監視用SIMカメラのメリットとは?機種・SIMカードの選び方も紹介
目次
防犯・監視用カメラの中には、SIMカードを挿入して遠隔監視ができるSIMカメラもあります。従来型の防犯・監視カメラでは対応しにくい場所の定点監視に活用でき、機器の設置・撤去・移動も容易です。
ただしSIMカメラの運用には機器本体とデータSIMが必要になるため、ランニングコストとしてパケット通信費がかかります。本記事で紹介するSIMカメラのメリットや機種・SIMカードの選び方を参考に、自社のニーズに合ったSIMカメラ運用を検討しましょう。
防犯・監視用のSIMカメラとは?
防犯・監視用のカメラは、Webブラウザや専用アプリから管理・操作できるネットワークカメラ(IPカメラ)が主流です。同軸ケーブルでビデオカセットレコーダーと接続するアナログカメラとは異なり、ネットワークを通じて双方向通信ができます。まずはSIMカメラの特徴を確認しておきましょう。
SIMカメラはモバイル通信で遠隔監視ができる
SIMカメラは、SIMカードを挿入してモバイル通信が可能なネットワークカメラ(IPカメラ)の一種です。通常のネットワークカメラはIPアドレスを使ってインターネット経由で映像を確認しますが、SIMカメラはスマホのようにモバイル回線を利用できます。
このため、5Gや4G LTEなどのモバイル回線を使ってインターネットに接続でき、光回線やLAN環境が不要です。建設現場や河川沿いなど、従来は監視が難しかった場所でも、手軽かつコストを抑えた遠隔監視が可能です。
SIMカメラには音声通話SIMではなく安価なデータSIMを使う
SIMカードには音声通話SIMとデータSIMの2種類があります。遠隔監視をするSIMカメラには通話やSMSの機能が不要なため、データ通信専用のデータSIMを使用します。音声通話SIMと比べて、データSIMの方が月額料金が安く、コストを抑えることができます。
【関連記事:SIMカードとは?基礎知識から企業向け活用術や選び方まで分かりやすく解説】
防犯・監視用カメラにSIMカードを使うメリット
光回線やLAN環境を前提とするネットワークカメラに比べ、SIMカメラにはさまざまなメリットがあります。例えば、固定回線を引きにくい場所でも簡単に設置でき、撤去や移動も容易であることです。運用負担を軽減でき、コスト削減や業務効率化にも役立つでしょう。
導入時に回線工事やLAN構築が必要ない
防犯・監視用のSIMカメラを導入する際は、インターネット回線の工事やLAN構築が不要です。データSIMを利用するため、通信キャリアのサービスエリア内であれば、固定回線がない場所でも遠隔監視が可能です。
一方、SIMカード非対応のネットワークカメラは、LANケーブルやWi-FiでPCやサーバに接続し、インターネットに接続するにはルーターを通す必要があります。そのため、カメラ1台の運用でも手間とコストがかかります。
SIMカメラは、データSIMを挿入して電源を入れるだけで使えるため、LANケーブルの配線やWi-Fi環境の構築が不要で、簡単に設置できます。
専用アプリを通じてスマホからでも遠隔監視ができる
SIMカードを挿入する防犯・監視カメラのメリットは、LAN構築が必要なカメラに比べて遠隔監視が容易になる点です。SIMカメラで撮影した映像は、本体内のSDカードやクラウドストレージに保存され、専用アプリを使ってPCやスマホからインターネット経由で再生できます。
この監視映像には、いつでもどこからでもアクセスでき、ライブ映像をリアルタイムで確認することも可能です。機種によっては、専用アプリで複数台を一元管理したり、スマホで異常を検知した際のプッシュ通知を受け取ったりする機能も搭載されています。
ケーブル配線不要で屋外設置が容易になる
防犯・監視用カメラにSIMカードを挿入すれば、近くに電源さえあれば運用でき、ケーブル配線が必要なネットワークカメラに比べて屋外設置が容易になるのもメリットです。設置場所によっては、電源工事が不要な場合もあります。
