1. コラム
  2. コラム
  3. 守りのDXで社内を整える|業務安定を実現する通信インフラとは

守りのDXで社内を整える|業務安定を実現する通信インフラとは

企業の変革を支えるDX(デジタルトランスフォーメーション)には、大きく分けて「攻め」と「守り」の2つの方向性があります。新たな価値創出を目指す攻めのDXと並び、業務の効率化やリスク管理、情報資産の整備といった“守り”の領域でのDX にも注目が集まっています。

本記事では、企業が安定性と柔軟性を備えるために取り組むべき「守りのDX」に焦点を当て、その定義や目的、具体的な施策や課題、導入のポイントを解説します。限られた人材・予算でも取り組みやすい「第一歩」についても具体的に紹介します。

守りのDXとは何か?

DXは、単なるIT導入を超え、ビジネス全体を変革する取り組みです。その中でも「守りのDX」は、企業の内部業務や経営基盤を強化することを目的としたアプローチであり、コスト削減やリスク管理、情報資産の活用といった“土台”を整える役割を担っています。

ここでは、「守りのDX」の定義や、類似概念との違い、そしてその目的について整理します。

守りのDXとデジタル化・攻めのDXの違い

守りのDXは、社内業務の効率化や基盤整備を目的とした変革です。これに対して、攻めのDXは新規事業の開発や顧客接点の革新など、外向きの変革に焦点を当てます。

また、しばしば混同されるのが「デジタル化」との違いです。デジタル化とは、紙の帳票を電子化するような作業の置き換え(=デジタイゼーション)を指しますが、それだけではDXとは言えません。

DXは、デジタル化された情報を活用し、業務プロセスや組織構造そのものを変革する取り組みであり、特に守りのDXにおいてはこの順序が重要です。

守りのDXは、攻めのDXの基盤づくりであり、業務の無駄を減らし、組織全体が柔軟に動ける状態を整える第一歩として位置づけられます。

守りのDXの代表的な目的

守りのDXが目指すのは、企業活動の「内側」を整えることです。代表的な目的には、以下のようなものがあります。

・業務の効率化・自動化
定型業務の自動処理、紙媒体からクラウドへの移行により、人的負担やミスの削減を実現します。

・コスト削減と省力化
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)や業務アプリの導入により、人件費・運用費の最適化を図ります。設備維持や管理業務もスマート化されます。

・情報資産の整備とリスク管理
顧客情報や社内データをデジタルで管理し、漏洩や誤送信といったリスクを抑える体制を整備します。BCP(事業継続計画)対応の一環としても有効です。

このような目的を持つ守りのDXは、攻めのDXを支える「土台」として機能し、企業の持続的成長を支える重要な柱となります。

なぜ今、守りのDXに注目が集まるのか

働き手の高齢化や人手不足、物価上昇によるコスト圧力、そしてサイバー攻撃の脅威など、企業を取り巻く経営環境は年々厳しさを増しています。こうした中で、限られた人材と資源を有効活用し、安定的かつ持続的に企業活動を続けるための基盤整備として、「守りのDX」が重要性を増しています。

また、攻めのDXを推進するためには、まず社内の情報管理や業務プロセスが整っていることが前提です。内部の仕組みが整備されていなければ、顧客向けのサービス改革や新規事業の開発もスムーズに進みません。

守りのDXは、単なる業務効率化にとどまらず、事業継続性を高め、変化への対応力を養うための「経営基盤強化」の取り組みと位置づけられます。特に中小企業や現場中心の業態では、少ないリソースでも効果を上げやすい守りのDXが、最初の一歩として非常に有効です。

守りのDXの具体的な取り組み例

守りのDXは、企業規模や業種に関わらず着手しやすい実務的な変革です。特に、日々の定型業務や情報管理、セキュリティ体制といった社内基盤の整備は、多くの企業で共通する課題でもあります。

