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DXを3段階で進める理由とは?段階的な導入の効果を解説

DXはツールを導入するだけでは完結しません。経済産業省のDX支援ガイダンスで定義される「3つの段階」を意識し、現状の業務に応じて段階的に進めていくことが成功の鍵です。

各段階の名称と目的・具体的な取り組みから、よくある課題と解決策まで詳しく解説します。通信インフラ整備の重要性や、ネットワーク環境の整備に最適な業務用Wi-Fiのメリット・導入事例も、段階的なDX推進の参考にしましょう。

DXを進めるならまず知っておきたい「3つの段階」

DXを成功に導くには、漠然とツールを導入してデジタル化するだけでは不十分です。経済産業省の「DX支援ガイダンス」でも示されているように、DXは段階的に進めることが重要とされています。

経済産業省が定義するDXの3段階それぞれについて、どのような状態を指すのか・何を目的としているのかを見ていきましょう。

参考:経済産業省『DX支援ガイダンス』「DX支援ガイダンス -デジタル化から始める中堅・中小企業等の伴走支援 アプローチ-(概要版)」PDF

「デジタイゼーション」アナログ資産・個別業務のデジタル化

デジタイゼーションとは、紙の書類をデジタルデータ化したり、FAXや電話中心だったアナログ業務をデジタルな手段(メール・チャットなど)に置き換えたりする段階です。

例えば、紙の受発注をメールに切り替える、出退勤管理のツールをタイムカードからICカードに変更するといった取り組みが該当します。

デジタルツールの導入によって業務の効率化・標準化ができ、作業の非効率が少しずつ軽減されていきます。ただしデジタイゼーションの段階では、データ活用や業務フロー全体のデジタル化までは達していない点が特徴です。

「デジタライゼーション」業務プロセス全体のデジタル化

デジタイゼーションによって得られたデータや整備された業務をベースに、業務全体のプロセスをデジタル化していくのが「デジタライゼーション」です。

受注から出荷までのフローを一元管理システムに統合したり、在庫情報をリアルタイムで確認できるようにしたりといった、プロセス全体の改善がデジタライゼーションの取り組み例として挙げられます。

この段階では、ツール導入による部分的な効率化ではなく業務全体がつながることで、コスト削減・情報のリアルタイム共有・品質の安定といった複合的な効果が生まれます。

「デジタルトランスフォーメーション(DX)」ビジネスモデルの革新へ

DXの最終段階が「デジタルトランスフォーメーション(DX)」です。業務フローだけでなく、ビジネスモデルそのものをデジタル技術によって革新していきます。

買い切り型からサブスクリプション型への製品モデル転換、デジタル化で収集したデータを活用した新サービスの立ち上げ、AIによる業務判断の自動化などがその一例です。この段階に至ると、企業は単なる効率化を超えて、市場競争力の強化や新たな価値創出に取り組むフェーズへと移行します。

経済産業省の「DX支援ガイダンス -デジタル化から始める中堅・中小企業等の伴走支援 アプローチ-(概要版)」に記載されている「中堅・中小企業等のDXの現状」からも分かるように、DXはデジタル化による業務効率化と捉えている企業は少なくありません。

しかし、この最終段階に至って初めて「DXを達成した」と言えます。DXを推進する際には、ツール導入によるデジタル化・効率化を最終的なゴールとしないように注意しましょう。

参考:経済産業省『DX支援ガイダンス』「DX支援ガイダンス -デジタル化から始める中堅・中小企業等の伴走支援 アプローチ-(概要版)」PDF P.5

段階を踏まないDXが失敗を招く理由

DXに取り組む企業の中には、「全ての業務にツールを導入しよう」と、一気に変革を進めようとするケースが少なくありません。しかし、段階を踏まず急激に変革を進めると、業務が混乱し、定着せずに失敗に終わるリスクが高まります。

特に現場の理解や準備が不十分なまま導入を進めると、「使いにくい」「手間が増えた」といった反発が起こりやすく、導入したツールが定着しないまま形骸化してしまいかねません。

