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防災インタビューVol.197

AI技術で未来を予測する防災 ~Spectee~

放送月:2022年2月
公開月:2022年5月

村上 建治郎 氏

株式会社Spectee
代表取締役

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

AIを活用した情報解析

Specteeでは、SNSの情報だけではなく、気象データなど、いろいろなデータを解析して、災害情報を伝えています。その中でSNSの解析については、一つは言語解析、もう一つは画像解析を使っています。言語解析は呟かれている内容を解析しているのですが、以前ですとキーワード検出みたいなものをやっていましたが、今は話している文脈であったり、この人はどんなことを言っているかということを文章の中から導き出したりすることができるようになってきています。もう一つは画像解析で、画像の中に何が映っているかを解析しています。例えば土砂崩れが発生したら、その土砂崩れの映像を抜き出すとか、何か火災が発生していれば火災の映像であったり、例えば建物が倒壊している場合はその建物の倒壊している映像を抜き出したり、そういうことをAIが画像を判断して抽出していけるようになってきています。これらの技術を組み合わせて現在は、より正確な情報解析をしています。

もう一つSNSの情報を扱う上で非常に重要なのが、「情報の信ぴょう性」です。災害が発生するとデマ情報も流れますし、悪意がなかったとしても間違った情報が出てきてしまうこともあります。そのような状況でも、AIは過去にあったさまざまなデマ情報を学習データとして取り込み、それを覚えたAIが、上がってくる情報に対して過去の情報と照らし合わせて、デマ情報の可能性をAIが判断してくれるようになってきています。

現在はこれらを組み合わせて情報解析をしているのですが、Specteeというサービスは、AIだけで全て判断しているわけではありません。AIができるのはあくまでデマの可能性を判断することだけで、「これはデマの可能性が非常に高いです」ということは分かりますが、最終的には本当にそれがデマかどうかは、きちんと調べて担保しなければなりませんので、24時間体制で、AIが解析して収集してきた情報に対して、最後は人の目を通して確認を行った上で、お客さんには正確な情報を届けています。それらを行った上で、情報解析したものを元に今災害状況はどうなっているかを地図上に表示したり、実際の投稿を見せたりしながら、正確な情報を伝えていくのが、このSpecteeというサービスになっています。

SNSに投稿されてから画面に表示されるまで、大体は1分から数分ぐらいで表示されます。その間に全ての解析、情報の正確性のチェックを行った上で、ほぼリアルタイムで配信されるというような感じになっています。通常メディアの方はリアルタイムで発信していますが、会社や自治体の防災担当者は、テレビを通じて情報を得たり、国や消防から上がってきている情報を確認した上で、災害情報を把握しています。やはりSNSの情報の方が早く届きますので、これを使うことによって、明らかに早いタイミングで情報をつかめるので、非常に初動の役に立つと言われています。

Spectee Proのサービス

このSpectee Proというサービスは、もともとは報道機関から広がってきたのですが、2018年頃から自治体やインフラ系の会社、鉄道や電力、ガスというような会社にも広がってきています。今は、民間企業でも広く使われていますし、自治体では現在35の都道府県庁の防災の部門で使っていただいています。都道府県庁には、災害対策センターや危機管理センターというような大きなセンターがあって、災害情報を常に見ているのですが、そこで使われています。47都道府県中の35なので、75%以上の自治体に使っていただいていることになります。国の方では、省庁や内閣府などで、その他、市区町村や警察、消防など、おかげさまでいろいろ広がっていって、いろんな所で使っていただいています。今までの自治体での防災情報の取得は、大体、国や警察、消防から、FAXや電話で受取り、それを紙に書き出して、ホワイトボードに貼ったりして、災害対応をしていくというような感じで対応していたのですが、Spectee Proが入ったことによって、パソコンがあって、インターネットにつながっていれば大きなスクリーンにパッと映し出されて、すぐに使えるようなサービスになっています。そうするとどこで起きたのかという場所の情報が地図上にマップされて、被害状況についても地図で範囲が示され、さらに現場で投稿されている現場の写真や動画のSNSの情報が一覧で出てきますので、どこで何が起きているか、現場の状況がどうなっているのかということが非常に分かりやすく出てくるようになりました。自治体の方からも災害対応の初動が変わったと評価されています。

特に現在災害というのは、気候変動もあり、非常に激甚化していっています。過去にないぐらいの大雨が降って、川が氾濫するということも起きますし、地震のリスクも最近非常に高くなってきていると言われていますので、そういった意味でも初動というのは非常に大事です。初動が遅れてしまうと人命救助も遅れてしまうことになりますので、やはり初動を早く取る、災害状況をすぐに把握するという意味では、Specteeは非常に便利なツールだということで、各方面に広がっていっています。

自治体以外にも民間企業でも普及が進んでいるのですが、その一つに製造業のお客さんの需要が高まっています。自社の工場を持つ製造業においては、部品などをいろいろな会社から調達しています。例えば車などは、3万点以上の部品からできており、その部品をいろいろな会社から調達していますので、どこかで災害が発生するとその部品の供給が止まってしまうことになります。供給が止まってしまうと自社の工場の生産自体も止まってしまうので、会社にとっては非常に大きなダメージになります。災害情報を早く知って、リスクを回避していくという対応が企業の中でも広がってきており、そういった中でSpectee Proが広く使われている状況です。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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