特に、太陽光発電パネルやバッテリーを搭載したソーラー充電式のSIMカメラは、LANケーブルや光回線だけでなく、電源ケーブルも不要です。このため、周辺環境に左右されず、どこにでも簡単に設置できるのが大きな利点です。
別の場所にそのまま移動させて使い回しができる
SIMカードを挿入して防犯・監視カメラを運用することで、機器の撤去や移動が容易になり、他の場所での再利用も簡単にできます。現地のネットワーク環境を変更せずにカメラの設置・撤去・移動が可能で、ネットワークの専門知識も必要ありません。
イベントや工事現場でカメラを使い回す際も、SIMカメラなら本体を移動させるだけで手軽に対応でき、手間やコストを最小限に抑えた運用が可能です。
防犯・監視用SIMカメラの利用シーン例
SIMカメラは固定回線を引きづらい場所や電源を取りづらい場所に設置しやすい他、撤去・移動も容易です。従来の監視カメラでは対応が難しい場所でも便利に活用でき、効率的な遠隔監視ができます。主な活用シーン例は以下のようなものです。
- 公園・コインパーキング・自動販売機などのトラブル・いたずら対策
- 建設現場の衛生・安全管理や資材盗難対策
- 山間部の太陽光発電パネルの現況確認
- 野菜や果実の盗難対策
- ダムや地下道の水位監視
防犯・監視用SIMカメラの選び方
SIMカメラはLTEカメラと呼ばれることもあります。ECサイトなどで販売されているネットワークカメラ(IPカメラ)の中で、製品情報に「Wi-Fi不要」「4G LTE通信」「SIMカード対応」などと記載されたものがSIMカメラです。機能性のチェックポイントを押さえて、最適な機種を選びましょう。
防塵・防水性能が高い機種を選ぶ
SIMカメラを屋外で利用するなら、風雨にさらされても故障しない耐久性は重要です。電気機器の防塵・防水性能はIP(Ingress Protection:侵入への保護)規格に基づいて規定されており、「IP66」「IP65」などと表示されます。
IPに続くひとつ目の数字が防塵性能、二つ目が防水性能の等級です。それぞれ数字が大きいほど高レベルに保護されることを意味します。
屋外設置には、保護等級IP66のSIMカメラがおすすめです。IP66は防塵性能が最高レベルで「完全に粉塵を防ぐ構造」を持ち、防水性能は「どの方向から強い水を噴射されても浸水しない」という高い保護機能を提供します。
夜間も鮮明に録画できる機種を選ぶ
24時間監視を行うためには、夜間も鮮明に録画できるSIMカメラを選ぶことが重要です。特に、夜間に赤外線レンズに自動で切り替わる機種は、暗闇でもクリアな映像を記録でき、「昼間は鮮明でも夜間は映像が不明瞭」という問題を回避できます。
また、監視範囲を広くカバーするために、画角の広さやズーム性能も確認しておくとよいでしょう。より詳細な監視が可能になり、監視カメラの性能を最大限に生かせます。
遠隔監視を効率化できる機種を選ぶ
動体検知機能や双方向音声機能など、遠隔監視を効率化できる機能があるかどうかもチェックしましょう。
例えば、人感センサー付きの機種は一定範囲の人体(発熱体)を検出でき、検出後に実際の動きから数秒さかのぼって録画を開始したり、動体検知の状況をアプリへプッシュ通知したりできます。常時監視が必要ない場合、録画する時間を動体検出時のみに限定すると、ストレージ容量の圧迫や通信データ量の肥大化の抑制に効果的です。
集音マイク・スピーカーを搭載した機種なら、監視映像だけでなくカメラ周囲の音も確認でき、カメラ越しに会話することやアラームで威嚇することもできます。
SIMカメラ運用はデータSIMのキャリアや料金プランに注意
SIMカメラを運用するには、データSIMの契約が必要です。データSIMは、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンク、楽天モバイルの4大キャリア、またはそれらの回線を利用するMVNO事業者から提供されています。
