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防災インタビューVol.167

世界に貢献する日本の防災に対する活動

放送月:2019年8月
公開月:2020年11月

佐谷 説子 氏

一般社団法人 海外建設協会

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

災害ボランティアについて

大きな災害が起こった際に、その被災地にボランティアセンターができて、個人のボランティアがそこに駆け付け、被災された住宅の泥かきや家具の搬出を手伝うというような映像を見かけたことがあるかと思います。最近の災害においては、政府による支援ではなかなか手が届かないような、個人個人のニーズにきめ細やかに対応するような支援が定着しつつあります。このような災害ボランティアの活動は、阪神淡路大震災の時から始まったということは有名ですが、最初の頃は、とにかく被災地をなんとかしたいという気持ちで駆け付けたものの、なかなかうまく機能せず混乱を招きました。中越地震の頃からは、社会福祉協議会が被災地ごとに災害ボランティアセンターを立ち上げ、そこに個人のボランティアの方が行って、自分ができる作業をマッチングしてもらって活動を行うというやり方が定着してきています。

このように、災害ボランティアセンターのさばきの下に皆さんが作業をすることにより、個人がいきなり被災地に行っても、ある程度整序立った作業のやり方で、ボランティア活動ができるようになってきましたが、その後の熊本地震が大きな転換点になりました。この熊本地震の時には、個人のボランティアの方以外に、NPOやNGOなどの、自分たちの専門性を生かした団体が多く被災地の支援に入るようになってきました。特に東日本大震災の時には、約150万人の個人のボランティアが入られたのですが、その2倍以上の数のNPOの方が被災地に入られました。それで、熊本地震以降はそういう個人のボランティアを整序立てようという動きと同時に、たくさん入ってくるNPOの方々の活動もなるべく整序立ててやることによって、効率的な被災者への支援が可能になってきました。特に熊本地震の際には、毎晩被災地の近くでNPOの方が会議をして、自分たちはどのような支援ができる団体であるか、これまでどのようなニーズに対してどんな活動をしてきたかについて情報交換しました。熊本のこの会議は「火の国会議」と呼ばれ、自分たちがやっていることを他の団体と共有することで、重複している部分や、支援から漏れている人を見つけ出すことができ、非常に有益でした。昨年の西日本豪雨の時には、被災地が非常にたくさんの県にわたったことから、都道府県単位での情報共有をする会議だけでなく、全国レベルでも各県でどういうことが困っているのかということをお互いに連携するような情報共有会議も始まりました。

ボランティアを支える仕組み

ボランティアを支える仕組みのひとつが、前述のボランティアを整序立て、活動を整序立てる仕組みですが、もうひとつが、ボランティアを支える仕組みです。ボランティアに活動していただくということは、行政にとってもお金が掛かる話です。ボランティアセンターを立ち上げる費用もそうですが、現場までボランティアを運ぶバスの費用など、実はさまざまなところでお金が掛かってきます。このお金を誰が負担しているかというと、これは皆さんからの寄付によって行われています。例えば赤い羽根共同募金や企業の方、特に経団連の方などが寄付してくださるお金や物、そういうものがボランティアの活動を支えるときにとても貴重になるのです。

災害が起こったときに、被災地でボランティアとして作業をするという支え方もあるのですが、実は目に見えない支え方としてお金を拠出することでボランティアの活動を支えるというものもあり、それ自体が非常にありがたいボランティアになっています。また、企業によっては、例えば新人研修の一環としてボランティア活動を取り入れたり、企業が普段使っている資材で使っていない物をボランティアセンターに貸すというような支援をしてくれるところもありますが、このような活動は非常にありがたいことです。

それからもうひとつ、これはすぐには答えの出ないことなのですが、ボランティアの活動を整序立てる仕組みです。ボランティアは名前の通り、皆さんの善意で対価は求めずに、自分の気持ちから積極的に助け合い、自分で工夫をして自分のやりたいと思うことをしています。ボランティアの意欲を尊重し、達成感を感じてもらえるようにするためには、ボランティアセンターで活動を整序立てる方がいいのか、個人の思いを届けられるような自由な活動にしたほうがいいのかというところのバランスについても、なかなか答えの出ない問題であることを頭のどこかに入れておいていただければと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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