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プロバイダとは?法人契約のパターンと選び先のポイントを解説

インターネット回線の速度や安定性が日々の業務に影響を及ぼす企業は多いでしょう。プロバイダ契約には複数のパターンがあります。ビジネスユースには法人向け光回線が有利で、回線事業者やプロバイダの乗り換えではなく、2回線目の光回線を追加契約(冗長化)することも可能です。

回線の速度や安定性に課題を抱えており、インターネット回線のプロバイダ契約について理解を深めたい方もいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、プロバイダ・回線事業者の関係と契約中プロバイダの確認方法、法人向けプロバイダ選びのポイントについて紹介します。

プロバイダと回線事業者の関係とは?

インターネットを利用するには、インターネット回線を提供する回線事業者と、インターネット接続サービスを提供するプロバイダとの契約が必要です。まずは、回線事業者とプロバイダの関係を見ていきましょう。

回線事業者とは

回線事業者とは、光回線などインターネット接続に必要な回線(アクセス回線)を提供する事業者です。回線の種別は、光回線に代表される有線回線(固定回線)と、WiMAXなどの無線回線(モバイル回線)に分かれます。

・光回線:光ファイバーケーブルによる有線回線。NTT東日本・西日本による「フレッツ光」など
・CATV:ケーブルテレビ局のメタルケーブルを利用した有線回線
・ADSL:アナログ電話回線による有線回線。Yahoo! BB ADSLは2024年3月末に提供終了。フレッツ・ADSLは2023年1月末に提供終了(一部山間部・離島などは2025年1月末に提供終了)
・WiMAX:2.5GHz帯の電波で機器・基地局間を通信する無線回線

プロバイダとは

プロバイダ(インターネットサービスプロバイダ/ISP)とは、インターネット接続サービスを提供する事業者です。インターネット上の住所となるIPアドレスの付与やデータ伝送の中継を担うため、プロバイダと契約しなければインターネットを利用できません。

またプロバイダはメールアドレスの付与やWebサイト公開用のWebサーバ領域の貸与など、インターネット関連サービスの提供も担います。

【関連記事:『プロバイダとは?比較ポイントや選び方をわかりやすく解説』

回線事業者・プロバイダ両方の契約が必要

インターネットに接続するためには、回線事業者とプロバイダの両方との契約が必要です。回線事業者が提供する通信回線(アクセス回線)はデータの伝送経路となり、プロバイダがインターネット利用をサポートします。

どちらが欠けてもインターネットには接続できません。近年は通信回線・プロバイダ一体型のサービスも増えており、契約の一本化も可能です。

フレッツ光は通信回線を提供するサービスであるため、プロバイダは別契約となります。フレッツ網をプロバイダが借り受けて独自サービスを提供する「光コラボ」は、通信回線・プロバイダ一体型です。

また電力会社・ケーブルテレビ局などが独自の光ファイバーケーブル網で提供する光回線(独自回線)も、通信回線・プロバイダ一体型となっています。

【関連記事:独自回線と光回線は何が違う?光回線の種類一覧と特徴を徹底整理

プロバイダ契約方法のパターン

プロバイダ(および回線事業者)との契約方法は、現在の回線状況や契約先の事業者によって異なります。主な契約方法のパターンは以下の通りです。

・フレッツ光網が物件に引き込んである場合:フレッツ光および提携プロバイダを契約するか、光コラボを契約する
・フレッツ光を契約している場合:新たに提携プロバイダを契約するか、光コラボに転用する
・独自回線が物件に引き込んである場合:通信回線・プロバイダを一括契約。事業者によっては、提携プロバイダを別に契約する選択肢もある
・光回線が物件に引き込まれていない場合:回線事業者・プロバイダを契約。回線開通工事が必要
・フレッツ系から独自回線への乗り換え:契約中の回線・プロバイダを解約し、独自回線を契約および開通工事する
・2回線目に独自回線を追加(インターネット回線の冗長化):契約中の回線・プロバイダはそのままに、独自回線を追加で契約および開通工事する

