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業務の引き継ぎとは?成功に必要なプロセスや実践したいポイントを解説

業務の引き継ぎは、担当者の人事異動や長期休業など、さまざまな場面で必要となる取り組みです。ノウハウ・ナレッジの蓄積や取引先との信頼関係にも関わるため、前任者が引き継ぎ資料をきちんと作成することはもちろん、組織として引き継ぎの仕組みや文化を整えることも求められます。

この記事では、引き継ぎの重要性に加えて、成功に必要なプロセスや実践すべきポイントについて解説します。適切な引き継ぎ手順の周知に加え、使用するツールの標準化も視野に入れましょう。

組織としての取り組みも重要な引き継ぎとは

業務の担当者が何らかの理由で変更される際には、どのような組織においても適切な引き継ぎを行うことが不可欠です。十分な引き継ぎがされないと、業務の連続性が損なわれるだけでなく、組織としてのノウハウ・ナレッジの蓄積にも支障を来します。

前任者に任せきりにするのではなく、組織として引き継ぎの仕組みや文化を整えておくことが重要です。

単なる情報の受け渡しではない引き継ぎ

引き継ぎとは、業務の担当者が変わる際に、前任者から後任者へ必要な情報を正確に伝達することを指します。業務内容や進捗状況にとどまらず、日々の細かな対応方法や取引先との関係性なども後任者が引き継ぐ必要があり、スムーズな業務遂行に不可欠なプロセスといえます。

もし十分な引き継ぎがなされなければ、社内外のステークホルダーとの信頼関係に亀裂が入り、業績に悪影響を及ぼす恐れもあります。引き継ぎは単なる情報の受け渡しではなく、仕事の質や成果、組織の信用を維持・向上させるための重要な活動です。

引き継ぎが必要になる主なケース

業務の引き継ぎは、主に以下のようなケースで必要になります。

  • 担当者が産休・育休などで長期休業に入る際
  • 部署変更や転勤・昇進など人事異動の際
  • プロジェクトメンバーの合流・離脱の際
  • 取引先企業との窓口担当者が変更される際
  • 担当者が退職・転職する際

担当者が不在となる場合に限らず、M&Aによる業務再編など社内体制に変化が生じる場面でも、後任者や新任者への適切な引き継ぎが求められます。特に人事異動の頻度が高い自治体職員などにとって、引き継ぎは重要な業務活動の1つです。

適切な引き継ぎが重要な理由

引き継ぎは、担当者が変わっても業務の連続性を保つために欠かせない活動です。前任者の責任であるのはもちろんのこと、事業継続や組織マネジメントの観点からも大きな意味を持ちます。

適切な引き継ぎが行われていれば、後任者は無駄な試行錯誤を避けられ、ミスやトラブルの防止にもつながります。取引先や組織内のメンバーとの信頼関係を損なうことなく、組織全体のパフォーマンスや生産性の維持にも貢献します。また、引き継ぎ資料やナレッジを整理する過程は、業務の棚卸や改善点の発見につながり、組織の成長にも寄与します。

適切な引き継ぎが行われない場合に生じるリスク

引き継ぎが不適切な場合には、次のようなリスクが発生します。

  • 業務が滞り、納期遅延や契約違反が生じる
  • 顧客や取引先への対応ミスで信用を失う
  • ノウハウが蓄積されず、同じミスを繰り返す
  • 違法な長時間労働や情報漏えいが起きる
  • 後任者がストレスを抱え、離職につながる

こうした問題が重なることで、業務の効率や品質が低下するばかりか、無関係な職員のモチベーションやエンゲージメントにも悪影響を与えます。キーパーソンの離職や取引先との関係断絶を引き起こすこともあり、最悪の場合には事業継続が困難になる恐れもあります。属人的な業務を見直し、組織として適切な引き継ぎを行う文化を築くことが重要です。