急いで全社展開してしまうと、試行錯誤を重ねる余地がなく、課題を修正できないまま施策が空回りしてしまう可能性もあります。

DXは単なるシステム導入ではなく、業務の進め方や働き方そのものを見直す変革です。準備・実行・振り返りというプロセスを意識し、段階的に展開していくことが、長期的な成果につながります。

DXの3段階ごとの課題と乗り越え方

DXの3段階には、それぞれ異なる課題が存在します。段階の進行に応じて発生する障壁と解決策を事前に理解しておくことで、対策を講じながら着実に進めることが可能です。

デジタイゼーション「アナログ資産・業務のデジタル化対象が分からない」

紙の書類や手作業の業務が多い企業では、デジタル化の対象を選ぶこと自体が難しいという声がよく聞かれます。

しかし全てを一気にデジタル化しようとすると、コストや手間がかかり、現場の負担も増えてしまうリスクが増えるでしょう。特に時間がかかっていて煩雑かつ基幹業務に影響が少ないアナログ業務から、デジタイゼーションを進めるのが基本です。

そのためには、どの業務にどの程度の時間がかかっているのか、現状を分析しなければなりません。その上でデジタル化に適していると判断した業務をデジタル化することで、失敗のリスクを最小限にしながら効果を実感しやすいデジタイゼーションが実現します。

デジタライゼーション「プロセスの変化によって現場が混乱する」

業務全体をデジタルで再構成するデジタライゼーションは、既存の手順や役割が変わることへの戸惑いや抵抗が起こりやすい段階です。「慣れたやり方を変えたくない」「システムを使いこなせるか不安」といった声は、決して珍しくありません。

この段階では、現場にとってのメリットを具体的に伝えるとともに、支援体制を整えておくことが重要です。ツールの操作説明会やマニュアルの整備・フォロー担当者の設置などによって現場の不安を和らげ、混乱の最小化を図りましょう。

ワークフローシステムや営業支援システムなど、デジタライゼーションで導入するツールは、操作性が良く誰でも使えるUIのものを選ぶことも重要です。

デジタルトランスフォーメーション「全社的に変革が定着しない」

最終段階のデジタルトランスフォーメーションでは、業務やサービスだけでなく、事業そのものを再構築するような変革が求められます。

しかし、これまでの文化や考え方が根強く残っていると、現場レベルでは変革の必要性を実感できず、形だけのDXに終わってしまうケースも少なくありません。

トップダウンだけでは定着しにくいため、現場の意見を吸い上げながら、双方向のコミュニケーションで「なぜ変えるのか」「どのような未来が待っているのか」を共有していくことが求められます。DXを全社的に浸透させるには、経営層と現場の橋渡し役を担う中間層の巻き込みも重要です。

全段階共通「社内のスキルやデジタル教育体制が不足している」

DXを進めたくても「そもそもITやデジタルに詳しい人材がいない」という悩みを抱える企業は多いでしょう。システム導入後も、使い方が分からない・応用が利かないといった状態が続けば、せっかくの取り組みが形骸化してしまいます。

この課題に対しては、社内での勉強会や外部研修の活用・ベンダーによるサポート体制の整備など、教育・習熟にリソースを割くことが必要です。特に中小企業では、外部のIT支援機関を活用することで少ない人数でも安心してDXに取り組めるようになります。

DXを後押しするインフラ整備の重要性

DXを進めるに当たって、3つの段階と同様に忘れてはならないのが「通信インフラの整備」です。業務効率化やリモート対応の基盤となるネットワーク環境が整っていなければ、せっかく導入したクラウドサービスやSaaSも本来の力を発揮できません。

例えば、オンライン会議で映像が途切れたりファイルの送受信に時間がかかったりする原因の多くは、通信回線の帯域不足や混雑です。共有型回線ではほかの利用者の影響を受けやすく、業務時間帯に通信が不安定になることもあります。VPNへの同時接続が集中すると、リモートワークの生産性にも大きな影響を及ぼしかねません。

こうした問題は、インターネット回線を専用線に切り替える・帯域幅を増強する・利用実態に応じた回線プランを見直すなどの対策で改善が可能です。社内や店舗のWi-Fi環境も同様で、ビジネス利用を前提としたものを用意することで、DXの段階をスムーズに進めやすくなります。