ここでは、代表的な3つの取り組み例を取り上げ、それぞれがどのように業務改善につながるかを紹介します。

業務プロセスの自動化・効率化

守りのDXの第一歩として取り組みやすいのが、定型的な業務の効率化や自動化です。例えば、RPAを活用すれば、勤怠入力や請求書処理などの繰り返し作業を自動化し、人的ミスを防ぎながら作業時間を短縮できます。

また、紙の帳票やExcelベースの管理台帳をクラウドシステムに置き換えることで、業務の属人化を防ぎ、遠隔拠点からもリアルタイムに情報を確認できる環境が整います。

これらの取り組みは、現場の負担を軽減しつつ、情報の正確性と業務スピードを両立させる効果があります。

情報資産のデジタル管理と可視化

守りのDXのもう1つの柱が、情報資産の整備と見える化です。顧客データ、商品情報、契約書類、業務ノウハウなど、企業には多くの情報資産が存在しますが、それらを整理・蓄積し、有効活用することが求められます。

例えば、営業日報や工事進捗をクラウド上で管理することで、社内の誰もが最新情報にアクセスでき、業務の透明性が高まります。これにより、ボトルネックの発見や業務改善の意思決定もスピーディーになります。

情報の可視化は、現場と管理部門の連携を強化し、組織全体のパフォーマンスを底上げする基盤となります。

情報セキュリティとリスク対策

DXの進展に伴い、データ量と接点が増えることで、情報漏洩やサイバー攻撃といったリスクも高まっています。守りのDXでは、こうしたリスクに対応するためのセキュリティ強化も重要なテーマです。

例えば、社内ネットワークと来訪者用Wi-Fiを分離することで、業務システムへの不正アクセスを防止できます。また、重要データへのアクセス制御、通信ログの記録、パスワードポリシーの強化なども実践的な対策です。

セキュリティ対策は、顧客や取引先からの信頼を守る意味でも欠かせず、DX推進の信頼性を担保する基盤になります。

【関連記事:【営業DXとは?必要性・推進方法や成功のポイント、失敗例やツール整備を解説

守りのDXを阻む3つの課題

守りのDXは比較的着手しやすい取り組みですが、多くの企業で推進が滞る現実もあります。その背景には、経営資源の不足や情報の分断、ツール選定の難しさなど、構造的な障壁が存在しています。

このセクションでは、守りのDXを阻んでいる代表的な3つの課題を整理し、それぞれの内容と原因を明らかにします。

DX人材の確保と育成

ITと業務の両面に精通した人材は、今なお多くの現場で不足しています。特に中小企業では、DX専任担当を配置できず、既存のスタッフが兼任する形で対応しているケースが少なくありません。

小売業やサービス業などでは、クラウド型の勤怠管理システムを導入しても、操作に不慣れな従業員が使いこなせず、従来の紙運用に戻ってしまうといった事例も報告されています。こうした課題は、ツールの良し悪しではなく、導入と並行した支援体制や教育の有無に左右されます。

そのため、外部ベンダーやコンサルタントのサポートを活用しながら、段階的に社内に知識を定着させる仕組みづくりが求められます。

データのサイロ化と活用不足

部署ごとにシステムや管理手法が異なる場合、情報の連携がうまくいかず、組織全体でのデータ活用が難しくなります。営業、製造、管理などがそれぞれ個別の管理ファイルやアプリを使用していると、情報の二重管理や見落としが生じやすくなります。

例えば、営業部門と在庫部門で情報の更新タイミングが異なり、欠品や過剰在庫が発生するといったリスクも考えられます。こうした“データの分断”を防ぐには、情報基盤の統一と、業務プロセスの標準化を並行して進める必要があります。

ツール選定と既存システム連携

新たなツールを導入する際、「機能は優れているが現場と馴染まない」「既存システムと連携できない」といった問題が生じることがあります。ビジネスチャットを導入したものの、ファイル共有や既存業務アプリとの接続がうまくいかず、逆に業務が煩雑化するケースもあるでしょう。

