生成AI活用で業務効率化!具体的な方法や企業事例と導入成功のコツ
目次
接客業をはじめ多くの業界で人手不足が深刻化する中、生成AIやAI搭載型クラウドサービスを活用した業務効率化が注目を集めています。一方、生成AIに特有のリスクや運用定着の難しさなど、導入に当たっての注意点もあります。
この記事では、営業・バックオフィス・店舗運営など、AIが省力化を実現できる具体的な業務領域や活用事例を詳しく解説します。自社の課題解決につながる安全なAI活用方法のイメージを深め、AIツールを「導入して終わり」にしないための対策を講じましょう。
【部門別】生成AIによる業務効率化が効く作業・業務例

ChatGPTをはじめとした生成AIサービスは、Web・専用アプリから直接利用できる他、API経由でカスタマイズ活用をすることも可能です。また、AIによる自動化・アシスタント機能を搭載したクラウドサービスも一般化しています。こういったAIツールは、すでに多くの企業で多様な作業・業務の効率化に活用されています。ここでは、AIツールによる業務効率化の具体例を部門別に解説します。
営業・マーケティング部門
営業・マーケティング部門は、AIツールを活用して次の業務を効率化できます。
- 顧客データ分析・ターゲット抽出:CRMに蓄積された購買履歴や来店頻度、アンケート回答などをAIが解析し、次回来訪可能性の高い顧客や休眠・アップセル見込み顧客を抽出。営業担当者が「誰にアプローチすべきか」を明確にできる
- 提案書・営業メール文面の自動生成・改善:生成AIが過去の提案書を学習し、新規提案書のドラフトを作成。図表やグラフ作成、効果的な見せ方も支援し、営業担当者の作業時間を大幅に短縮する
- 商談内容の議事録・要点抽出:商談の録音やオンライン会議映像を生成AIが文字起こし・要約し、次のアクションや顧客の懸念点を自動整理。営業活動の抜け漏れを防ぎ、顧客接点を効率的に強化する
バックオフィス(総務・人事・経理)
総務・人事・経理などのバックオフィス部門は、AIツールやソフトウェアロボット(RPA/Robotic Process Automation)を活用することで、次の業務を効率化できます。
- 費精算の自動仕訳・RPA連携:領収書をスマホで撮影するだけで、AI-OCRが金額・日付・科目を読み取り、自動で勘定科目を仕訳。RPAが会計システムに転記・記録し、経理担当の手作業を大幅に削減する
- 内問い合わせ対応(人事・総務):休暇申請・福利厚生案内・給与明細などの問い合わせにAIチャットボットが一次対応し、難しいケースのみ人が対応。人事・総務は応対負荷を抑えつつ、業務品質を維持できる
- 書検索・要約・ナレッジ化:社内マニュアル・報告書・FAQなどをAIが整理し、メタデータを付与。「○○の手続き方法」などを自然言語で検索できる仕組みを構築。従業員や店舗スタッフが自己解決し、問い合わせ件数を削減する
情報システム・企画部門
情報システム部門やIT企画・調達部門は、AIツールを活用して次の業務を効率化できます。
- T障害・問い合わせの自動分類:受付チケットやメール内容をAIが影響度・緊急度・専門性に基づき分類し、適切な担当者へ自動振り分け。優先順位を平準化し、迅速かつ的確に対応する
- レッジ検索の自然言語化:「いつまでに報告書を出せばよいか」などをAIに聞くだけで即回答。マニュアル検索や問い合わせの手間を省ける
- FP作成・ベンダー比較支援:過去のRFP(提案依頼書)やベンダー提案書をもとに、生成AIが要件案・比較表・リスク整理をドラフト作成。企画・調達部門の資料作成工数を削減する
カスタマーサポート・接客業界
接客業で特に改善したいのは、スタッフの接客対応とその前後の準備・付随業務です。AIを活用すれば、次のような作業や業務を効率化・省力化・省人化できます。
- I接客:予約フォームやAIチャットボット、アバター、ロボットで接客チャネルを自動化。有人対応が必要な場合のみ、スタッフが接客に集中できる
- 品検知と陳列最適化:店舗内のAIカメラが陳列や在庫状況をモニタリングし、補充や呼び出しが必要な際は自動アラート。巡回チェックの手間を省き、少人数でも均質な店舗運営を実現する
- 言語・深夜対応の省人化:AIコンシェルジュやAI通訳機で24時間多言語対応を実現。外国人客や深夜帯対応が課題のホテル・飲食・小売業でも省力運営が可能に
- 客データ・動線分析による人員最適配置:来店時間や購入履歴、天候・イベント情報などをAIが分析し、シフト提案を自動化。最少の人員でサービスレベルを維持する
- 客レポート・顧客満足度分析の自動化:アンケート・Webレビュー・チャットログなどをAIが分析し、スタッフ評価や課題となる時間帯を可視化。マネジメント負荷を軽減し、少人数でも改善サイクルを回す
生成AI活用で業務効率化を実現した企業事例4選