いずれにせよ、現在の回線状況を契約先のプロバイダに伝え、具体的な手続きをすり合わせましょう。

【関連記事:インターネット回線の冗長化とは?仕組みや具体的な構成例を一挙解説

企業がプロバイダを法人契約すべき理由5選

プロバイダには個人向けと法人向けのサービスがあり、後者はビジネスユースを想定しているため通信速度・安定性に優れます。また、固定IPアドレスの取得によりWebサーバ・メールサーバやVPNサーバの自社運用ができるのもポイントです。ここでは、法人向けプロバイダサービスを契約するメリットを解説します。

1.安定した高速回線を利用できる

個人向けプロバイダサービスは不特定多数の個人ユーザーが利用するため、回線が混雑しやすく、通信速度は不安定になりがちです。また単位時間当たりのデータ通信量を制限する帯域制限が設定されていることも多く、思わぬタイミングで通信速度が大きく低下し、ビジネスに支障をきたす恐れもあります。

法人向けプロバイダサービスはビジネスユースを想定しているため、混雑状況の影響を受けにくく、比較的安定してインターネット接続できるのが利点です。また帯域制限の設定がない場合も多く、ビジネスの停滞を防止できます。

2.固定IPアドレスが取得できる

法人向けプロバイダサービスは、インターネットを接続する際に、常に同じ番号に接続可能の固定IPアドレスが利用できることもポイントです。IPアドレスは一時的なものか固定的なものかで動的IPアドレスと固定IPアドレスの2種類に分かれます。

一般的に提供されるのは動的IPアドレスです。こちらはインターネット接続のたびにIPアドレスが変更されるため、固定的な住所を持てません。自社サーバでWebサイトを公開したり、VPNサーバを利用したりするには、固定IPアドレスが必要です。

個人向けのプロバイダサービスはこのような用途を想定していないため、固定IPアドレスは主に法人向けプロバイダサービスで提供されています。

3.セキュリティを守り抜くため

ビジネスにおいてプロバイダの法人契約をすすめる最大の理由は、セキュリティ面です。企業が顧客情報を流出させてしまうと、信頼が一気に崩れるだけでなく、刑事上や民事上の法的責任を追求されることも考えられます。

法人契約は固定アドレスIP取得により、VPNサーバと呼ばれる専用のネットワーク通信を利用できます。VPNサーバは、専用の通信網によりセキュリティを強固に守り抜くため安心です。また、VPNを構築することで、テレワークなどを行う社外や外出先などからでも簡単に社内データにアクセスできる点もポイントです。

4.安心のサポートがある

法人契約は、アフターサポートが充実していることも多いでしょう。インターネットトラブルは業務に支障が出てしまうため、素早くサポートする必要があります。

例えば、法人契約の場合、緊急時には24時間いつでも相談できる専門ダイヤルがあることや、セキュリティが最新の技術で自動更新されるなどです。トラブル時以外でも、専門家からのアドバイスがあることも手厚いサポートといえるでしょう。

5.節税対策になる

インターネット契約料も経費として認められています。そのため、法人名義で契約すると経費として計上できるので節税対策にもなります。

個人契約の場合は、事業に必要な経費として認められないこともあるので、ビジネス用途でインターネットを使用する際は、法人契約で全額経費処理することをおすすめします。

プロバイダ法人契約にもデメリットはある?

プロバイダの法人契約は法人での取引になるため、個人に比べると手続きが複雑で、長期契約が前提というケースも多いでしょう。ビジネスに使用するインターネットのため、契約後、自社のニーズに合わないからといって、すぐに解約できるわけでもありません。

ここからは、プロバイダの法人契約で見受けられるデメリットについて理解していきましょう。

時間がかかる

法人契約は企業と企業との契約ですので、時間がかかります。複数のIP取得や、独自ドメイン取得となると2週間以上かかる場合がほとんどです。個人のように契約後にすぐインターネットが使えない点は場合によっては大きなデメリットとなるでしょう。

必要書類が多い点にも注意が必要です。必要書類提出後に審査のある場合がほとんどです。用意する書類は契約によって異なりますが、法人契約で一般的に必要とされる書類は以下の通りです。

