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防災インタビューVol.195

「逃げキッド」作成と防災のためのお片付けのすすめ

放送月:2021年12月
公開月:2022年3月

松丘 夕子(赤プル) 氏

太田プロダクション所属 夫婦コンビ「チャイム」 防災士

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

マイタイムライン検討ツール「逃げキッド」

事前に自分の避難行動を時系列で考えておく、タイムラインという考え方があるのですが、自分自身の避難行動のタイムラインを検討していくためのツール「逃げキッド」についてお話しします。

4年前に松尾さんがこの番組に出演された時に「タイムライン」について、いろいろお話しされていたかと思いますが、「マイタイムライン」というのは、災害が起こる前に、時系列で自分の避難行動を考えていくというもので、この「逃げキッド」を使えば、小学生でも簡単にこのマイタイムラインが作れるようになっています。

この「逃げキッド」という名前にも実は意味が込められていまして、逃げるための一式のツールという意味での「キット」でもありますし、2つ目の意味として、子どもたちが逃げ遅れないようにしてほしいという願いを込めて作ったので、キッドというのは、子どもという意味もあります。そして3番目の意味が一番重要なのですが、茨城弁で「逃げきっど」というのは、「逃げ切るぞ」という意味なのです。この「逃げキッド」は、2015年の豪雨の時に逃げ遅れてしまった常総市の皆さんと、下館河川事務所の職員たちが2年間かけて、「あの時は、どうして逃げ遅れてしまったのか、どうすれば逃げ遅れないで済んだのか」を協議しながら作ったもので、常総市発なので、茨城弁の名前が付けられています。

現在この「逃げキッド」を使った、マイタイムライン作成講座が各地で行われているのですが、下館河川事務所で独自にマイタイムラインリーダー制度を設けていて、マイライムラインの指導者やファシリテーターになる人の育成に取り組んでいます。私もマイタイムラインリーダーのA級ライセンスを持っています。下館河川事務所、または河川情報センターのホームページから「逃げキッド」をダウンロードできますので、ぜひ手に入れていただいて、皆さんにも作ってもらえればと思います。

皆さんに「逃げキッド」でマイタイムラインを作ってもらえるように、そのやり方を詳しく伝えていければと思っていますが、もし分からないことがありましたら、「逃げキッド」の動画を検索してみてください。私が解説させていただいている動画もありますので、それを見てぜひ一緒に作っていただければと思います。なかなか1人で取り組むのは難しいものなので、みんなで一緒にやっていくと楽しく作れるので、ぜひ「逃げキッド 動画」で検索して、一緒にやってみてください。

この「逃げキッド」は茨城県の小中学校での授業の教材にも使われているそうです。大人の方は、私のことを見ると懐かしいと言ってくれますが、小中学生はこの「逃げキッド」の動画で初めて私のことを見る人も多く、中学生に好評だそうです。

「逃げキッド」の使い方

「逃げキッド」はキットになっていて、一式がA4サイズの封筒に入っています。実はこれができた当初は普通の封筒ではなくて、点線に沿ってピリピリピリッと開くタイプのものでした。ちょうどコンビニに売っているチキンのように上部をピリピリピリッと開けて食べる、ああいう感じでワクワクして開けてほしいという思いも詰まっています。

防災というとやはり「ちょっと面倒くさい」「やらなくてもいいんじゃないの」というような気持ちになりがちなのですが、災害自体は怖いものであっても、防災は楽しく取り組んでほしいという思いを乗せて、ピリピリピリッと切って開けるものにしました。ただ実際にそれを使ってみたところ、うまく開けられなかったり、私自身も中の紙も一緒に破いてしまったりということがありましたので、今は普通の封筒になっていますが、ぜひ皆さんで楽しみながら、この「逃げキッド」を使ってみてほしいと思っています。

封筒の中には、6つのシートが入っていて、1枚目は「マイタイムライン作成のためのチェックシート」で、これは自分のリスクを知るためのシートになっています。2枚目は、「台風や前線が発生してから川の水が氾濫するまでを知ろう」という資料1の用紙になっています。この「逃げキッド」はお子さんと一緒に学ぶためのものですので、大人ならば川の水が氾濫するまでの仕組みを知っているとしても、お子さんたちは知りません。「どうして川の水が溢れるんだろう」という疑問に答えるこのシートは大人にもとても勉強になるものです。そして3枚目が、「台風前線が発生してから川の水が氾濫するまでの備えを考える」というものです。自分たちがどういう行動をすればいいのか、どういうものを備えとして、揃えておかなければならないのかを考えることが、自分の行動に対する備えにもなります。そして4枚目が「マイタイムラインを作ってみよう」ということで、実際に自分の先ほど考えた備えを、今度は大きな表にしていきます。ここにも楽しく作れる工夫がありまして、シールで備えを貼っていくようになっています。時間ごとにシールを貼っていって完成になります。そして5つ目のツールは「ヒント集」で、ちょっと難しいなと思ったらこちらをペラペラっとめくっていただくといろいろなヒントが入っています。そして一番大事なのが6番目、「自宅に帰ったら見直してみよう」というものです。このマイタイムラインは、自分が考えた、自分だけのタイムラインになっていますので、自分自身は「こう行動したい」ということを決めておいたとしても、ご家族の方と見直して、擦り合わせて、役割を決めることも必要になってくると思います。

この「逃げキッド」の封筒の表紙には「マイタイムラインがある時、ない時」という4コマ漫画が載っています。ちょっと説明しますと、「マイタイムラインがない時」の1コマ目で、子どもがテレビのニュースを見ていて「台風が発生したんだって」というと、お父さんが来て「へえー上陸するのかな、怖いな」という感じで会話をしています。2コマ目で、「なんか雨も風も強くなってきた」「すごいね」と言っています。うちの夫はここで、「どのぐらいの風の強さなのか外に行って見てくるよ」とか、「コンビニにカップラーメンを買いに行こう」とか、そんなことを言い出したりするんですけれど。3コマ目で、避難指示がでると「どうしよう、どうすればいいんだろう」と、慌て始めます。4コマ目になるともう自分たちは逃げ遅れてしまって屋根の上で助けを求めている。これが「マイタイムラインがない時」です。それに対して、マイタイムラインを作ってある時は、「台風が発生したんだって、マイタイムラインで持ち物を確認することにしていたわね。薬がもうないから今のうちに病院に行かないと」と行動が全然変わっています。そして2コマ目、風が強くなってくると、「マイタイムラインには情報を集めると書いてあるよ、スマホで調べてみよう」ということで、スマホでもどこのサイトを見ればいいかも分かっていて、調べています。そして3コマ目、避難指示が同じように出ます。そうすると「川の水位が上がってきているみたいだ」と確認をします。「マイタイムラインでは避難開始だ、今のうちに逃げよう」ということで4コマ目にはもう川の水が氾濫する前に避難先にたどり着いているというようになっています。この差がマイタイムラインを作っている時と作っていない時の差になってくるわけですが、とても分かりやすいのでぜひ見ていただきたいと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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