全社的な生成AI活用の成功例として、日立グループや日清食品グループの取り組みは学ぶべき点の多い先例です。また小売業の顧客接点や店舗運営におけるAI活用の取り組みとして、ユニクロ・ジーユーやファミリーマートの事例は非常に参考になります。
株式会社日立製作所
株式会社日立製作所は、日立グループの全従業員約27万人を「生成AI Ready」にすることを目指し、グループ専用の生成AIアシスタント「Effibot(えふぃぼ)」を活用して、社内外で1,000件以上の生成AI活用ユースケースを創出しています。
システム開発の分野では、ソースコード生成・レビュー・単体テストを効率化し、コーディング工程の工数を30%削減しました。レガシーシステムの刷新では、COBOLコード向け設計書からJavaコード向け設計書への変換工程で、工数を45%、期間を65%削減しています。
また、製品サポートセンターでは、初期対応(担当者の割り当て)に1件15分かかっていた作業を自動化しました。さらに、二次対応(技術的な回答作成業務)でも作業時間を15%、エスカレーション件数を25%削減しています。
日清食品グループ
日清食品グループは、「NISSIN Business Transformation(NBX)」を全社テーマに掲げ、2023年から生産性を飛躍的に高めるツールとして、グループ専用のChatGPT利用環境「NISSIN AI-chat」を運用しています。
マーケティングや営業など各部門の業務に最適化したプロンプトを開発・共有し、2024年8月には全社の生成AI利用率が5割を超えました。さらに、その経験を生かしてMicrosoft 365 Copilotを導入し、従業員1人当たり年間79時間の業務削減を実現しています。
また、IT部門が事業部門と連携してRPAやノーコード・ローコード開発ツールの活用を支援し、決済書の申請から承認完了までの期間を約20営業日から約4.4営業日に短縮するなど、業務の自動化と効率化を進めています。
株式会社ファーストリテイリング
株式会社ファーストリテイリングは、ユニクロとジーユーのオンラインストアやアプリに、AIを活用したショッピングアシスタント「IQ」を導入しています。IQは商品やコーディネートの提案に加え、商品配送・交換・返品の問い合わせを24時間対応し、有人対応が必要な場合のみ専任オペレーターに引き継ぎます。
実店舗の商品在庫は無線タグ(RFID)で管理され、先進的なセルフレジを実現するとともに、IQを通じてほぼリアルタイムで在庫検索が可能な仕組みを構築しています。これらの取り組みにより、実店舗やカスタマーセンターのオペレーションを効率化し、ユーザーに満足度の高いショッピング体験を提供しています。
株式会社ファミリーマート
株式会社ファミリーマートは、2025年6月末から全国500店舗でAIを活用した発注システム「AIレコメンド発注」を導入しました。販売実績・周辺通行量・気象データ・カレンダー情報など膨大なデータをAIが解析し、販売予測の精度向上や品ぞろえの改善提案、商品陳列量の最適化を実現しています。これにより、従来の課題だった販売機会ロスや廃棄ロスを抑制し、発注業務の時間を1週間当たり約6時間削減しています。
さらに同社は、全国の店舗に生成AI搭載の人型AIアシスタント「レイチェル」と「アキラ」を導入し、業務マニュアルの音声検索や割引・クーポン企画などの過去販売実績の確認を可能にしています。
これにより、迅速な情報提供で店長業務を支援し、SVによる店舗指導と合わせて店舗運営力の向上につなげています。
生成AIツールを導入する際の注意点とポイント

