいがちで、残念ながらメディアでよく取り上げられている所には支援が集中するということがよくあります。われわれはどちらかと言うと、メディアで取り上げられている所だけではなく、幅広く被害を受けられた自治体の方々に対してAEDを設置していったということが特徴です。またAEDを設置しただけでは、実際に使えるかどうかということがあるので、併せてAEDの講習会に関しても継続的に実施をしていきました。基本は地元の消防署の方がAEDの使用法について講習会をされていますが、少人数で習いたい、何度か実際にやってみたいという要望に応えて、セコムとしても講習会を実施してきました。

セコムというのは日ごろ防犯のイメージがあって、AEDを取り扱っていることもあまり知られていないのですが、この支援を通して、セコムの活動を知ってもらうことにもなりますし、ただAEDを置くだけではなく講習会を実施することで、直接被災地域の方々にお伝えすることができ、非常に手応えのあった支援になったと思います。

なかなか実際には、プレハブの仮設住宅にお住まいの方々というのは、高齢者の方も多く、AEDを実際に使うことに不安を感じられる方もいらっしゃるのですが、いざ講習会を始めてみると、みんなで代わる代わる人体模型に対して活気を持ってトレーニングされており、笑顔で参加されている姿を拝見するにつけても、「自分たちの仮設住宅は自分たちで守るんだ」という自衛意識を育むためにも、このような講習会というのは非常に役に立ったという印象があります。

「みなし仮設」の見守り支援

これも熊本地震の際のお話になるのですが、いわゆる民間の賃貸住宅を借り上げて仮設住宅とした「みなし仮設」の見守り支援についてお話しさせていただきます。大きな災害が起こると仮設住宅が建設されるというのが、今まで一般的だったのですが、最近はいわゆるプレハブの仮設住宅を建設するのに500万円から600万円ぐらい掛かるため、建設コストの関係もあって、東日本大震災以降、「みなし仮設」が一般的になりつつあります。熊本地震の被災地でも、約1万世帯ある中で8割はみなし仮設住宅で、一般的なプレハブの仮設住宅というのは2割ほどになっており、仮設住宅にお住まいの方のほとんどは、民間の賃貸住宅を借り上げた仮設住宅に住んでいました。民間の賃貸住宅のメリットの部分としては、建設コストが借り上げの費用だけで抑えられるし、実際住んでみると普通の住宅なので住み心地がいいということもありますが、一方で、実際に仮設住宅に住んでいるということが周りから見えないので、見守りをするときに声掛けしたり、訪問したりするのが難しくなったり、最悪の事態としては孤独死の懸念もあるということが指摘されています。また、みなし仮設住宅に住んでいる方にとっても、他の周りの方は、民間賃貸住宅に住んでいる方なので、あまり声掛けや訪問もされたくないという声もありますので、見守る側と見守られる側のジレンマみたいなものも起こっていて、被災地における社会課題ともなっています。

そうした中でわれわれは、被災地で高齢者の救急サービスとして、セコムの「マイドクタープラス」という名称で一般に提供している見守り携帯を高齢者に提供しました。セコムで救急情報を事前にお預かりし、見守り携帯の紐を引っ張るとセンターの方から高齢者の方に「どうしましたか」と「大丈夫ですか」というお声掛けをするという仕組みになっています。この見守り携帯を利用して、今まで月1回の訪問だったのが、電話でお声掛けをすることもできるようになり、この訪問とお声掛けの部分は社会福祉協議会の地域支え合いセンターが担当し、緊急事態のときにはセコムが駆け付けをするというような形で情報連携しながら、被災地支援として熊本で展開してきました。この「マイドクタープラス」というサービス自体は既に提供実績があったのですが、被災地で実際に使用して、高齢者の方の見守りをする中で、災害時ならではの困り事などについても知ることができ、それを既存のサービスの方にフィードバックすることで、よりこのサービスの質を高めるきっかけにもなったと感じています。これも既存のサービスの延長として、被災地で提供していくことで、われわれにとっても非常に勉強にもなりましたし、手応えのある支援になったと考えています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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