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業務改善を適切に進めるポイントとは?メリットや具体的な施策例まで徹底解説

日本は労働人口の減少や労働生産性の低下が深刻化しており、各企業では限られた社員で生産性を高めるための業務改善が急務となっています。テレワーク導入による働き方の変化もあり仕事環境や生産性に課題があると感じていて、業務改善という考え方について知りたいという企業担当の方もいるのではないでしょうか。

企業が業務改善に取り組むべき理由や業務改善のメソッドを知ることで、仕事環境や生産性の課題解決に向けた取り組みを具体的に検討できます。ICTツール活用による業務改善も知り、ビジネス課題をスマートに解決しましょう。そこでこの記事では、業務改善の必要性やメリット、適切な進め方や具体的な施策例についてご紹介します。

業務改善の基礎知識


企業には慣習化した業務プロセスやビジネススタイルがあり、業務効率や業務品質に問題があると感じながらも解決を先延ばしにしていることは珍しくありません。

こういった状況に全社的なテコ入れを行い、企業にとっても社員にとってもより適正な在り方に向かう取り組みが業務改善です。まずは業務改善とは何か、業務改善の基本的な考え方と必要性を解説します。

業務改善とは

業務改善とは、企業が抱える問題を洗い出して改善策を導き出し、仕事環境を効率化したり生産性を向上させたりすることです。業務効率化・業務削減・経費削減や業務品質の担保などの活動を通じ、経営の健全化や事業が生み出す付加価値の向上を目指します。

ムリ・ムダ・ムラのない環境作りを目指す

事業を続けるとさまざまな「ムリ・ムダ・ムラ」が生まれます。「ムリ」とは業務負荷がキャパシティを上回っている状態で、「ムダ」とは不要なアクションや過剰生産があることです。「ムラ」とはムリ・ムダが混在している状態で、担当業務によって品質が異なったり、チーム内で成果に差があったりすることを指します。

業務改善の基本は、以下のようにムリ・ムダ・ムラがある状況を改善し、企業の保有資産を有効活用することです。

・社員の「ムリ」を発見し、業務パフォーマンスを維持する
・仕事の「ムダ」をなくして、必要な業務に注力する
・仕事の繁閑や社員の能力の「ムラ」を把握して、最適な分配をする

業務改善の必要性とは

日本は少子高齢化の影響で労働人口が減少傾向にあり、年々人材確保が難しくなっています。また日本生産性本部が2021年に発表した統計情報によれば、同年4月~6月の労働生産性はOECD加盟主要35か国中32位と、深刻な低迷が続いている状況です。

つまり日本は「減少傾向にある労働人口で生産性の低い仕事をしている」というのが実情で、各企業にとっては「限られた社員で生産性の高い仕事をする」ための業務改善が急務となっています。

参考: 『労働生産性の国際比較 サマリー|日本生産性本部』

業務改善を進める3つのメリット

業務改善で得られるものを3つに大別すると以下の通りです。

・選択と集中により生産性向上につながる
・さまざまなコストのムダを削減できる
・働き方の改善と人材確保・維持につながる

それぞれのメリットを理解し、業務改善の目的をよりクリアにイメージしましょう。

選択と集中により生産性向上につながる

生産性とは、生産のために投入される労働や資本が生産に貢献する程度です。生産性向上とは、企業が保有する経営資源を有効活用し、最小限の生産要素(投資)で最大限の成果を生むことを指します。

全社的に仕事のムリ・ムダ・ムラをなくし、必要な業務に十分なパフォーマンスを発揮できる仕事環境を整えることで、生産性向上が可能です。この取り組みは「選択と集中」と言い換えることもできます。コア業務に集中しやすくなり、業務品質や付加価値の向上につながるのは業務改善の大きなメリットです。

さまざまなコストのムダを削減できる

ムリ・ムダ・ムラがある仕事環境は社員の作業効率を下げやすく、また業務プロセスや業務配分が最適化されていないため、不要な長時間労働で残業代や光熱費のロスを生みます。

また紙資料の印刷・保管・郵送・廃棄にかかるペーパーコスト、レガシーシステムや機能的に重複するソフトウェアの使用によるIT関連費なども、ムダの多いコストといえるでしょう。業務改善の取り組みで仕事環境が変われば、こういったコストのムダを削減できるのもメリットです。

働き方の改善と人材確保・維持につながる

少子高齢化の影響もあって人材獲得競争が過熱する中、業務改善の命題は「事業にとって必要な人材をいかに確保・維持し、生産性向上につなげるか」ということです。この課題を達成するためには、社員にとって働きやすい仕事環境を整備することや、求職者から選ばれる企業になることが求められます。

