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教育DXが広げる学校現場の可能性とそのメリット・課題とは?

教育現場にデジタル技術を導入する「教育DX(デジタルトランスフォーメーション)」が注目を集めています。ICTを活用した個別最適化された学びの実現、教員の負担軽減、リモート教育の充実など、教育DXには多くのメリットがあります。しかし、インフラ整備や費用の問題、教員のICTスキル不足など、課題も山積みです。

教育DXは、学校教育に大きな変革をもたらす可能性を秘めていますが、その実現には何が必要なのでしょうか。本記事では、教育DXの概要からメリット、課題、推進策まで詳しく解説します。

教育DXの定義と目的

教育DXとは、デジタル技術を活用して教育を変革し、学びの個別最適化や教員の負担軽減、リモート教育の充実などを目指す取り組みです。Society 5.0時代に求められるスキルの育成や、文部科学省のGIGAスクール構想などを背景に、学校DXの推進が急務となっています。ここでは、教育DXの概念と背景、目指す教育の変革、そして文部科学省の方針と推進の必要性について解説します。

教育DXとは何か?

教育DXとは、デジタル技術を活用して教育を変革することです。具体的には、データやICTを駆使し、学びの個別最適化や教員の負担軽減、リモート教育の充実などを目指します。

背景には、Society 5.0時代に求められる情報活用能力の育成や、文部科学省の「GIGAスクール構想」などの方針があります。

教育DXは、デジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションの3段階に分けられ、現在は新しい学習環境の利活用が始まったばかりの段階といえるでしょう。

今後、ICTを「文房具」や「教具」として自在に使いこなせる環境整備と、それを生かした学校教育の変革が鍵となります。

教育DXが実現する新しい学びの形

教育DXが進むことで、AIを活用した学習診断やクラウド上での教材共有、リアルタイムの学習状況の可視化などが実現し、生徒1人ひとりに合った学びの提供が可能になります。これにより、学習効果の向上が期待されます。

また、校務のデジタル化により教員の業務効率が向上し、働き方改革にもつながります。これらは単なるICT機器の導入ではなく、教育方法や学校運営全体の変革を伴うものであり、未来の教育の在り方を大きく変える可能性を秘めています。

文部科学省の取り組みと教育DXの推進の必要性

文部科学省は、教育DXの推進に向けて積極的な取り組みを行っています。

具体的な施策として、教育データの標準化、全国統一の学力テストをオンラインで実施するCBTシステム(MEXCBT)、および教育に関するデータを収集するためのWEB調査システム(EduSurvey)といった基盤的ツールを整備しています。これらのシステムを活用し、各生徒の学習状況に応じた個別最適化された教育の提供を目指し、教育の質を向上させることを目的としています。

また、「GIGAスクール構想」により、全国の学校でICT環境が整備され、1人1台の端末が普及しました。これからの課題は、これらのデジタル技術を実際に教育現場で活用し、次世代を担う子どもたちが創造力や問題解決能力を育む学びを提供することです。

教育DXがもたらす学校現場へのメリット

学校DXは、デジタル技術を活用して教育現場に大きな変革をもたらします。ここでは、教育DXがもたらす学校現場への3つの主要なメリットを紹介します。学校DXによって、教育の質的向上と効率化が図られることでしょう。

個別最適化された学びの実現

教育DXでは、デジタル技術を活用して1人ひとりの学生に最適化された学びを提供することが可能になります。

例えば、共愛学園前橋国際大学では、学生の学修ポートフォリオをAIで分析し、個々の学生に合わせた学習や活動をリコメンドするシステムを構築しています。また、追手門学院大学でも、AIによる学習成果の分析に基づき、学生1人ひとりをサポートする「AI ティーチング・アシスタント・システム」の導入を計画しています。

このように、教育DXは学生の個性や能力に合わせたきめ細やかな教育を実現し、学びの質を高めることができます。

教員の負担軽減と働き方改革

教育DXは、教員の負担軽減と働き方改革にも大きな効果をもたらします。例えば、校務のデジタル化により、学習履歴や健康診断情報などのデータを一括管理し、事務処理の効率化が図れます。

