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防災インタビューVol.169

支え合う仕組みづくりで減災

放送月:2019年10月
公開月:2020年2月

宮下 加奈 氏

一般社団法人 減災・復興支援機構
専務理事

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

支え合って生きる

社会というのは「支え合って生きていくこと」が非常に大切だと思っています。高齢者と若い人たち、それから障害者と健常者が支え合う仕組みというのは、避難所だけではなくて社会全体として構築していくべきだと思います。普段のそういった関係がしっかりできていると、いざ災害が起きたときにも支え合いということが生きてくるというのが理想です。特に地域の中で取り残されがちな障害者の方を支えていくためには、日頃からその方がどんな生活をしているのかをよく知っておくといいと思いますし、高齢の方だったら、日頃生活をしている場所や寝ている部屋はどこかというようなことを共有したり、出掛けるときには、お隣の家などに「今日は娘の家に行ってくるよ」と一言声を掛けるような、古き良き時代を思い出して、日頃から支え合って生活していくことができるといいと思います。

都会では、隣の人の顔も名前も知らないということが多いかもしれませんが、隣近所でなくても、自分が話せる仲の良い方にそのような話をしておくとか、何日間か連絡がつかなかったら、ここに連絡をしてほしいというようなことをお願いしておくのも一つの手です。今は時代が変わって、SNSなども有効ですし、いろいろな形で連絡が取れる方法があると思います。実際に災害時には、高齢者の一人暮らしの方は避難していたり、仮設住宅に入っていると気付かれないということもありますので、そのようなことがないように、日頃の生活のちょっとした工夫により、地域の中で顔が見えて、名前が分かるというような生活をすることが、減災、防災につながります。少し遠隔地でもよいので、連絡が取れる人を作っておくことをお勧めします。

災害をイメージすることでの減災対策

私は、今までに2度の被災体験がありますが、これは非常に珍しい方だと思います。被災体験というのはしない方がいいのですが、体験してしまった以上、何かをしなくてはいけないということで、現在このような仕事をして、お話をさせていただくようになりました。その中で、やはり地域や人とのつながりというのは非常に大切だと感じています。災害直後には、よく「絆」とか「人の輪」ということが言われますが、時間が過ぎると忘れがちなので、原点に立ち戻って、年に一度でもいいので、災害について考える日を作ってほしいと思います。

さらに災害が起きたときに、自分がどうなるかということを、被災地を見て想像してみてほしいのです。一人一人が想像して、そうならないようにするためには実際にどうしたらいいのかを考えることが必要です。さらに、お家の中でなかなか災害について話す機会は少ないと思いますが、食卓を囲んで、「地震が起きたらどうするか」「水害が起きたらどうするか」「災害の際に落ち合う場所をどうするか」というような話をする機会を作っておくことが大切です。今災害が増えている中で、年に一度でもいいので、自分自身の身近な災害の日、例えば、9月1日が防災の日、関西方面だと1月17日、東北や最近日本全体として3月11日など、それぞれの地域、家族にとって災害について考えるきっかけになる日を作って、家族の中で話を振り出して、ぜひ災害について考えてほしいと思います。

よく私は、「備蓄品にはどんなものを用意したらいいですか」という質問を受けるのですが、私からの一つの提案として、普段だったらあまり買わないようなちょっと豪華なレトルト食品やインスタント食品などを家庭で備蓄して、それらの賞味期限が切れる頃にみんなで食べるようにしてほしいと伝えています。その際に、「災害が起きたらどうするか」という話をしてもらうことをお勧めしています。備蓄品というのは、どうしても置きっぱなしにして賞味期限が切れて食べられなくなって無駄にしてしまうので、買うのをやめたという方が非常に多いのですが、賞味期限が切れる頃にみんなで食べる、食べたらまた買ってきて備蓄するようにしてもらって、「今年は災害がなかったから、みんなでこんな珍しいレトルト食品が食べられるね」というように、何かきっかけを作って、みんなで災害について話をする日を年に1回でもいいから設けてほしいというのがお願いです。これは、「ローリングストック」と言って、食べたらまた買っておくということですが、言葉では分かっていてもなかなかイメージは湧かないものです。このような方法だと分かりやすいと思うのでぜひやっていただければと思います。

このように、一人一人が減災対策、防災対策に努めることで、避難所のあり方も変わってきますし、個人の生活の仕方も変わってきます。また、一人一人の対策が進むことで地域全体が強くなるということにつながっていくと思います。これが減災対策につながるので、年に一度でいいので、災害を自分のことと思って何かを考える日を作ってもらいたいと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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