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防災インタビューVol.192

災害の検証が築く未来の危機への対応力

放送月:2021年9月
公開月:2021年12月

梅山 吾郎 氏

一橋大学 国際・公共政策大学院 非常勤講師
SOMPOリスクマネジメント株式会社

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

プロフィール

私は保険を基盤とした活動として、お客さまの安心、安全、健康に貢献するサービスをしている、SOMPOホールディングスグループのSOMPOリスクマネジメント株式会社で、コンサルタントとして災害などに関する調査、研究、分析やお客さまの特性に合わせた災害時の対応計画について支援をしています。また、一橋大学の国際・公共政策大学院の非常勤講師も務めています。以前は技術士というエンジニアの資格を生かして、建設コンサルタントとして下水道など皆さんが暮らしに不可欠なライフラインの計画や設計をしたり、まちづくりの仕事を現場でしていました。

私が防災の取り組みに関わりを持ち始めたのは、建設コンサルタントとして国内で北から南までいくつもの市町村の下水道を計画、設計して、実際にまちをつくってきたことが最初になります。1995年の阪神淡路大震災の年から、現場で実際に見たり聞いたり設計をしたりしてきました。今はコンサルティング、大学の授業、そして地域のNPOの活動に参加しながら、人や組織を育てていく活動をしておりまして、過去に実際に起きた災害や危機をしっかり検証して振り返り、その教訓を踏まえて柔軟に対応していける人や技術者を育て、みんなで一緒に社会課題を解決していけるような取り組みを進めています。

下水道の役割と水の備蓄

皆さんは下水道の役割についてご存じでしょうか? 下水道は常に皆さんも使っていて、非常に大事なものですが、地震や水害時にも大事な役目を持っているものです。下水道は、普段は汚水を処理して人間が快適で衛生的な毎日を送れるようにしたり、降った雨がたまって浸水しないように流していくことなどが重要な役割です。皆さんが住むまちの下に埋まっている下水道は、その地域ではどのぐらい雨が降るのかを実際に計算をして雨水の排水路の大きさを決めたり、将来このまちにどんな人が住むのか、どんな産業が見込めるのかといった予測をした上で、生活環境の改善のために下水道の処理施設などを計画、設計をして造ります。私もその計画、設計、建設に関わってきました。

皆さんは、災害に備えて水の備蓄をしていると思いますが、飲み水に関しては1日1人3リットルぐらいを目安として、3日分ぐらい用意しておくのが良いと国や自治体でも言われています。しかしながら、飲み水以外にも普段、皆さんは大量の水を使っています。下水道を設計する際には、各家庭で使用した水が下水に流れてくる量を計算する「汚水量原単位」というものが基本となってきます。これは、1日に1人の人が、どれくらいの量の水を必要とするのかを計算する基本的な単位になります。これを使って計算すると、地域差、生活様式によって若干変わってはきますが、飲料水、炊事、食器洗い、お風呂、洗濯、トイレなどで1人当たり、1日に200~240リットルぐらい使っていることになります。実際には飲み水以外にもかなり大量の水が必要になってくるということです。

災害による断水に備えて、飲料水の備蓄については、皆さん、気にして準備しているかと思いますが、その他の水は、どんなふうに、どれくらいの量を備えておけばいいかというのはイメージができていますでしょうか。その一つのヒントとなるのが、先ほどお話しした「汚水量原単位」です。実際日本では、1人当たり、200~240リットルの水を普段1日で使っているというデータがありますが、災害時に本当にそれぐらいの量が必要なのか、またどれくらいの量を備蓄しなければならないかを、改めて考えておくことが必要だと思います。そのためにも、自分自身がどれくらい水を使っているかをまず知っておくことが大事で、これは水道料金の明細票に毎月使われている水の量が計算されていますので、それを見れば分かるかと思います。飲料水以外の水の量は、大抵は200リットル以上になるかと思いますので、災害時の断水に備えて、各自で検討して、お風呂に水をためておくようにしたり、ポリタンクなどに備蓄しておく必要があります。また、例えば食器洗いについては、水を使わない方法で食事をするように工夫したり、簡易トイレなどの断水時にも使えるものを備蓄したり、手洗いができない場合に備えて、消毒用のアルコールやウェットティッシュなどを用意したりというように水の代替案も含めて考えていくことが必要です。生活用水の備蓄については、この代替案も考えつつ、自治体から給水車が出ることも考えて、どれくらいの量を自分が備蓄しておくのがよいのかを整理しておくことが重要です。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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