適切なICT環境を整備してテレワーク制度やフレックスタイム制度など柔軟な働き方に対応し、社員のワークライフバランス向上や人材確保・維持につながることも、業務改善のメリットです。

業務改善の適切な進め方


業務改善は業務スタイルに全社的なテコ入れを行う取り組みなので、アプローチを間違えると社内に大きな混乱を生みます。適切な進め方を4つのステップに分けると以下の通りです。

1.業務を可視化する
2.問題・課題を洗い出す
3.優先順位を決める
4.業務改善の実行と改善計画のブラッシュアップ

それぞれのステップの目的やポイントを理解し、業務改善の流れをよりクリアにイメージしましょう。

1.業務を可視化する

業務改善の第一歩は業務を可視化することです。「誰が」「どのような業務を」「どのようなプロセスで」「どれ程の工数をかけて」こなしているかといったことを可視化しましょう。

業務を可視化すると非効率な部分が明らかになり、見えてきた課題を解消することで業務の効率や品質を改善できます。ムリ・ムダ・ムラを正確に把握するためには、特定のチームや部署単位ではなく、全社的に業務を可視化することが重要です。

2.問題・課題を洗い出す

業務を可視化したら問題・課題を洗い出します。業務のプロセスや配分について「どこにどのような問題があるか」を把握し、それぞれの問題について「どのようなアプローチで改善すべきか」という課題を見出すステップです。

問題の分析と課題の抽出に際しては、後述する「ECRS」や「QCD」などのフレームワークを指針とします。なお、可視化した業務だけを検討材料とするのではなく、競合他社や業界全体を比較対象とすることも大切です。

3.優先順位を決める

問題や課題を洗い出したら、「どの問題に対するどのような課題解決がクリティカルな業務改善となるか」「どの課題解決から取り組むか」という優先順位を決めます。以下のような観点から課題を分類整理し、業務改善のプロセスを決定するステップです。

・売上貢献度や利益貢献度
・付加価値への寄与
・根本的な課題か付随的な課題か
・実行の難易度
・かかる期間や期日
・かかるコストや予算

4.業務改善の実行と改善計画のブラッシュアップ

解決策の優先順位付けをしたら、作成したフローチャートやガントチャートを基に、業務改善を実行します。業務改善の取り組みは全社的かつ長期的なものと考え、進捗状況の把握方法や効果測定・情報共有の仕組みを整えておくことも重要です。

現場に業務改善マニュアルを配布したり、誰でもアクセスしやすいICTツールで進捗管理したりします。こういった仕組みをPDCAサイクルに取り込み、改善計画のブラッシュアップを続けていくことが大切です。

業務改善のプロセスで役立つフレームワーク4選

業務改善のプロセスで適用できるフレームワークはさまざまですが、相性のよい組み合わせは以下の通りです。

1.バリューチェーンによる全体方針の決定
2.ロジックツリーによる課題の導出
3.ECRSによる優先順位付けや実行
4.QCDによる効果測定

フレームワークの活用方法と関連付け、より具体的な業務改善のプロセスをイメージしましょう。

1.バリューチェーンによる全体方針の決定

バリューチェーン(価値連鎖)とは、さまざまな企業活動が最終的な付加価値にどのように貢献しているのか、その質的・量的な関係を図示する思考ツールです。ビジネスプロセス中のどこで付加価値が生まれるかを可視化することで、自社の競争優位性の源泉はどこにあり、非効率なプロセスがどこにあるかを把握できます。

これによって選択と集中の指針を得られ、また効率化を実現するために必要な取り組み(ICTツール導入か外部委託かなど)を判断しやすくなり、業務改善の全体方針の決定に役立つ仕組みです。

2.ロジックツリーによる課題の導出

ロジックツリーとは、物事を論理的に分析する過程をツリー構造で図示する、概念・事象の相互関係を明確に把握するための思考ツールです。業務改善においては問題から課題を導出するのに役立ちます。

例えば「売上を改善するには」という目的(How)の下位概念に「1.顧客数を増やす」「2.顧客単価を向上させる」があり、それらの下位概念に「1.1.新規顧客獲得」「1.2.リピート率向上」と「2.1.クロスセル推進」「2.2.アップセル推進」があるといった具合です。Howツリーの他に、結果・原因を図式化するWhyツリーや全体・部分を図示するWhatツリーも作れます。