引き継ぎの成功に必要な5ステップ

業務の引き継ぎは、組織のリスクマネジメントや生産性の維持・向上という観点からも重要な取り組みです。ここでは、引き継ぎの具体的な流れを5つのステップに分けて解説します。完了までに必要な作業を逆算しながら、資料の整理やスケジュール調整といった準備を進めておくことが大切です。

ステップ1:業務範囲や関係者を正確に把握する

まずは、引き継ぎに必要な情報を整理します。現在担当している業務の範囲・重要度に加え、関係部署や取引先などを正確に洗い出しましょう。日常業務だけでなく、定期的な会議、法令順守が求められる手続き、イレギュラー対応の業務フローも含めて、抜け漏れのないようにまとめることが重要です。

関係者のマッピングを行い、「誰と、何を、どのタイミングで連携しているか」を可視化しておくと、後工程でのトラブル防止に役立ちます。引き継ぎにかけられる時間が限られている場合でも、1か月程度前から準備を始め、余裕を持ったスケジュールで臨みましょう。

ステップ2:引き継ぎ資料を作成する

整理した業務内容を基に、文書化すべき情報を抽出し、引き継ぎ資料を作成します。資料に記載する情報は、以下のような内容です。

  • 業務の目的・背景
  • 詳細な業務プロセス・手順
  • 業務で担う役割やスケジュール
  • 業務の根拠法やコンプライアンス
  • 想定されるリスクとその対応策
  • 業務で使用するツールのアカウントや使い方
  • 必須ドキュメントやデータの保管場所
  • 取引先や関係者・関係部署の一覧と連絡先

大量の個人情報を取り扱う業務など、不注意やミスのリスクが高い場合には、業務のマニュアル化やセキュリティ対策も意識しましょう。

ステップ3:引き継ぎ内容の説明や実演を行う

資料を共有するだけでは、十分な引き継ぎとはいえません。対面またはオンラインでのミーティングを通じて、直接説明する機会を設けましょう。引き継ぎ内容の説明は、段階的に進める必要がある場合もあります。

基本的な業務の流れは資料をもとに説明し、手順が複雑な業務や重要度の高い業務については、前任者によるデモンストレーションを実施すると効果的です。大口の取引先の対応など、ミスが許されない業務については、後任者とロールプレイを行うのも有効です。

ステップ4:引き継ぎ内容の実践を通じてフォローする

前任者が業務から離れる前に、後任者をフォローすることも大切です。情報を伝えただけでは、引き継ぎが成功するとは限りません。後任者に実際の業務を試してもらい、手順が正しく伝わっているか、ミスが起きていないかを確認しましょう。

前任者にとっては当然のことが、後任者には想像できないこともあります。こうしたギャップを埋めるプロセスも重要です。時間に余裕がある限り、本番前の試運転に付き合い、ノウハウやナレッジを可能な限り正確に伝えていきましょう。

ステップ5:引き継ぎ完了報告を行う

引き継ぎが完了したら、関係者へその旨を報告します。後任者がスムーズに業務を引き継げるよう、取引先や関係部署には担当者変更を事前に知らせましょう。

また、管理システム上の担当者情報やアクセス権限がすでに更新されているか、あるいは更新予定であるかも確認します。必要があれば、引き継ぎ完了の報告書を作成し、上長の承認を得ておくと安心です。

引き継ぎ成功のために実践したい4つのポイント

ここでは、引き継ぎ成功のために実践したい取り組みを4つのポイントに分けて解説します。引き継ぎは前任者が個人レベルで準備を進めることも重要ですが、資料の整備などに使用するツールを、組織として標準化しておくのが得策です。どのようなツールを活用すべきかも検討しましょう。

業務の棚卸とドキュメント化を日常的に行う

急な人事異動や引き継ぎに備えるためにも、日頃から業務の可視化・文書化を進めておくことが大切です。自治体のように定期的な異動が確実視される組織に所属している場合や、産休・育休など長期休業に入ることが確定している場合は、引き継ぎへの備えも業務の一環として捉えましょう。

