1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報
  4. 防災インタビュー
  5. 災害に強い社会をつくる
  6. 近年増加している災害から身を守るために
  1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報

防災インタビューVol.170

近年増加している災害から身を守るために

放送月:2019年11月
公開月:2020年3月

国崎 信江 氏

株式会社危機管理教育研究所
代表

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

近年の災害から思うこと

2019年もそうですが、近年大きな災害が相次いでいるので、2018年に起きた災害でさえも上書きされて記憶が薄れているところもあるのではないかと思いますので、ここであらためて前年の災害についておさらいしてみたいと思います。

2018年の災害というと、たくさんの死者を出した西日本豪雨がありましたし、台風21号では、関西空港の連絡橋にタンカーがぶつかったことを記憶されている方も多いと思いますが、実は1月に群馬県の草津白根山の噴火が起こり、草津国際スキー場に噴石が落下して、スキー場でたまたま訓練中だった陸上自衛隊員の方が1名亡くなり、隊員7名とスキー客4名の計11人が重軽傷を負いました。翌月2月には、北陸で豪雪のため雪に埋まった乗用車の中で2名がお亡くなりになった他、福井県の国道8号の約10キロ区間でおよそ1500台が立ち往生したという雪害がありました。この時、記憶にある方もいらっしゃると思うのですが、首都圏でも豪雪で、山の手トンネルなどが大渋滞になるということもありました。そして6月には大阪北部地震、7月には西日本豪雨、9月には台風21号と北海道胆振東部地震など、こう考えますと2018年は本当にあらゆる事象の災害が発生した年でした。

そして、2019年には台風15号、19号、21号と低気圧による大雨暴風による被害が続いているのですが、これまでの10年の災害史を振り返り、さらにこれからの2020年にわが国に起きるさまざまな災害を鑑みますと、私自身は、これはもしかしたら国民全員が被災者になるかもしれないのではないかと思うわけです。それぐらい今後も毎年どこかで自然災害による被害が発生するでしょうし、私たちもそれがわが身であるかもしれない、1度被災してもまた被災するかもしれないという覚悟を持って備えをするべきではなかろうかと思います。異常気象と言われていますが、それがだんだん異常ではなくなってきているということです。特に、2019年10月25日の低気圧は、実は普通の低気圧とは異なっていて、低気圧と熱帯低気圧の中間の性質を持つ亜熱帯低気圧という非常に珍しい低気圧でした。日本の気候も変わりつつあるということかもしれませんが、今後もこのような熱帯低気圧のように大量の水蒸気を含む大雨を降らす状態が続いてくるのかもしれないという気はします。そのためにもきちんと備えて、防災減災に努めていただきたいと思います。

風水害から命を守るための避難

風水害から命を守るための避難について考えていく上で、まずは、避難のために必要な情報を知るために、ハザードマップを見ていただきたいと思います。ご自身の家庭だけではなく、職場や子どもが通う学校の地域のハザードマップも確認して、どのくらいの被害があるのか、その範囲や危険レベルというものを確認していただきたいと思います。その上でどのタイミングで避難をするのか、その避難場所についても、避難場所が開設される以前の場合の自主避難として、自分だったらどこに避難するのかということも含めて考えておいてください。ちなみにわが家は「時間雨量40ミリを超えた時点で高台のお風呂の施設に避難する」ということを決めています。子どもたちはお風呂の施設が大好きなので、時間雨量が40ミリになる前から「今日大雨らしいよ、早く行こう、今日はお風呂の日だよね」と急かして来ます。このようにちょっとした楽しみと避難を結び付けることで、早めの避難ができるのではないかと思います。

そういう意味でも、わが家のように事前にその地域の大雨排水処理能力というものを知っておいていただいて、ある程度の雨になったら避難するんだという意識を持ってもらうといいと思います。首都圏はおおむね1時間あたり50ミリ程度の排水処理能力を考えてまちづくりをしています。ですので、その大雨排水処理能力を知った上で避難を考えていただきたいのですが、例えば大雨排水処理能力が1時間あたり50ミリだとするならば、50ミリ以上の雨が降った場合には川が近くにあろうとなかろうと水害の被害を受けるという意識が大事ですので、その前に自主避難をしていただきたいと思います。昨今は夜に睡眠薬を飲んでいる方もいたり、住宅性能が向上して、外のサイレンや防災行政無線が聞こえづらいという話も聞きます。このような状況で気象情報を逃すことなく確実に入手するために、例えばスマートフォンを持っている方は、防災アプリをダウンロードして、自分の地域や災害レベルを設定して危険が迫ったら教えてくれるようにしておくというのも大切なことだと思います。

そして、何よりも日頃から隣近所の方と仲良くしておいて、災害が起きたときにお互いに声を掛け合って避難するという約束をしておくのも大事です。広島の土砂災害や西日本豪雨の愛媛でもそうでしたが、住民同士で避難を呼び掛けて救われた例というのは、非常に多いです。ですから日頃から「隣近所の方とお互いに助け合うんだ」という気持ちでいることが大切なことかなと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

会社概要 | 個人情報保護方針