DXを支える通信環境は、単なるインフラではなく、日々の業務負担と従業員のストレスを軽減する「経営資源」として再認識すべきでしょう。

DXの第一歩に最適な「かんたんWi-Fi」


DXを段階的に進めていくには、それに適したネットワーク環境の整備が必要です。既存のネットワーク環境が悪い場合の解決策として、イッツコムが提供する業務用Wi-Fi「かんたんWi-Fi」があります。どのような特長があるのかを見ていきましょう。

来客用Wi-FiやPOSレジの通信環境にも対応

かんたんWi-Fiは、店舗やオフィスの業務用インターネット環境としても、来客用Wi-Fiとしても柔軟に利用できる業務用Wi-Fiアクセスポイントです。

パソコンやタブレット・POSレジなどWi-Fiに対応した機器では、もちろん業務用Wi-Fiとして利用できます。社内と来客用のネットワークを分けて運用したい場合には、SSID(ネットワークの識別名)を分けて設定することで、業務用と来客用でセキュリティを分離した構成も実現できます。

このように、業務用Wi-Fiとしての基本機能に加え、来客用のインターネット提供にも対応できる設計となっており、小規模店舗やオフィスでの多用途利用に適しています。

工事や専門知識なしで設置できる

かんたんWi-Fiは、業務用Wi-Fiとして十分な性能を持ったアクセスポイントですが、設置作業は非常にシンプルです。

ビジネスに適したインターネット固定回線とプロバイダ契約・ルーターがすでにあるなら、LANケーブルでルーターとかんたんWi-Fiの機器を接続し、電源と接続するだけで設置が完了します。複雑な配線工事や専門的なネットワーク知識は不要で、初めてでも導入しやすい点が特徴です。

かんたんWi-Fiの利用は、インターネット接続サービスやプロバイダ契約が前提となります。ただ、これから整備する場合、イッツコムで回線契約からWi-Fi導入まで一括で整えることも可能です。

かんたんWi-Fiの導入事例(不動産業)

住宅展示場を運営するある企業では、施設内に有線LANが整備されておらず、商談スペースやセミナールームなどで安定したインターネット接続を確保するのが難しい状況でした。また、広い敷地内のどこからでもネットに接続できる環境が求められており、来場者向けのフリーWi-Fiの提供も課題だったといいます。

そこで導入されたのが、イッツコムの「かんたんWi-Fi」です。アクセスポイントの設置によって施設内のどこでも安定したネットワークが利用可能となり、接続環境に左右されない営業活動が可能になりました。同時に来場者向けのWi-Fi環境も整い、施設全体の利便性と顧客満足度の向上を実現しています。

段階的なDXで意識したい3つのポイント

DXを進める上では、どのような視点を持ってプロセス設計をすべきなのでしょうか。DXの3段階を意識した計画のポイントは以下の通りです。

  • 自社の現状を正確に把握する
  • 小さく始めてスケーラブルに拡張する
  • 社内外のリソース・パートナーを活用する

どの業務がアナログのままか・どのプロセスが属人化しているかを棚卸しし、「改善しやすい業務」「改善の効果が感じられる業務」を可視化すると、デジタイゼーションの対象となる業務の切り分けが可能になります。

次に意識したいのが、スモールスタートの考え方です。デジタライゼーションも最初から全社展開を目指すのではなく、協力的な部署から段階的に導入し、現場の声を拾いながら運用を最適化していくことで成功体験を積み重ねられます。

また、DXは社内リソースだけで完結させるものではありません。ITベンダーや導入支援パートナー・自治体や商工会議所など、外部の専門的な知見やサポートを積極的に活用すれば、限られた人員でも着実にDXの段階を進めることが可能となります。

まとめ

成功するDXのためには、経済産業省が定義している「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」「デジタルトランスフォーメーション」の3段階で考えることが重要です。無理のないステップ設計と現実的な施策が、DXによる目的達成の鍵を握ります。

通信インフラの整備は、DXの3段階全てにおいて重要な基盤です。イッツコムの「かんたんWi-Fi」のようなサービスやネットワーク構築サービスなど、便利なツールや外部のサービスを活用して、段階的なDXを進めましょう。