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防災インタビューVol.197

AI技術で未来を予測する防災 ~Spectee~

放送月:2022年2月
公開月:2022年5月

村上 建治郎 氏

株式会社Spectee
代表取締役

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

AI防災革命

私が2021年12月に出した「AI防災革命」という本の中で、AIが防災の中でどのように使われているかについて書きました。これからの防災にとって「AI」というのは、非常に重要なキーワードになってきます。東日本大震災の当時は、スマートフォンを持っているのは、1割未満の方だけでした。2011年の総務省の統計ではスマートフォンの保有率は9%、2020年になると83%ぐらいになっています。現在では、多分9割以上、ほぼほとんどの人がスマートフォンを持っているという状況だと思います。ですので、スマートフォンの普及によって情報の入手方法が以前とは全く違ってきました。SpecteeもSNSの情報を扱っているのですが、このSNSもスマートフォンの普及とともに広がってきました。何かが起こった際にも、皆さんがスマートフォンを持っていて、その現場で写真や動画を撮って、SNSを通じて広く拡散され、その情報を使って災害対応をしていますので、この変化は非常に大きいものがあります。そして、もう一つ大きく変化したのがAIの技術です。このAIの技術もこの10年間で非常に伸びてきています。東日本大震災の当時は、AIという単語すら一般の方は知らない状況でしたが、今、AIはかなり浸透してきていて、AIを活用して大量の情報の解析を行った上で、情報を取捨選択して見える化して、予測を出していくことができるようになってきたというのが、この10年間の大きな変化だと思います。

このように、SNSの情報やAIを活用して、いろいろな情報解析をすることによって、災害対策におけるシステムやツールもこの10年間で大きく変わってきました。AIというのは大量のデータ解析をし、何か一つの答えを出していくというのには非常に長けたツールです。災害対応においては、いろいろな情報を扱わなければならないため、SNSの情報や気象情報、人がどこにいるのかというような位置情報など、災害時にはいろいろな情報を掛け合わせて、今何を一番しなければならないか判断していくことになりますので、それまでのように情報を紙に書いて、何をするかを考えていたのでは、追いついていきません。災害現場で瞬時にいろいろな情報を集めて判断していくためには、AIはなくてはならないツールであり、AIを活用することで、いろいろな災害情報が可視化されてきているというのが現状です。

その他にもいろいろな技術がこの10年間で広がってきていますが、その中でもドローンの技術がめざましい進歩を遂げています。ドローンも東日本大震災の時には存在していなかったものですが、今はいろいろなところで使われるようになってきており、2021年の夏の熱海の土砂災害の際にも、翌日にはドローンを飛ばして、被害状況を確認したり、その映像を元にどのように土砂災害が広がっていったかをシミュレーションしたりできるようになりました。ドローンの活用とともに、音声技術の開発も行い、AIで音声を滑らかに発することもできるようになり、人と変わらないような会話ができたり、発言ができるようになりました。今は、ドローンとAIの音声を組み合わせて、避難情報を出していくというような取り組みもやっていまして、いくつかの自治体でも実証実験をやっているところです。特に神戸市でわれわれも関わらせていただいた実証実験では、ドローンで人がいることを認識して、その場所に行き、AIの音声を通じて、「今ここは危険です。避難所はこっちです」と誘導していくようなこともしています。今まででしたら、市の職員がその場に行って誘導していたのですが、AIの自動音声とドローンを組み合わせてそういったことができるようになってくると、災害対応もがだんだん無人化されていくような感じになってきます。今まで災害対応をする際には、市の職員が危険な現場に行って対応しなければなりませんでした。東日本大震災の時は津波の避難を呼び掛けていた南三陸町の女性職員の方が津波にのまれて亡くなってしまったという悲惨なこともありましたが、職員自体も被災者なので、なるべく安全な所に逃げる必要があるにもかかわらず、危険な現場で対応をしなければならない状況を作らないためにも、災害対応において、AI技術を利用して、無人化していくというのは非常に重要なことであると思っています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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