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防災インタビューVol.187

人づくり、場づくりから広げる地域防災

放送月:2021年4月
公開月:2021年8月

小山 真紀 氏

岐阜大学流域圏科学研究センター
准教授

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

プロフィール

私は岐阜大学流域圏科学研究センターで准教授をしています。専門は地域防災で、特にメインの専門テーマは、「災害時の死傷者発生メカニズム」です。こういう言い方をするとちょっと堅いのですが、「災害時に人がどういう形で亡くなってしまうのか」「どんな種類の困難な状況にぶつかってしまうのか」という研究を通して、「そうならないためにはどうすればいいのか」を考えています。

私が防災に関わるようになったきっかけは、ちょうど私が大学生だった1995年に起こった阪神淡路大震災です。それまでは人がたくさん亡くなるような大きい災害はあまりありませんでしたが、この震災で6千人以上の方が亡くなるという状況を目の当たりにして、「何か自分にも出来ないだろうか」と考え、防災系の研究室に入り地域防災のことを考えるようになりました。

1995年当時、私が防災の研究をやり始めた頃は、「揺れと被害との関係」というような、ハードとその影響などについて着目をしていました。実際にその当時は地震を主に考えており、地震で人が死なないようにするためには建物をいかに壊れないようにするかということが大事でした。建物を壊れないようにする技術は、今はかなり進んでおり、技術的に大きな問題は、今はもうあまりないと思います。ただその一方で、大きい地震で亡くなる人は、まだまだ多くいます。なぜそのような状況が続いてしまうかというと、結局は技術だけの問題ではなくて、そこに住んでいる人の社会的な状況や経済的な状況によるものがあるので、やはりハードだけではなく、人の問題、ソフトの問題も併せて考えないと、人の被害は減らないのではないかということに着目して研究を進めています。

地域を守るのは地域の人々

私は今、岐阜県と岐阜大学が一緒になって設置した「清流の国ぎふ防災・減災センター」のお手伝いをさせていただいていますが、その中で、「地域の防災を底支えするのはやはり地域の人自身だ」という観点から、「地域の人自身がどう自分たちの命を守れるようにしていくのか」ということが肝になってくる部分だと考えて活動をしています。今、このセンターでは「地域で防災活動を主体的にできる人たちをつくっていこう」「一緒に活動できるような場をつくっていこう」ということを主眼に置いて、人づくりと場づくりを一緒にやっているところです。防災人材育成においては、ただ講座をやればいいという問題ではなくて、そこでどういうことを考えないといけないかということをお伝えすると同時に、一緒に活動することによって、参加している人々の活動を後ろから支えていくことが大事になってきます。

今、地域の中では、自助、共助が非常に大事だということは浸透してきており、各自治体、自治会レベルで、地域の防災人材育成のための講座はたくさん行われています。ところが実際には、講座が中心になってしまって、講座が終わった後に活躍の場がないというのが一つ大きい問題になっています。私たちのところでは、活動に参加して体験しながらスキルも身に付けていき、仲間を増やすことを主眼としているので、活動を中心にしていく仕組みを作ることを目指しています。そのために、地域の防災課題に取り組みながら人材育成をする1年間のプログラム、「げんさい未来塾」という活動をしています。「げんさい未来塾」では、1年間かけて企画を考え、コンテンツを考えていく中で、仲間づくりをして、助け合いながら活動の土台を作っていき、1年が終わった後でもつながり続けていけるように、われわれが後方支援をしながら、彼ら自身が自立して活動を続けていけるようにお手伝いをしています。

参加しているのは、基本的には一般の方で、ちょうど今年5年目が終わったところですが、学校の先生や地域で防災活動をしている一般の方、ペットの防災をやりたいというような方もいますし、女性目線で子どもたちの防災をやりたい方、行政職員など、本当にいろいろな方がいます。年齢も幅広く、お互いに得意技も違うので、協力し合って良い関係が築けています。

地域の人々のネットワークづくり

地域での防災活動はネットワークづくりが大事ですが、最初の1、2年はなかなか進まないところもありました。3年目、4年目になって、彼ら自身で自主的に活動をやり始め、みんなで話し合う場ができたり、お互いに「今度うちの地域で話してよ」というように動き始めました。

私たちは、グループを管理しようとするのではなく、やりたいという気持ちがあったときに、「どうぞ、どうぞ」とか、「やろうよ、やろうよ」という形で背中を押していくことが大事だと考えています。現在はコロナ禍で、なかなか活動が難しくなってきています。特に防災の場というのは、高齢者が多かったり、対面でやることに意味があったりするため、最初は非常に苦しかったのですが、大学もだんだんオンラインに切り替わっているところもあるので、「げんさい未来塾」においても、中間発表や最終報告会をオンライン化していきました。それで、塾生自身も地域の中でZoomのマニュアルを作って、地域の方に何日間もレクチャーして、自治会の役員会などがオンラインでできるようにしているという例もあります。このコロナ禍であってもオンラインでつながれる仕組みもできつつあるようです。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。