・登記後謄本
・印鑑登録証明書
・担当者の本人確認書類
・開業届

長期契約が前提の場合が多い

法人契約は長期契約を前提とするケースが多いでしょう。契約年数は2年、3年、5年契約などで、途中解約は違約金が発生するケースもあります。

ただし、長期利用によってお得となる料金設定が多く、「長期だから不利」というわけではありません。 

工事が必要な場合がある

光回線を導入する場合は、工事の必要なケースがあります。インターネット回線が全く整っていない環境の場合、回線を引き込むための配線工事や屋外工事が必要です。独立した建物や複数の企業が入っているビルなどは、工事費用や日程もかかります。

このように、セキュリティ対策やサポートに優れている分、導入までの時間とコストがかかることはデメリットといえるでしょう。

契約中のプロバイダを確認する方法

回線事業者・プロバイダの違いを意識せずにインターネット回線を契約すると、「契約中のプロバイダ名が分からない」となる場合もあるでしょう。契約中のプロバイダ情報は、新たに契約するプロバイダに伝える際などに必要です。簡単に確認する方法は3種類あります。

無料Webサービスで確認

Googleで「プロバイダ 確認」をキーワード検索すると、アクセスするだけで自身のIPアドレスやプロバイダ情報を調べられるWebサイトがヒットします。例えば「確認君+」や「みんなのネット回線速度」による無料プロバイダ確認サービスです。

他にも「ラッコツールズ」の「IPアドレス確認」ページにアクセスし、「リモートホスト」欄からプロバイダ名を読み取る方法もあります。表示されたIPアドレスを「Whois検索」ページでキーワード検索すると、より詳細なプロバイダ情報を確認できます。

契約書類やメール履歴で確認

プロバイダとの契約書類が手元にあれば、それを確認すれば一目瞭然です。契約日・契約内容なども詳細に把握できるでしょう。契約書類が見つからなくとも、会員情報を記載した書類やユーザーガイドなどがあれば、どのプロバイダと契約しているかを確認できます。

Web上の窓口で契約したり、メールサービスを契約したりした場合、プロバイダとのやりとりがメールボックスに残っていることもあるでしょう。メールの文面や署名欄から、会員ページのログイン情報やプロバイダ名・電話番号・住所などを確認できます。

月額料金の利用明細で確認

プロバイダと契約中は月額利用料金がかかるため、引き落としに設定した銀行口座の通帳やクレジットカードの利用明細を調べれば、プロバイダ名を確認できます。

サービス利用の明細書を郵送してもらう設定にしていたり、Web明細を利用できたりする場合、それらの明細からプロバイダ情報やサポート窓口を調べることも可能です。

プロバイダ契約先を選ぶポイント

プロバイダの比較ポイントとしてまず押さえたい点が、ビジネスを停滞させない通信速度・安定性があることです。数値情報だけでなく、「IPv6 IPoE」に対応していることも確認しましょう。また、Wi-Fi機器が「Wi-Fi6」に対応していることも重要です。

さらに、プロバイダサービスと光回線をセットで提供している事業者なら契約を一本化できランニングコストを抑えられる可能性も高いので、併せてチェックしておきましょう。

回線速度が速いこと

通信速度の速いプロバイダを選んでおくと、安定したデータのやりとりができるでしょう。大容量のファイルや動画は、速度が足りないと時間がかかり、業務効率を下げることにつながります。

光回線は最大1Gbpsや2Gbpsなどの速度を出せますが、実際に通信する際の実測値は大きく異なります。事前にインターネットの口コミなどを見て、しっかり速度が出ているかどうかを調べておくと安心です。上り下りの最大速度と、回線が安定しているプロバイダを選びましょう。

【関連記事:速い光回線の特徴やスペックを生かす接続環境のポイントを徹底解説!

IPv6 IPoEに対応していること

プロバイダが「IPv6 IPoE」に対応していることもポイントです。インターネット接続方式は主に「IPv4 PPPoE」とIPv6 IPoEの2種類です。

・IPv4 PPPoE:古いインターネット接続方式。網終端装置を経由するため、同時接続数が多くなると深刻な通信速度低下を起こす
・IPv6 IPoE:新しいインターネット接続方式。網終端装置を経由しないため、時間帯にかかわらず快適に通信できる

