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防災インタビューVol.169

支え合う仕組みづくりで減災

放送月:2019年10月
公開月:2020年2月

宮下 加奈 氏

一般社団法人 減災・復興支援機構
専務理事

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

災害時の障害者への対応の課題

災害時、高齢者と同じように課題になるのが障害者への対応だと思います。実は私も6年ほど前に大きな手術を受けて、障害者手帳をもらうようになったのですが、その時に改めて障害者のあり方や災害時の障害者への対応について考える機会が多くなりました。少し偏見が入るかもしれませんが、同じように障害を持たれている方でも、身体障害者に対しては行政の手も行き届いていて、非常に手厚くしていただけるのですが、見た目で分からない障害を抱えている人は、どうしても災害時に取り残されてしまいがちであると、私は強く感じています。

例えば内部疾患の方は、なかなか人に言うこともできませんし、人から見ても分からないので、被災者の中でも障害者として扱ってもらえない、手助けをしてもらえないということで、虐げられているというか、取り残されていると強く感じます。それと同時に精神障害者の方、知的障害者の方で、福祉の網にかかる人たちは、比較的手厚い保護が受けられるのですが、そこまでに至らない方たちにとって、被災地の避難所での生活は非常に苦しくなっており、どのように対応していくかが大きな課題になっています。地域の中では、障害者に対応した経験がない方や、そのことを想像さえしていない人たちも非常に多いので、障害者たちが避難所に来た場合に、どこに配慮すべきなのかが分からず、そのことを誰と話し合うのかということも進んでいない状況だと思います。

内部疾患の方は、自分である程度状況を伝えて、医師などと相談することができますが、軽度の知的障害の方や精神障害の方はなかなか相談する相手がいなかったり、何を相談していいのかも分からないので、生活をするということ自体が非常に難しい状況になってくることが被災地、避難所においても大きな課題です。このような災害弱者の方たちが、避難所生活を送られる中で、気付いてもらえるまでに時間がかかるということもありますし、気付かれないことも非常に多いのが現状です。たとえ気付いたとしても、「ちょっとあの人行動がおかしいよね」という形でみんなから外にはじかれてしまう傾向が強くて、非常に難しいです。そういった方々も相談相手がやはりいないので、避難所の中で誰に聞けばいいのか、被災地の中でどこに相談したらいいのかということもなかなか明確ではないので、そういった相談窓口が常日頃からあって、災害時にも役立つような仕組みがあるといいと思っています。

それと同様に、皆さんにお願いしたいのは、介助犬についてももう少し理解を深めていただきたいということです。避難所ではよくペットの問題が大きな課題になっています。ペットは家族同様なので、どうしても一緒に連れていきたい、一緒に生活したいという思いがあるのですが、鳴き声や臭いだけでなく、アレルギーの問題もあるために、避難所では一線を引かせてもらうことが主流になってきています。しかし介助犬はその対象ではなく、身体障害者補助犬法で同伴しなくてはならないと決まっていることを知っておいていただきたいと思います。その理解がないことで、避難所で犬を連れていると問題がよく起こるのですが、「この人は犬が一緒にいないと生活ができない」ということを理解することを地域で進めていただきたいというのが一つのお願いです。過去の被災地でも、盲導犬を連れた方が、中に入れてもらうことができずに、外で雨に濡れながら一晩を過ごさなければいけなくなったという事例があるので、まずは「ペットと介助犬は違う」ということをよく理解した上で、受け入れる方法を考えていくことが必要になります。

このようなことの理解がどこまでされているか、担当者がどれくらい融通が利くかということもありますが、中にいる住民の方にも理解を求めていかなければならないことが課題だと思います。本来ならば、避難所の中に介助犬と一緒に住める部屋を別に用意して、他の方とは別にするということが非常に大事で、そういう配慮をしないと、介助犬がいないと生きていけない方たちが、さらに生きづらい思いを抱えることになります。そのような理解のためにも目には見えない障害を持った方に対する対応と同じように、介助犬についても理解を深めていく必要があるのではないかと思っています。

このように、避難所生活については、報道で見ているだけでは分からない、いろいろな事情があることを、まず理解いただけるとありがたいです。些細なことではありますが、お酒を飲む、飲まないの問題や携帯電話の音も課題になりますし、小さな子どもが一日中ゲームをしていてお手伝いをしないとか、生活環境の違いなど、さまざまなことがあるので、実際に避難所生活をしてみないと分からない課題というのはたくさん隠れています。そのため、まずは自分の家の耐震補強をして、家具をしっかり固定して、備蓄品を各自が用意して、何日か避難所に行かなくてもきちんと生活ができる状況を確保しておくとよいと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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