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防災インタビューVol.166

防災は命がけより心がけ

放送月:2019年7月
公開月:2020年11月

浅野 史郎 氏

神奈川大学 特別招聘教授

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

プロフィール

私は最初に厚生省、今の厚生労働省に入り、いろいろな仕事をしましたが、一番印象深いというか、人生を変えたような仕事は、初めての課長ポストとして障害福祉課長になって、障害者問題に携わるというものでした。

その後23年7カ月勤めて辞めた後に、故郷の宮城県知事選挙に出たところ、間違って勝ってしまいました。これは話せば本1冊になるような話で、その後、3期12年宮城県知事を務めた後、今は神奈川大学の特別招聘教授をしています。

東日本大震災からの復興 ~新しいまちをつくる~

私が知事を辞めた後に東日本大震災が発生しました。その頃、私は成人T細胞白血病という病気になり、治って自宅にいる時に大震災が起きました。前知事ですので、ぜひ現地に行きたいと思っていたのですが、主治医から、白血病の治療の中で免疫力が落ちているので、細菌の巣窟みたいながれきがある所に行くと感染症になる可能性があるということで止められました。東日本大震災の時は、私は横浜に移住しており、後任の村井知事が関わっていましたが、私は外から見ているだけで、非常に歯がゆい思いをしていました。

現在は、98歳になる母が仙台におりますので、1カ月に1回、母の顔を見に仙台に行っています。仙台市は震災の被害はあまりないのですが、気仙沼の被害は大きく、復興はまだ途中で、相当時間はかかりそうです。復興というのは、まちを元の状態に戻すことではなく、新しいまちをつくり直すくらいの勢いでつくり上げていかなければいけませんが、ちょっと息吹のようなものは感じています。新しいものが少しずつできてきていますが、これは地域の人を元気づけますし、若い人を取り込んでいくことにもなります。

「天災は忘れる前にやって来る」

寺田寅彦先生の言葉に「天災は忘れた頃にやって来る」とう言葉があります。天災は忘れた頃にやって来るので、忘れないようにして、きちんと対応しなくてはいけないということですが、実際の話としては、天災は忘れる前にやって来るものです。これは、「忘れた頃にやって来る」ということを忘れろという意味ではありません。「忘れる前にやって来る」というのは、「いつ起こるか分からない」という意味です。ただこれは、災害の種類によっても違います。例えば大きな地震、水害などは、本当にこれは忘れる前にやって来るのです。日本は地震大国で水害も多いので、これらの災害は忘れる前にやって来るのですが、津波というのは、東日本大震災も何百年ぶりぐらいの大きな津波で、これはもう忘れた頃にやって来ました。水害や地震は、おじいさん、おばあさんが覚えていて「ここで昔、こういう水害があったので、もし同じような災害があったら、こういうふうにしなきゃいけないよ」ということを孫に話したりするわけですが、津波については、実は大きな津波は何百年も前のことなので、おじいさん、おばあさんも経験していないのです。ですから、実際に体験していない津波などの大変さを伝承していくことはとても難しいです。このように災害の種類によって違ってはきますが、大概の災害は忘れる前にやって来るので、とにかく忘れないようにして、実際に災害を体験した人が身近にいるわけですので、その人たちの話をよく聞いて、それに備えることが大切です。

逆に津波のような災害は、繰り返しやって来ると言うほど繰り返しでやって来ないので、非常に期間が長く、おじいさん、おばあさんの世代よりもずっと前に起きています。このような災害に関しては、忘れた頃にやって来ますので、伝承というか文書や記録として残しておくことが必要です。

実は私が宮城県知事をやっていた2000年頃に、30年以内に震度7以上の地震で大きな津波が来る可能性が90%以上であるという研究結果が出ていました。そこで、防潮堤を高くすることを進めていましたが、実際の東日本大震災の津波は、予想されていたものでは間に合わなかった高さでした。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。