こうした状況を回避するためには、導入前に運用フローとの整合性を十分に検討し、ツールそのものの使いやすさだけでなく、既存環境との親和性や将来的な拡張性も含めて判断することが重要です。

守りのDXを成功させる3つのポイント

守りのDXは後回しにされがちですが、着実に進めることで業務の安定性と将来の攻めのDXへの土台を築くことができます。ここでは、導入を円滑にし、効果を最大化するための3つの実務的なポイントを紹介します。

段階的な導入とスモールスタート

DXは大きな投資と捉えられがちですが、最初から全社的に展開する必要はありません。むしろ、範囲を絞って小さく始める「スモールスタート」の方が、現場の納得と成果の積み重ねにつながりやすくなります。

例えば、まずは紙で運用していた日報や在庫帳票をクラウド化することで、管理の手間が軽減され、情報共有も円滑になります。小さな成功体験を重ねることで、他部門への展開もスムーズになります。

現場に合わせたツール選定と運用設計

どれほど高機能なツールでも、現場に馴染まなければ活用されずに終わります。守りのDXでは、ツール単体の機能よりも「使いやすさ」「定着しやすさ」を重視することが重要です。

特に、ITリテラシーにばらつきがある環境では、操作画面が直感的であるか、サポートが手厚いかといった点が成果に直結します。現場の声を取り入れながら、無理なく日常業務に組み込める設計を行うことで、定着率と効果は大きく変わってきます。

通信インフラの最適化

クラウドツールやモバイルデバイスの活用が前提となる今、通信環境はすべてのDXの土台です。 Wi-Fiが不安定であれば、どれだけ優れたサービスを導入しても現場では使われなくなってしまいます。

例えば、社内で複数のPCやスマートフォンが同時に接続する状況では、通信が遅延するとWeb会議やクラウド業務に支障をきたします。こうした事態を防ぐには、業務品質に耐えうるWi-Fi環境をあらかじめ整備しておく必要があります。

業務の安定と情報資産の保護を支える一歩は「かんたんWi-Fi」

守りのDXを進めるうえで、日々の業務を安定して支える通信環境は欠かせません。イッツコムが提供する「かんたんWi-Fi」は、現場の負担を抑えつつ、セキュリティや運用のしやすさにも配慮した法人向けのWi-Fiサービスです。

設置はシンプルで、アクセスポイントに電源とLANケーブルを接続するだけで利用を開始できます。工事の必要がないため、拠点の増設やレイアウト変更があっても柔軟に対応でき、スピーディな導入が可能です。

セキュリティ面では、来訪者用と従業員用ネットワークの分離設定や、端末の接続制限、ID・パスワードによる認証機能などを備えており、社内情報を守りながら外部に通信を提供できます。

高負荷な通信環境に対応した「ハイエンド6」プランでは、Wi-Fi 6規格に準拠し、1台あたり最大約100台の同時接続が可能です。クラウド業務やWeb会議、POS・在庫システムなどを安定して運用できる性能を備えています。

業務継続性と情報管理を支えるインフラとして、「かんたんWi-Fi」は、守りのDXを足元から支える手段として有効です。

まとめ

守りのDXは、業務の安定化や情報資産の保全、生産性向上など、企業活動の土台を強化するうえで欠かせない取り組みです。目に見える成果がすぐに表れにくいため後回しにされがちですが、確実に競争力の基盤を支える領域です。

大がかりな改革でなくても、小さな改善の積み重ねから着手できます。中でも、安定した通信インフラの整備は、すべての業務に関わる第一歩として有効です。

イッツコムの「かんたんWi-Fi」は、運用や管理の負担が少なく、守りのDXに求められるセキュリティと安定性を備えています。現場主導でDXを進めたい企業や、足元から業務改善に取り組みたい担当者様にとって、無理なく導入できる現実的な選択肢です。守りのDXをお考えなら、ぜひイッツコムにご相談ください。