1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報
  4. 防災インタビュー
  5. 災害が起きる前にできること
  1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報

防災インタビューVol.214

災害が起きる前にできること

放送月:2023年6月
公開月:2023年9月

奥村 奈津美 氏

防災アナウンサー・環境省アンバサダー

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

地球温暖化による影響

私は環境省の森里川海プロジェクトというプロジェクトでアンバサダーをしています。プロジェクトの活動と、地球温暖化に対してどのようなアプローチをしていく必要性があるのかをお話します。

持続可能な暮らしをしていくためには地球と共に生きるということが欠かせません。例えば「森」についてお話すると、私たちは昔、森の木を伐採し利用して暮らしてきましたが、今は管理の不足などによって温暖化による豪雨などの影響もあり、土砂災害などが起きやすくなっています。木の管理をしたり、海外から輸入した木材ではなく、日本の木を使うことなども大切です。私自身も地球に優しい暮らしをしていくことが最強の防災だと思い「サステナブル防災」と呼び、環境省のアンバサダーとしても、「地球環境や気候変動対策×防災」ということを発信しています。

地球温暖化に対して、どういうアプローチをしたらいいのかというと、地球はもう危機的な状況にあり、私たちが温暖化を止められる最後の世代と言われています。私たちが温暖化を止めなければ、自分たちの子供やその先の世代は、どんどん気温が上がっていく地球で暮らさなければなりません。

既に地球温暖化が進んでいて、世界の平均気温にするとこの100年で0.72度程度上がっています。日本の平均気温では1.26度上がっています。最高気温も40度を超え、昼間だけではなく夜の気温も上がり、この数年で30度を超えるような夜も増加しています。このまま温暖化が止められずに最悪のシナリオをたどってしまうと、2100年には5.7度程度気温が上がってしまい、今の子供たちがおじいちゃん、おばあちゃんになる頃には、暑くて夏場はどうしようもなくなってしまいます。

2100年の天気予報というものを環境省が作っているのですが、1.5度目標と言われる仮協定の目標を達成できなかった場合、その最悪のシナリオをたどってしまうと、東京の夏は43度が当たり前で、北海道でも40度超えという気温になってしまいます。これが1日だけならまだなんとか過ごせるかも知れませんが、2か月程度続くという予測も出ています。東京でも60日間35度以上の猛暑日が続くというぞっとするような予想もされています。暑熱災害と言って、熱中症などで亡くなる人も多くなるということが分かっています。

暑さだけではなく、地球の温度が上がると雨にも影響します。空気中の水蒸気量は、気温が1度上昇すると7パーセント増加すると言われています。つまり、これまでに経験したことがないような雨が降る大気の状態になったり、海水温も上昇しているので、線状降水帯などの豪雨被害、スーパー台風のような台風が上陸することが今後さらに増していくことになります。

私たちは地球温暖化の影響を受ける最初の世代と言われていて、日本でも既に被害を受けていますが、世界に目を向けるともっと大きな被害が出ています。そういった中で、持続可能な地球を残すためには、温暖化対策は欠かせません。国の方でも、2050年までにCO2の排出量を実質ゼロにするというカーボンニュートラルの実現を目指しています。

「緩和」と「適応」

地球温暖化についてお話しさせていただきましたが、温暖化を止められる最後の世代ということで、私たちに求められているのは「緩和」と「適応」と言われています。「緩和」というのは、地球温暖化を極力進めないようにCO2の排出量を減らしていくということです。「適応」は、温暖化が既に進んでしまっている中で、これまで経験したことがないような雨や台風などが発生することを踏まえ、これまで以上の備えをする、これまでよりも早く避難をするということが求められています。この「緩和」と「適応」を両輪で進めていくことが大事になります。

「緩和」について重点的にお話します。家庭から出ている二酸化炭素の排出量の内「電気」が46.7パーセントを占めています。その次に多いのが、「ガソリン」です。今の時代、太陽光や風力・水力などの自然エネルギーと言われているものを使用すると、CO2をほとんど排出せずに「電気」を作ることが出来ます。一方、化石燃料、石炭火力やLNG火力などの化石燃料由来の火力発電を使用すると大量のCO2を排出することが分かっています。

2016年から日本では、電力の自由化ということで自分が使う電力会社を自由に選べるようになりました。そこで、ぜひやっていただきたいことは、電気代を未来の投資になるような形で支払っていただきたいと思っています。例えば、再生可能エネルギーを重視した電力会社の電気を買い、毎月使用料として1万円ずつ払っていくとすると、年間では12万円、再生可能エネルギーを応援することにもつながりますし、未来への投資になっていくと考えています。一方で、化石燃料を使っている電力会社を使用しているとどんどんCO2を排出してしまい、地球温暖を進めてしまうことにつながってしまいます。

買い物は投票だと言う言葉もありますが、日々お金を支払うものが、未来にどう繋がっていくのかという意識で選ぶことが大事だと思います。電気を再生可能エネルギー由来のものに切り替えればCO2の排出量が半分減らせるので、ぜひ電力の切り替えをやってほしいと思います。

私は「パワーシフト・キャンペーン」というキャンペーンのアンバサダーを務めさせていただいています。この「パワーシフト・キャンペーン」では、全国の再生可能な自然エネルギーの電力会社を取材し、地域の合意形成がなされた上で地球環境にも配慮された形で作られている再生可能エネルギーを作っている電力会社をマップにしています。ぜひ、お住まいの地域で選択できる電力会社をホームページから閲覧いただき、地球環境のためにプラスになるような電力会社に切り替えていただけたらと思います。

最後に、私たちは地球温暖化を止められる最後の世代です。これ以上地球温暖化が進むと、どれだけ備えていても想像以上の災害が起きてしまうような時代になり得るので、ぜひ、地球温暖化対策も合わせて取り組んでいただけたらと思っています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

会社概要 | 個人情報保護方針