SIMカメラのメーカーや機種によって、対応する通信キャリアが異なることがあります。1社限定のケースもあれば、複数のキャリアから選べる場合もあります。サービス提供エリアや料金プランを比較し、自社のニーズに合ったSIMカメラとデータSIMを選ぶことが大切です。
防犯・監視用カメラに使うSIMカードの選び方
双方向音声通話など音声機能付きのSIMカメラもありますが、音声も監視映像などと同様にデータとして送受信します。前述の通り、SIMカメラに音声通話通信は必要ないため、音声通話SIMではなくデータSIMを選びましょう。ビジネスユースなら、法人向けのデータSIMがおすすめです。
設置場所の通信状況が良いキャリアを選ぶ
SIMカメラの設置場所が通信キャリアのサービス提供エリア外だと、データ通信による遠隔監視ができません。データSIMで5Gや4G LTEによる通信ができるエリアは、音声通話SIMと同様です。通信キャリアの公式サイトから、サービス提供エリアを確認しておきましょう。
なお、サービス提供エリアに入っていても電波が届きにくい場所だと、通信は不安定になります。設置場所によってはライブ映像の遅延が起こるなど、遠隔監視がしにくい場合もあるでしょう。SIMカメラ用のデータSIMと同じ通信キャリアの音声通話SIMを挿入したスマホなどがあれば、事前に現地の通信状況を確認しておくこともできます。
月間データ容量とコストのバランスが良い料金プランを選ぶ
SIMカメラで遠隔監視を行うには、1台につき1枚のデータSIMが必要です。録画データや音声データの送信時には、スマホと同様にパケット通信費が発生します。トータルコストは料金プランや機器の録画・通信機能により異なりますが、運用台数が増えるとコストも比例して増加する点に注意が必要です。
例えば、MVNOが提供する格安SIMはランニングコストを抑える選択肢として有効ですが、データ通信量の制限を超えると速度制限がかかり、遠隔監視に影響が出る可能性があります。通信容量の上限を引き上げたり、追加データを購入することでコストが上がるため、月間データ容量とコストのバランスを考慮した料金プランを選ぶことが重要です。
複数台の運用なら法人向けデータSIMを選ぶ
データSIMは個人向けサービスと法人向けサービスがあります。法人向けデータSIMは、複数SIMカードのセット契約に対応できたり契約SIMカード間で通信量を共有できたりするなど、ビジネスユースに向いたサービスを利用できることが利点です。複数台のSIMカメラを運用するなら、法人向けデータSIMを選びましょう。
SIMカメラ用の法人データSIMならイッツコムにお任せ!
防犯・監視用のSIMカメラを複数台運用する場合、同じ枚数のSIMカードを契約することになります。複数枚のデータSIMを契約するなら、ビジネスユースに向いたサービスを利用できる法人向けデータSIMを利用しましょう。
イッツコムはNTTドコモ回線の法人データSIMを提供しています。「カード単体プラン」は個人利用と同一料金ですが、「シェアプラン」なら契約枚数が2枚・5枚・10枚と多くなるほどお得になる料金設定です。
また、通信データ容量は複数SIMカードでシェアでき、SIMカメラ間で月間通信量に差があっても、通信料金の無駄を抑えられます。
導入前のトライアル期間中にデータ使用量の目安を確認できるため、初めてのSIMカメラ運用でコストの見込みが付かない場合でもご安心ください。
まとめ
SIMカードを挿入できるネットワークカメラは、従来型の防犯・監視カメラに比べて遠隔監視がしやすく、設置・撤去・移動も容易です。ネットワーク環境を構築しにくい場所での定点監視はもちろん、建設現場やイベント会場などで使い回したい場合にも便利に活用できます。
ただし運用中のランニングコストとして、データSIMのパケット通信費はかかります。複数台を運用するなら、法人向けならではのシェアプランを選べる法人向けデータSIMを活用しましょう。SIMカメラの運用をお考えなら、ニーズに合った最適な料金プランで法人データSIMを利用できるイッツコムにご相談ください。