特に法令対応や契約に関する業務では、「なぜ情報が記録され、どのように取り扱うべきか」といった点を、客観的に判断できるように整理しておくことが重要です。業務フロー図やチェックリストを作成し、情報更新の習慣を持つことも心がけましょう。

引き継ぎ資料を体系的に整理する

引き継ぎ資料として活用できるドキュメントを適宜作成していても、ファイルが複数のストレージやフォルダに散在していては、後任者が全体像を把握するのは困難です。保存場所の一覧を作ることもできますが、検索に手間がかかり、業務上のミスやトラブルを招く恐れもあります。引き継ぎ資料はできるだけ1カ所にまとめ、目的・概要・手順・注意事項などを順序立てて、体系的に整理しておくのが得策です。

また、差分ファイルが多過ぎる場合は、古い情報を誤って参照してしまう恐れもあります。後任者が最新情報を迷わず確認できるよう、バージョン管理にも配慮し、各種ファイルを整然と一元管理することが理想です。

質疑応答・フィードバックの機会を積極的に設ける

引き継ぎにおいては、「情報を伝えること」自体が目的にならないよう注意が必要です。前任者が業務に詳しくても、後任者は「何が分からないかも分からない」という状態かもしれません。

後任者の立場を意識し、表現やペースを調整しながら説明を進めましょう。質問を促す工夫や、不安に思っている点への丁寧なフォローも重要です。

引き継ぎ後に疑問や課題が生じるのは自然なことです。ビジネスチャットやWeb会議ツールなどを活用し、質問やフィードバックの機会を設けましょう。必要に応じて、取引先との関係構築に関するポイントなどもサポートします。

チーム内で情報共有を円滑化できる仕組みを持つ

後任者は業務内容だけでなく、立場や職場環境も大きく変わります。前任者だけでは十分な支援が難しいこともあるため、引き継ぎ内容や後任者の理解度をチーム内で共有し、チーム全体で支える体制を整えることが大切です。

属人化を防ぐには、コンテンツ管理やコミュニケーションを円滑にするツールを活用し、ドキュメント・業務フロー・スケジュールなどを共有できる仕組みを構築しましょう。過去の成果物やチームメンバーの進捗へスムーズにアクセスできれば、後任者の主体的な成長も促されます。

容量無制限の「Box」で引き継ぎも情報資産管理も効率化

引き継ぎを成功させるには、単なる情報の伝達ではなく、情報を正確に整理・共有し、適切に管理できる仕組みを整える必要があります。容量無制限のコンテンツクラウド「Box」は、こうした引き継ぎの課題を強力に支援します。

Boxでは、引き継ぎに適したフォルダ構成をテンプレート化でき、容量を気にせず関連ファイルを一元管理できます。ファイルはいつ・どこからでもアクセス可能で、Box上でプレビューもできます。バージョン管理機能により常に最新のファイルを共有でき、共同編集によってリアルタイムで内容の確認や修正も行えます。

さらに、7段階のアクセス権限設定により、内部不正や情報漏えいのリスクを抑えられます。70種類以上の監査ログを取得できるため、引き継ぎプロセスの可視化やトラブル時の対応も容易です。加えて、1,500以上の業務アプリと連携でき、後任者を含めた承認フローなども柔軟に構築できます。

引き継ぎ業務の効率化はもちろん、組織のナレッジやノウハウを安全に蓄積し、将来的な情報資産の管理にも役立つツールです。

【関連記事:クラウドストレージ「Box」の魅力は?使い方やメリットを徹底解説

まとめ

業務の引き継ぎが適切になされるかどうかは、組織のナレッジ蓄積や信用にも関わります。前任者が個人レベルで対応するだけでなく、組織として引き継ぎの仕組み・文化を持つことが大切です。

引き継ぎ資料の蓄積・共有などに使用するツールを標準化し、業務の担当者が変わってもトラブルを起こさず、生産性を維持・向上できるような組織運営を目指しましょう。

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