1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報
  4. 防災インタビュー
  5. 災害に強い社会をつくる
  6. 支え合う仕組みづくりで減災
  1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報

防災インタビューVol.169

支え合う仕組みづくりで減災

放送月:2019年10月
公開月:2020年2月

宮下 加奈 氏

一般社団法人 減災・復興支援機構
専務理事

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

プロフィール

私は東京都の三宅島で生まれ育ちました。小さい時から「三宅島では噴火がある」と聞いていたのですが、中学生の時に初めて被災し、家も学校も思い出の地も全てが溶岩流に埋まるという経験をしました。その後大人になって2度目の噴火災害を経験して、その時には全島避難ということで島を離れ、4年5カ月の避難生活を送ったことが私の被災体験です。それをきっかけに今のような防災に関するお仕事をさせていただくようになり、はや20年がたとうとしています。

今は一般社団法人 減災・復興支援機構で、事前の啓発活動や研修活動と同時に、復興支援などをしています。私の被災経験の中で特に大変だった「避難生活」と「地域の復興」に焦点を合わせて、避難所運営についての研修やワークショップを中心とした仕事と、「地域の復興」ということで、被災地の復興支援と同時に、「被災したら自分たちの生活がどうなるのか」を想像していただくような仕事もさせていただいています。その他にも減災対策、防災対策ということで、障害者施設の防災対策を考えたり、地域の啓発と研修活動なども併せてさせていただいています。

災害を防ぐことは非常に難しいので、まずは、いかに自分自身の災いのリスクを減らしていくかが重要です。特に被災後の生活をいかに守っていくのかという意味では、リスクを減らしていくという考え方が非常に重要だと思っています。

長期避難における課題

今から19年前の2000年の三宅島の噴火災害の際、4年5ヶ月という長期間にわたって島を離れての避難生活がとても大変でしたので、長期避難をするとどんなことが課題になるのかということをまず皆さんに知っていただきたいと思います。4年5カ月という月日は、一言で言っても長いと感じると思いますが、避難生活としてはさらに長く感じました。その中で一番つらかったのは、そもそも自分の住んでいた場所に戻れないということが決められてしまっているということでした。その中で4年5カ月の間、ただ黙っているわけではないので、当然自分の生活を守っていくために仕事をしたり、学校に通ったり、さまざまな生活行動をしていかなければいけないのですが、それがなかなか思うようにいかなかったというのが一番大きな課題だったと思います。

長期避難で特に大変だったのは、高齢者の生活問題と自分の生活をいかに守っていくかということで、特に高齢者は長い期間住んでいた場所を離れて、全く知らない場所での新しい生活というのは精神的にも厳しいものがありました。長い期間でしたので、その間に残念ながら病気が悪化して、お亡くなりになる方もいましたし、島に帰ってからの生活を立て直すために一生懸命頑張ろうと思ってもなかなかうまくいかず非常につらい思いをしていました。

長期間避難をしている間には、仕事をしたり学校に通ったりという生活をするのですが、どうしても避難先に根付かないと仕事が成り立たない、収入が増えていかないという状況で、一番お金を必要とする若い方たちが避難先に根付いた生活が成り立ってしまったがために地元に帰れなくなってしまったという課題が大きく残りました。そのことで、避難生活を終え、地元に戻れる時がきた時には、今までも過疎高齢化をしていた地域がさらに加速してしまうということが起こりました。島に戻るのは比較的高齢で、土地に愛着があった方々だけになってしまい、これからの地域の復興の担い手となる働き手の方々は、どうしても避難先に残らざるを得なくなってしまったり、場合によっては世帯の中でお父さんだけが地元に帰って、お母さんと子どもたちは避難先に残ってしまうという世帯分離が起きたり、高齢の方でも病気が悪化して、地元に帰ることを断念して避難先で生活を送らなければならなくなった方がいました。このようなことが非常に課題であり残念な点だと思っています。

実際4年以上という長期の避難になりますと、家のローンや事業の借り入れ金がある方は、島に戻らないと生活ができないと分かっていても、いつ戻れるか分からないので、避難生活を乗り切るためにも生活の糧を得なければならず、避難先に根付いて、そこでの生活ができあがってしまうという結果になりました。もともと被災して長期の避難生活を経て、元の場所に戻る人たちは、6割、7割程度に留まると言われていますが、戻る方のほとんどが高齢者ということは、復興の担い手がいない、復興計画があったとしてもそれを成し遂げていく人がいないというのが大きな課題です。現在もいろいろな工夫をして若い人を誘致したり、企業や団体を誘致したりという活動は続けていますが、完全に払拭できるわけではありません。どうやって人を増やしていくのか、流通人口を増やすのか、定住人口を増やすのかという課題を解決しながら、とにかく少しずつでも、そこに居てくれる人を増やしていく方法を考えることが必要だと思います。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。