生成AIツールには特有のリスクがあります。安全に利活用するためには、個人情報保護を重視したツール選定とポリシー整備、生成AIガイドラインの策定と社内教育の実施が求められます。またAI活用を定着させるために、AIと人が担う業務を切り分け、実用的なアイデアを共有することも大切です。
個人情報保護を重視してツール選定とポリシー整備を行う
生成AIツールは、入力した情報をモデル学習に利用する場合があります。利用規約やオプトアウト設定の有無を確認し、安全に利用できるサービスを選ぶことで、社外秘データや個人情報の漏えいリスクを防ぐことが重要です。
特に接客業では、AIツールが顧客データを蓄積・分析することを前提に対策を講じる必要があります。店舗内のAIカメラや顔認証システムにおけるプライバシー保護、利用者の同意取得などについて、法務・情報システム部門・店舗現場が連携してリスク分析とポリシー整備を進めることが求められます。
ガイドラインを策定して誤情報・不適切な内容の発信を防ぐ
生成AIツールには、正確性・信頼性や倫理面での懸念があります。生成AIの出力内容には「もっともらしい誤情報」や不適切な表現が含まれる場合があり、そのまま発信すると経済的・法的リスクが生じる可能性があります。
接客業では、誤った提案がクレームやブランドの信用失墜、顧客離れにつながる恐れがあります。
こうした問題を防ぐには、利用者が生成AIの仕組みとリスクを理解し、情報の扱いに明確な指針を持つことが重要です。運用前に生成AIガイドラインを策定し、社内教育を実施することが求められます。発信前に人手で内容を確認し、出力品質を定期的にレビューするなど、責任ある運用体制を整えましょう。
AIと人が担う業務を切り分け、実用的なアイデアを共有する
生成AIツールは現場で活用されて初めて効果を発揮しますが、導入したものの利用が定着しないケースも見られます。特に接客業など非IT業界では、「どの業務に使うべきか分からない」「本当に役に立つのか」といった疑問が活用推進の弊害となりがちです。
全ての業務を生成AIで代替しようとするのではなく、AIに任せる業務と、人が担う価値ある業務を切り分けましょう。接客業であれば、事務的対応はAIに任せ、スタッフは顧客体験価値(CX)の向上に注力するのが理想です。
導入に際しては、まずPoC(概念実証)の段階で実際に手を動かし、具体的な活用イメージをつかみます。活用方法が見えてきたら、効果的な使い方の事例やプロンプトのコツを文書化・共有し、「AI活用で○○の効果があった」という実感を育てましょう。
生成AI活用による業務効率化に役立つイッツコム記事を紹介

人手によるオペレーションの効率化に限界を感じたら、AIツールが有力なソリューションになり得ます。イッツコムはAI活用をテーマとしたコラム記事を多数提供しており、人材不足対策や定型業務自動化のヒント、「導入して終わり」にしないための必須知識を学べます。
建設業AI活用から学ぶ、自動化による人材不足対策
「AI活用で建設業の課題解決!大手活用事例と要注目のスタートアップ」では、深刻な人手不足を抱える建設業におけるAI導入事例を紹介しています。現場の作業をデータ化し、進捗管理や安全確認を自動化する事例は、接客業・店舗運営にも応用可能です。例えば、人員配置や業務動線の最適化、シフト管理の効率化など、人手不足対策の参考になります。
【関連記事:AI活用で建設業の課題解決!大手活用事例と要注目のスタートアップ】
生成AIの最新活用事例に学ぶ、定型業務の自動化
「生成AIの活用事例7選!生産性向上などビジネス課題解決のヒント」では、文章生成・議事録作成・FAQ対応など、業種を問わず業務効率化を実現した企業事例を詳しく紹介しています。接客業の場合、チャットボットによる問い合わせ対応や顧客対応履歴の要約などのイメージ形成に役立ちます。業務を属人化させず、均質なサービスを提供するためのヒントが得られる内容です。
【関連記事:生成AIの活用事例7選!生産性向上などビジネス課題解決のヒント】
AIを「導入して終わり」にしないための必須知識
「AI導入のパターンや流れを徹底解説!失敗を避けるためのポイントも」では、AIを「導入して終わり」にしないためのポイントを実践的に解説しています。特に、目的設定・PoC(概念実証)・運用保守の流れは、どのようなAIツールを導入する場合でも念頭に置きたい内容です。これからAI活用に着手する企業にとって、どこから始めるべきか、何を成果指標にすべきかを整理する手がかりになる記事です。
【関連記事:AI導入のパターンや流れを徹底解説!失敗を避けるためのポイントも】
まとめ

生成AIの活用は、営業・バックオフィス・情報システム・接客などあらゆる業務領域で、作業時間の大幅削減と業務品質の均質化を同時に実現できる有力な手段です。一方で、個人情報保護や誤情報発信のリスク、運用定着の難しさなど、導入に当たってさまざまな注意点もあります。
イッツコムは生成AI活用に役立つコラムを複数配信しています。AIをビジネスで活用する具体例や、社内のガイドライン整備など、AI活用による疑問をお持ちの方は、ぜひイッツコムの他記事もご参照ください。