また、デジタル教科書や教材の活用で、授業準備の負担も軽減されるでしょう。さらに、教育DXによる個別最適化された指導の実現は、教員が児童生徒とのコミュニケーションにより多くの時間を割くことを可能にします。

こうした取り組みを通じて、教員はより質の高い教育に専念できるようになるでしょう。教育DXは、教員の働き方改革を推進し、やりがいのある職場環境の実現に貢献すると期待されています。

リモート教育の充実と可能性

教育DXにより、リモート教育が大きく進展しています。オンライン授業は、感染症対策だけでなく、地理的な制約を超えて多様な学びの機会を提供します。また、デジタル教材を活用することで、生徒は自分のペースで学びを進められ、個別の理解度に合わせた指導が可能になります。

教育DXの具体的な取り組み事例

教育DXの推進には、学校現場での具体的な取り組みが欠かせません。ここでは、ICTを活用した授業の実践例、オンライン朝礼の導入効果、学習ログの活用と個別指導への応用など、学校DXの先進事例をいくつか解説します。

ICTを活用した授業の実践例

ICTを活用した授業の実践例として、タブレット端末を用いたグループ学習が挙げられます。生徒たちは、タブレットを使って情報を収集し、意見を交換しながら課題に取り組みます。

また、電子黒板を活用することで、教員は視覚的に分かりやすい説明を行うことができ、生徒の理解度の向上に役立ちます。

さらに、プログラミング教育においては、専用のアプリケーションを使って、生徒たちが楽しみながらプログラミングの基礎を学ぶことができます。

オンライン朝礼の導入と効果

愛知県の日進市立日進中学校では、コロナ禍でも全校生徒が一体感を持てるよう、Web会議システムを使ったオンライン朝礼を導入しました。従来の一方通行型の連絡に加え、双方向性を取り入れ、生徒の顔を見ながら朝礼を行うことができます。また、場所に縛られずに実施できるため、時間と空間を有効に活用しています。

この取り組みにより、校長先生のメッセージや連絡事項を全校生徒が同じタイミングで受け取れるようになりました。オンライン朝礼は、学校生活の一体感を保ちつつ、教育DXの推進にも貢献しています。

学習ログの活用と個別指導への応用

学習ログの活用は、教育DXの中でも特に注目されている取り組みの1つです。生徒1人ひとりの学習状況を可視化し、その情報を基に個別指導を行うことで、より効果的な学習支援が可能になります。

例えば、城南進学研究社のオンライン学習「デキタス」と(株)137 の教育DX「COCOO(コクー)」が連携し、学習ログと欠席情報を組み合わせた「出席認定サポート機能」を開発しました。この機能により、学校に来られない生徒の家庭学習の進捗を把握し、適切なサポートを提供できます。

学校が抱える教育DXの課題と解決策

教育DXを推進する上で、学校現場が直面する主要な課題は3つあります。

・インフラ整備と費用
・教員のICT活用スキル
・個人情報保護とセキュリティ対策

これらの課題に対し、どのような解決策が考えられるのでしょうか。学校DXの実現に向けて、それぞれの課題について見ていきましょう。

インフラ整備と費用の問題

教育DXを推進する上で、インフラ整備と維持にかかる費用は大きな課題の1つです。GIGAスクール構想により、多くの学校でデジタル端末やクラウド環境が整備されましたが、問題はその後の継続的な費用です。

デジタル端末は劣化や故障などによる買い替えが必要となり、クラウドサービスの利用には継続的な費用が発生します。これらの費用負担や国の補助の継続性に不安を感じる学校は少なくありません。

特に、これからデジタル化を進める学校では、初期費用だけでなく、運用費用まで見据えたシステム選定が重要になります。教育の質を落とさないためにも、長期的な費用計画の問題は常に意識しておかなければなりません。