インターネット接続方式は通信速度・安定性に大きく影響します。プロバイダ契約の際は、IPv6 IPoEに対応した事業者を選ぶとよいでしょう。

Wi-Fi機器がWi-Fi6に対応していること

プロバイダによってはWi-Fiルーターを貸与します。ここで押さえておきたいのは、Wi-Fiルーターが最新のWi-Fi規格「Wi-Fi6」に対応していることです。Wi-Fi6には以下のような特徴があります。

・旧世代の「Wi-Fi5」と比べて約1.4倍の高速通信
・5GHz帯と2.4 GHz帯の両方に対応
・「OFDMA」採用により、多台数の同時接続時に通信の順番待ちが発生しない
・最新のWi-Fiセキュリティ規格「WPA3」に標準対応

つまり、Wi-Fi6に対応したWi-Fiルーターなら、Wi-Fiを非常に快適かつ安全に利用できます。また、Wi-Fi6対応の「Wi-Fiアクセスポイント」を増設することも効果的です。

【関連記事:Wi-Fi6とIPv6の違いとは?メリットや利用方法をわかりやすく解説

契約を一本化できること

プロバイダサービスと光回線をセットで提供している事業者を選ぶこともポイントです。プロバイダサービスと光回線を別々に契約すると、サポート窓口が2つになってしまい、トラブルの切り分けや解決が遅くなってしまいます。また、月額料金も高くなりがちです。

光回線・プロバイダ一体型のサービスなら、トラブルをスピーディに解決でき、月額料金も抑えられることが多いでしょう。

【関連記事:『プロバイダと回線業者の違いを理解しよう!経営者におすすめのプロバイダとは』

法人向けプロバイダ契約とWi-Fi環境整備はイッツコム!

イッツコムは2回線目にも最適な高コスパ独自回線「イッツコム光接続サービス」、高性能APの簡単増設で業務用・フリーWi-Fiを一括整備できる「かんたんWi-Fi」を提供しています。コストを抑えた通信環境のアップグレードを検討している企業に最適な組み合わせです。

2回線目にも最適な高コスパ独自回線「イッツコム光接続サービス」

法人向けのインターネット回線には通信の速度・安定性が必須です。しかし法人向け光回線は高コストなものも多く、回線強化の選択肢に悩む企業も珍しくありません。

イッツコム自前の光回線網による独自回線「イッツコム光接続サービス」なら、個人向け光回線並みの低コストで、2Gbpsクラスの法人向け高速回線を利用できます。IPv6 IPoEに標準対応するため、通信の安定性も抜群です。

通信回線・プロバイダ一体型のサービスであるため、1つのサポート窓口でトラブルもスピーディに解決できます。また契約期間の縛りはありません。独自回線であるため他サービスの通信回線・プロバイダが障害発生時にも安定利用でき、2回線目のインターネット回線としても最適です。

高性能APの簡単増設で業務用・フリーWi-Fiを一括整備「かんたんWi-Fi」

従業員が固定席を持たないフリーアドレスや、モバイルデバイスの業務利用を採用する企業が増える中、Wi-Fiによる無線接続環境のニーズも高まっています。しかし1台の家庭用Wi-Fiルーターだけを設置し、「遅い・つながらない」といった問題に悩むケースも珍しくないでしょう。

イッツコムの「かんたんWi-Fi」なら、高性能なWi-Fiアクセスポイント(AP)を何台でも自由に増設できます。必要な設定は、届いたAPにLANケーブルと電源ケーブルを差し込むだけです。Wi-Fiルーター1台だと電波の死角が生まれやすいオフィス空間でも、無理なく全域に電波を届けられます。

プロによる年中無休(365日9:00~21:00)のサポート窓口も標準で付帯するため、初めてのAP運用でも安心です。

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まとめ

インターネット回線を利用するには、プロバイダ・回線事業者と契約することが必要です。光コラボや独自回線は通信回線・プロバイダ一体型で、契約窓口やサポート窓口を1つにまとめられます。法人向け光回線は一般的に高コストですが、通信品質や固定IPアドレスの付与などの面で、個人向け光回線より有利です。

イッツコムはIPv6 IPoE対応の「イッツコム光接続サービス」や、Wi-Fi6対応の「かんたんWi-Fi」を提供しています。プロバイダ契約の見直しをお考えなら、事業規模やニーズに応じた柔軟な提案ができるイッツコムにご相談ください。