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防災インタビューVol.166

防災は命がけより心がけ

放送月:2019年7月
公開月:2020年11月

浅野 史郎 氏

神奈川大学 特別招聘教授

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

被害を最小にした「津波が来たらてんでんこ」

東日本大震災の時に非常に生かされたのが、「津波が来たらてんでんこ」という言葉です。この「てんでんこ」というのは、津波が来たらてんでんばらばらに逃げましょうという意味で、普通災害が来たら手をつないで一緒に逃げますが、津波の際にはその余裕がないので、「一緒に行こう」と言うのではなく、自分で判断して一番安全だと思う所に、てんでんばらばらに行くということです。津波の際の一刻を争う避難の中でこれが生かされたのが岩手県の釜石でした。普段から群馬大学の片田先生が釜石の高等学校で、「津波が来たらてんでんこ」が大事だということを伝え、実際に避難の仕方を指導していました。これが実際に東日本大震災の時に実践され、本当に被害が最小限で済みました。この言葉のおかげで大勢の人命が救われたので、「津波が来たらてんでんこ」という言葉を東日本だけでなく、日本全体に徹底させていきたいと思います。天災は忘れた頃にやって来るので、津波が来たら、とにかく早く少しでも高い所、山に逃げろということを伝えていき、「津波が来たらてんでんこ」という言葉をマスコミも含めて、広く伝えていきたいと思います。

白血病からの生還

私は、10年前にAdult T-cell Leukemia (ATL)、日本語で「成人T細胞白血病」という名前の白血病を発症しました。これは白血病の中でも一番治りにくい、一番死亡率の高い白血病で、まるで災害のように突然、東北大学医学部の血液内科で告知を受けました。幸いにも骨髄移植を受けて治ることができ、今はこのように元気にしています。

このATLというのは、ウイルスが起こす白血病、血液のがんで、世界で始めて発見され、ウイルスが引き起こすため感染する病気です。感染経路は3つあり、母親の母乳から、結婚による性的関係、それからもう1つは輸血によるもので、ウイルス陽性の人から輸血を受けると、相手方が男性の場合は、女性に感染するというものです。私の場合は母親からの母乳を飲んで感染したということですので、感染したのは0歳の時です。61年の潜伏期間を経て、61歳の時に発症しましたが、母は発症せず、現在98歳で元気にしています。陽性の人でも発症するのは5%だけで、私はその5%に当たってしまったということになります。

私が生還できたファクターは2つありまして、1つは発症する2、3年前に仙台の血液センターに行って献血した時に、HTLV-1が陽性だと言われ、献血ができませんでした。以前はウイルス陽性の人から輸血を受けることで感染しましたが、今は、このように献血の時に検査をしているため、輸血からの感染はゼロになりました。私は、その後東北大学血液内科で、定時に検査を受けるようになりまして、その後白血病の発症を知らせるようなマーカーの数値が一気に上がり、発症を告知されたので、究極の早期発見となりました。もうこれ以上早い発見はないという状況でしたので、助かったということです。

もう1つは、私は発症した際に、非常に身体が丈夫だったことです。告知を受ける2カ月前に私は東京マラソンでフルマラソンを完走しました。それまでは何ともなかったというのもありますが、そのくらい身体が頑健だったのです。白血病の治療というのも本当に大変ですし、骨髄移植というのもとても大変なので、健康でないと乗り越えられないくらいです。その当時、究極の健康だったことで乗り越えることができました。災害も避けられないのと同じように、やはり病気の予防ではできないのですが、病気に備えて健康な身体を維持することが、病気から生還する一つの秘訣だと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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