教員のICT活用スキルの向上

教員のICT活用スキルの向上は、教育DXの成功に不可欠な要素です。文部科学省の調査では、教員のICT活用指導力に課題があることが明らかになっています。

この問題を解決するには、教員研修の充実が鍵となるでしょう。ICT機器の操作方法だけでなく、それを授業で効果的に活用する方法まで、体系的に学ぶ機会を設ける必要があります。

また、ICTに詳しい教員を中心とした校内サポート体制の構築も有効です。日々の授業の中で、気軽に相談できる環境があれば、教員のスキル向上も加速するでしょう。

個人情報保護とセキュリティ対策

教育DXを推進する上で、個人情報保護とセキュリティ対策は非常に重要な課題です。児童生徒の学習データや健康情報など、学校現場では大量の機微情報を扱います。これらの情報を適切に管理し、外部流出を防ぐためのルールづくりと体制整備が求められます。

文部科学省は「教育データの利活用に係る留意事項」を公表し、個人情報の適正な取り扱いを徹底するよう呼びかけています。学校現場では、この留意事項を踏まえ、データの利用目的や管理方法を明確にしたうえで、教職員への研修を行うことが大切です。

また、セキュリティ対策としては、アクセス制限やログ管理、暗号化などの技術的な対応に加え、事故発生時の連絡体制の整備も欠かせません。

教育DXの推進に向けて

教育現場の変革には、組織の体制づくりや外部との連携が不可欠です。また、長期的な視点を持ちながら段階的に導入を進めることが、成功の鍵となります。ここでは、具体的な取り組みとその効果について解説します。

学校組織の変革と体制づくり

教育DXを成功させるためには、学校組織の変革と体制づくりが不可欠です。まず、校長のリーダーシップのもと、教職員全体でDXの目的と方向性を共有することが重要です。そのためには、研修や勉強会を通じて、デジタル技術の活用方法や事例を学ぶ機会を設けましょう。

また、ICT支援員やICT推進リーダーを配置し、教員をサポートする体制を整えることも効果的です。加えて、教員の働き方改革とも連動させ、業務の効率化や削減を図ることで、DXに取り組む時間と心理的余裕を生み出すことが大切です。学校全体でDXに向けた意識改革と環境整備を進めていくことが、教育の変革につながるでしょう。

外部組織との連携と支援体制

企業や外部組織との連携することも大切です。例えば、先進的なICT教育を実践する学校とデジタル技術に強みを持つ企業が協力し、教員向けの研修プログラムを開発したり、学校のICT環境の整備を支援したりすることで、教育DXを加速させることができるでしょう。

また、大学と連携し、教員養成課程にデジタル技術の活用方法を組み込むことで、将来の教育を担う人材の育成にもつながります。こうした産学連携により、学校現場のニーズに合ったソリューションを提供し、教育DXを持続的に発展させていくことが期待されます。

長期的なビジョンと段階的な導入

教育DXの長期的なビジョンと段階的な導入は、持続的な変革のために欠かせません。まずは、現状の課題を分析し、目指すべき教育の姿を明確にすることから始めましょう。そして、数年から数十年先を見据えた長期的なロードマップを策定し、段階的に取り組みを進めていくことが重要です。

例えば、初期段階ではICT環境の整備と教員の研修に注力し、次の段階で授業での活用を促進、さらに発展させて個別最適化された学びの実現を目指すなど、着実にステップアップしていくことが求められます。

その過程では、PDCAサイクルを回しながら、常に改善を図っていく姿勢が大切です。教育DXは一朝一夕で実現できるものではありませんが、長期的な視点を持ち、段階的に着実に進めていくことで、より良い教育の未来を切り拓いていけるでしょう。

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まとめ

教育DXにより、学びの個別最適化や教員の負担軽減が期待されますが、インフラ整備や教員のICTスキル向上が課題です。これらの課題に対応し、効果的な教育DXを実現するためには、組織内の体制整備や外部組織との連携が重要です。

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