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防災インタビューVol.196

百聞は一見にしかず ~被災地から学ぶ 防災の知恵~

放送月:2022年1月
公開月:2022年4月

定野 司 氏

文教大学 客員教授

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

プロフィール

私は現在、文教大学で客員教授をしていますが、それまでは42年間、足立区の職員として働いておりました。阪神淡路大震災の時には災害対策課長を、東日本大震災の時には危機管理室長をやっており、退官する前の6年間は教育長をしておりました。足立区において、仕事の4分の1は直接防災に関わってきました。地元生まれ、地元育ちなので、区の職員をしているうちに、自分の町を良くしようと思いはじめ、できるだけそういう仕事に従事しようと考えて働いてきました。

大学では公共経営の分野で、自治体の持続可能性や、住民の幸福につながるような仕事について、またどういうふうに財源をひねり出してやっていくのかについての授業をしています。特に防災については、いくらお金を掛けても終わるものではありませんし、どこかできちんと限りをつけていく必要もあります。そういうことを考えるのも公共経営の一つの役割だと思っています。

2021年3月に公務員を定年退職したのですが、何かやり残した感がいっぱいで、そのやり残したことを実現するために、「未来協創研究所」を1人で立ち上げて、半年かけて、自分のやりたいことを整理して、ホームページを作って公開しました。自分だけでやりたいことを秘めているよりも、人に言った方が早く実現できるし、スピードアップも図れるし、自分のモチベーションも上がります。区の職員は公の仕事をしているために自分のSNSやホームページはあまり見せようとしないので、定年後に思い切ってホームページを公開して、8つの事業を始めました。

未来協創研究所の事業について

区の職員の最後の6年間で、教育長をやっていたこともあり、どちらかというと普通にお勉強をする子どもたちよりも、学びづらさを感じている子どもたちへの支援を考えてきました。自分のやり残したことの一つが、そういう子どもたちの支援をもっとできないのかということです。教育長時代は、特別支援学級を作ったり、特別支援をする機会を与えるような教室を作ったりしていましたが、それだけでは足りないのではないかと考え、これからは、もっとそういう機会を作っていきたいと思い、「未来協創研究所」を立ち上げ、最初の事業はこのことに従事しました。

「障害を持った方々が暮らしやすい世の中にしていく」というのをテーマにしている企業LITALICO(リタリコ)と一緒に、普通でしたら1人の先生が30人から35人の子どもたちを一度に教えるわけですけれど、学びづらさを感じている子どもたち向けに、個別に、この子にはどういう指導をしたらいいか、どういう支援をしたらいいかを考えるツールを使って、先生方にも見ていただきながら、効率よく合理的にその子どもたちにフィットした学習方法を考えていくことを、今進めています。

二つ目は、これまで40年積んできたキャリアがあるので、それを他の自治体の方々と一緒にコラボレーションすることや若い職員の人材育成に携わっています。この事業についても、マネジメントしてくださる会社があるので、そういうところと一緒にあちこちの自治体に行って、コンサルティングや研修活動をやっています。これが非常に大きな事業となっています。

もう一つは、これから公務員になろうという非常に貴重な人材を支援したいと思い、公務員予備校で面接の試験官を務め、面接官とのやりとりが難しいと感じている学生を相手に面接試験の練習台をやっています。公務員として働く上では、面接だけ良くても駄目なので、「こういうふうにしたら上手に人と話せるようになるよ」というヒントであったり、住民に相対したときには、その人の話をよく聞いて、いろんなことを聞き出すことが一番大切なので、そのような話し方をどうやって培っていくのが良いかについて、教えるというよりは、サジェスチョンしてサポートするということをやっています。

このような話を含めて、公務員の生き方や処世術を書いた本や、5年間財政課長をやった経験から、自治体は非常にお金がなくて大変な時も経験しているので、そういったことを本にして、これまでに6冊出しています。その中には、財政の仕組みを漫画で理解してもらうための本も出していますが、私は漫画は描けないので、漫画を描いてくれる職員と一緒になって作り、私は解説とシナリオを書きました。今7冊目を書いているところです。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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