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防災インタビューVol.170

近年増加している災害から身を守るために

放送月:2019年11月
公開月:2020年3月

国崎 信江 氏

株式会社危機管理教育研究所
代表

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

被災地で気を付けること

2019年の台風の被害では、全国で多くの方々が被災で苦しまれたことと思います。そのような被災地で、特に気を付けなくてはならないことは、まず健康に留意することです。自宅や職場などの後片付けをする中での力仕事による疲れや、避難所で過ごしている方は、避難所での慣れない生活からのストレスなどで、体調を崩す方も増えてくるのではないかと思っています。こういった状況の中で心配なのが、インフルエンザなどの感染症が広がることです。多くの方が一つの建物内、空間にいて過ごす場合には、風邪をひく前からマスクを着用して感染しないように予防していただきたいと思います。そして、あれもこれもやらなくてはと気持ちが急いてしまうところはあると思いますが、それでもゆっくりと休息を取って、できるだけ安眠できるように質の良い眠りを心掛けていただきたいと思います。そのためには大勢の方と一緒に寝泊まりしている中では、アイマスクや耳栓をしたり、この香りを嗅ぐと気持ちがリラックスするというようなアロマを嗅いで寝るとか、あとは枕も自宅と同じような高さにして眠れるようにタオルを丸めて高さを工夫したりとか、質の良い睡眠がとれるように工夫をしていただきたいと思います。

西日本豪雨で被災した岡山県倉敷市では、汚泥が乾燥して粉塵となって空気中に舞ったものを吸うことによって、気管や肺を痛めて体調を崩す方もいました。咳が止まらないという方もいるので、外に出て作業をする時や通勤通学の時も、外にいる時にはできるだけ防塵マスクをしたり、通常のマスクしかない場合には2枚3枚重ねて、気管を守ってください。また、目も充血したり、結膜炎になってしまう方もいるので、できれば花粉症用の眼鏡や、ちょっと見栄えが悪いかもしれませんが、100円ショップなどで売られているゴーグルなどを外にいる時だけでも着けて目を保護していただきたいと思います。実際に砂埃とか粉塵というのは、肌に触るとザラザラして傷つくぐらい痛いものですので、肌の露出をしないように長袖長ズホンで外に出ることをお勧めします。

人生で3冊ぐらいは防災の本を読もう

災害に対しては、やはり一番お伝えしたいのは、「明日はわが身だ」という気持ちで備えをするということです。万が一のことを考えるのは決して楽しいことではないですが、毎日の豊かな暮らしを継続させるためには、万が一のことにしっかりと備えて暮らすことが大切だと私は思っています。私自身もわが家でこの対策をして20年たちますが、あらためて昨今の災害の多さから、「やっておいてよかったな」と本当に心から安心することができています。ただ一方で、防災というのは、「これをやったらもう十分」ということがなくて、災害のたびに新しい教訓が出てくるものですから、常に災害で発生した被害に敏感になりながら、足りてない備えはないかを考えて、防災力を向上することを意識していただきたいというふうに思うわけです。

講演でも私自身はいつも聴講者の方に「人生の中で3冊ぐらいは防災の本を読んでいただきたい」とお願いしています。1年間に3冊ではなくて、せめて人生で3冊ぐらいは読んでいただきたいと思っています。できれば著者が違う、ジャンルも異なる3冊を読んでいただくと情報も偏りがないと思います。ぜひ好きなジャンルの本を3冊読んでいただくことを心掛けて、災害に備えていただければと願っています。そして、その中の1冊が私の本だったらいいなと思っております。私自身、1冊1冊に強い思いを込めて、願いを込めて書いていますので、どの本もお薦めなのですが、特にお子さま向けの本や親子で読む本を私はたくさん出してきましたので、ご家族の中にお子さんがいらっしゃるという方は、このお子さま向けの本をぜひ読んでいただいて、防災について考えていただければと思います。

このような事前の備えの中で、大雨や台風が迫ってきたという状況のときに何をするかというと、玄関や掃き出し窓などの浸水するであろうところに土嚢を置いて、浸水防止対策をしたり、水嚢で排水溝を覆って、下水の逆流を防ぐことも大事です。この排水溝というのはひとつだけではなく、キッチンやトイレやお風呂、洗濯機の近くなどにたくさん排水溝があるので、それら全ての排水溝を水嚢で抑えた方がいいと思います。また、窓ガラスには地震のときにも有効な飛散防止フィルムを貼ったり、万が一売り切れで売っていないという場合には、応急的に養生テープで米という文字に近いスタイルで貼って、飛散防止対策をするという方法もあります。このようにいろいろな対策がある中で、ぜひできるところから進めていただきたいと思います。

また、実際に大雨、台風が近づいてきたら、室内にある24時間換気の換気口を閉めて、雨風が室内に入ってくるのを防いでいただきたいと思います。そしてさらに窓のサッシの下から水が入り込んでこないように、新聞紙を詰めたり、雑巾を詰めたりというような対策をしていただきたいのですが、私のお勧めはペットシーツをサッシの下に詰め込んでおくという方法です。なぜペットシーツがいいかというと、ペットの尿を吸収するためのものなので、それを敷いておくと雨を吸収して、室内への浸水を防いでくれるということに役立ちます。わが家はペットを飼っていないのですが、ペットシーツを日頃から用意しておいて、いざというときにすぐに対応しています。それから、いよいよ近づいてきたというときには、できる限り電気製品を上階に上げてください。マンションの方で上階がないという方は、実はこれはどこまで有効なのかまだ分からず未知数なのですが、一応わが家でやっているのは、布団などや衣服の圧縮袋を用意しておいて、濡れては困るアルバムやオーブントースターなどの小さい物を袋の中にいれて浸水を防ぐようにしています。圧縮袋のチャックはかなり頑丈なので、水も入らないのではないかと思っています。これは一例ですが、ぜひ身近な物を使って、あらゆる浸水対策を柔軟に考えていただければと思います。

そしてもう一つ私がお勧めしたいのが、イッツコムなどが提供しているテレビプッシュというサービスです。このテレビプッシュのシステムが入っていると、例えば電源がオフであったとしても、災害情報が出たときに、リアルタイムでポンとテレビの電源が付いて、災害情報を伝えてくれるというものです。音声だと聞き逃してしまうことでも、映像によって文字情報で確認したり、映像によって災害の様相が分かったりして情報を大量に入手することができますので、こういったシステムを積極的に活用するというのも一つの手だと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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