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防災インタビューVol.167

世界に貢献する日本の防災に対する活動

放送月:2019年8月
公開月:2020年11月

佐谷 説子 氏

一般社団法人 海外建設協会

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

防災と福祉の連携 ~インクルーシブな防災~

平成28年の台風10号が、岩手県の岩泉を襲い老人ホームでたくさんの高齢者の方が亡くなったり、平成30年7月の西日本豪雨の時にも、洪水で避難をしなかった多くのお年寄りが自宅の1階で亡くなったというニュースがあったのを覚えている方も多いと思いますが、最近では、防災と高齢者を含めた福祉を連携させていくことが大事ではないかということが非常に強く主張されています。

雨が降って避難所に行かなければ自分のご自宅が危ないようなときに、どのようにすれば高齢者や障害者が安全に避難できるか、また行った先の避難所でどのようにすれば安全に生活できるかということを、防災の観点からだけ見ていたのでは完全ではなくて、恐らく福祉の観点、高齢者福祉や障害者福祉などの観点からもその避難所の生活、避難のあり方について考えていくことが非常に重要になっています。

かつては、高齢者や障害者などは、災害弱者と呼ばれていました。この災害弱者個人を対象にして、それぞれの人を助けるためにはどうしたらいいかというような個人モデルとして、個人の問題を解決しようという考え方だったのですが、最近では災害時要援護者とか要支援者として、支援が必要な人、養護が必要な人を助ける仕組みがきちんと機能しているかどうかを考え、社会で課題を解決しようという社会モデルに解決の方向性が移っていったということが非常に重要な観点としてあるかと思います。

高齢者の方も1人暮らしの方が多くなってきているので、一人で何とかしようというのは限界があります。周りの方の支援による避難を考えるようになってきますが、この際に、助ける仕組みとして、フォーマルなものとインフォーマルなものが平行してあると思います。フォーマルな仕組みというのは、例えば高齢者の方がいる福祉施設などで災害が起こったときに誰が何をするのかという計画や、また最近では福祉避難所という制度もできているので、高齢者や障害者が安全に過ごしやすい避難所を作るための、福祉施設の所有者や行政が整えるべき仕組みのことです。インフォーマルな仕組みとしては、例えば家族内やご近所同士、家族のように支援に当ってくれている民生委員さんなどによる支援における仕組みがあります。そういう2つのやり方が今支援の仕組みとしてあると思いますが、その2つがやはり両方とも大切です。

このような支援によって、今実現しようとしているのは、誰も取り残さない防災です。最近の言葉で言うと「インクルーシブ」、包摂的という訳になりますが、全員の方を取り込んだ防災、皆さんの目が行き届いているインクルーシブな防災というのを目指そうとしています。

「参加」という意味でのインクルーシブ

「インクルーシブな防災」ということで、避難の観点や避難所での生活でのインクルーシブについて前述しましたが、これは「結果のインクルーシブ」です。これとは別に「参加」という意味でのインクルーシブも大切です。これは、日本ではまだまだ頑張っていかなければいけない部分です。

「参加のインクルーシブ」というのはプロセスがインクルーシブであるかどうかという意味です。例えば日本でも、防災推進国民会議というものが平成27年から安倍総理の下立ち上がりまして、防災に関係する40近くのいろいろな団体の方々、産業界教育界、さまざまな観点の方々が集まって、日本の中での自助共助による防災について、これを国民運動として盛り上げていこうと議論しているところです。そこには障害に関する日本のさまざまな団体の方の集まり、代表である日本障害フォーラムにも参加いただいて、障害者の観点からの自助共助ということについても議論していただいています。

私はよく国際会議に出ることがあるのですけれど、そういう場に行きますと、やはりインクルーシブな防災というのは非常に大きなテーマになっていまして、むしろここでは参加という意味でのインクルーシブというのが非常に強く議論されています。特に分かりやすいのが、国連の中の国連事務総長のスペシャルアドバイザーで、SDGに関するアドボケーターという肩書の方で、Mr.エディ・ナドゥブドゥさんという方がいらっしゃるんですが、彼は車椅子に乗っています。今までは、こういう車椅子に乗っているような障害者はあらゆる面で守られてきて、彼ら障害者が困ったことがないようにみんなからケアをされる立場でした。しかし、彼はそうではなくて、「自分たちこそがドライバーズシートに座って、その課題に対して直面して何らかの取り組みを進めていくべきだ」と非常に強い主張をされる方で、それは障害者の方にとっても非常に勇気づけられる発言です。そういうようなことがこの日本でもこれから起こってくるといいなと思っています。

私が知っている実例として、別府市がとてもインクルーシブな防災を目指して頑張っています。地域の中で防災訓練をするときに、障害者の方には車椅子に乗ってもらって、車椅子で普通に避難訓練をしています。その時に障害者の方が一体何分で安全な場所まで行けるかということを計って、その結果を受けてまた計画を立て直すというような、参加の面でのインクルーシブな防災を目指しています。そういう自治体も出てきていますので、これからきっと日本でも、この参加のインクルーシブもどんどん充実してくるのではないかと思っています。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。