3.ECRSによる優先順位付けや実行

業務改善の4原則とも呼ばれるECRS(イクルス)とは、「Eliminate(排除)」「Combine(結合と分離)」「Rearrange(入れ替えと代替)」「Simplify(簡素化)」の頭文字を取り、業務改善を実行する上での順番と視点を表したものです。

ECRSの順番で業務改善を検証・実行すると効果が大きく、過剰または過小な改善を避けられる上、トラブルを最小化できるとされます。

・E:不要なものを排除。業務の成果物や業務自体、不要な報告や会議、貢献度の小さい地域との付き合いなどを排除する。業務のEは手入れに最もコスト・手間・期間がかからない部分で、効果も高い
・C:類似する業務の結合・集中化と異なる性質の業務の分離。必要な設備・備品やスキル数を削減することでスムーズな業務遂行が期待できる
・R:作業順序・作業場所・担当作業者の入れ替えや代替。業務のプロセスやスペースを適正化する、比較的小規模な手入れ
・S:業務の簡素化。業務のE・C・Rが終わったのち、必要以上に複雑化している部分を簡素化する

4.QCDによる効果測定

QCDとは、「Quality(品質)」「Cost(費用)」「Delivery(納期)」の頭文字を取ったもので、さまざまな事業・業務・仕事に当てはまる重要な視点です。元は生産管理の用語ですが、価値提供を目的とした業務改善の検証・実行にも役立ちます。

・Q:製品・サービスや仕事の品質。要求を満たす品質か、誤差・歩留まりや品質のムラが一定水準かなどを表す
・C:製品・サービスの提供や業務遂行にかかる費用や原価。コストを把握・管理できているか、コスト低減の取り組みがあるかなどを表す
・D:製品・サービスの納期や提供にかかる時間、仕事の速さなど。適時適量を生産・納品できる仕組みがあるか、納期短縮の仕組みが適正かなどを表す

業務改善の具体的手法5選

業務改善のアプローチはさまざまですが、特にデータ活用が進んでいない企業に効く基本的かつ具体的な取り組みは以下5点です。

・ペーパーレス化
・業務のマニュアル化
・Web会議システムの活用
・クラウドストレージの活用
・CRM・SFA・MAの活用

ペーパーレス化や業務のマニュアル化はICTツールの活用とも密接に関連しています。よくある課題のソリューションとして、それぞれの取り組みの効果を見ていきましょう。

ペーパーレス化

紙資料は印刷・保管・廃棄・郵送にコストがかかり、紛失や盗難の恐れもある上、検索効率は高くありません。また紙ベースの承認プロセスは手間がかかり、特にテレワーク制度を導入していると大きなムダが生じます。

そこで紙文書を電子化して紙を使わない仕組み作り、つまりペーパーレス化を推進すれば、コスト・手間のムダを低減し業務効率化や働き方の改善が可能です。

業務のマニュアル化

データ活用が進んでいない職場では、口頭や目視で業務ノウハウを伝達したり、経験や勘に頼った業務遂行になっていたりします。この仕事環境は特にテレワーク環境のナレッジ共有に難があり、またムリ・ムダ・ムラの削減につながりません。

そこで業務のマニュアル化とデータ共有が重要です。業務の進め方やノウハウをPDFファイルなどで電子文書化し、適時内容を更新・全体通知していけば、業務プロセスの標準化や業務品質の担保に役立ちます。

Web会議システムの活用

会議室に参加者が全員集まるリアルな会議には、多くのムダがあります。例えば会議室や会議資料の準備にかかる手間・コスト、遠方からの会議参加者に生じる宿泊費・交通費や時間的ロス・業務停滞などです。

こういったムダは「Zoom」などのWeb会議システムを導入すれば改善できます。ネットワーク経由で参加するオンライン会議であれば、テレワーカーや支社の人材も最低限の環境整備でムダなく参加でき、また会議室のレンタル費やペーパーコストも生じません。

クラウドストレージの活用

ペーパーレス化は業務改善の重要な施策のひとつですが、推進するとデータの保存場所となるストレージの調達や管理が必要です。しかし自社構築のファイルサーバーには機器調達費・電気代・人件費・セキュリティ対策費・更新費などさまざまな費用がかかる上、品質保証は自社努力次第であるため可用性に難があります。

そこで「Box」などのクラウドストレージの導入が効果的です。アプリを通じてインターネット経由で利用するクラウドストレージは、サーバーの調達・管理・更新が必要なく、またいつでもどこからでも安定してアクセスできます。

CRM・SFA・MAの活用

ビジネスのデジタル化に伴い顧客接点は多様化しており、メール・カスタマーサポート・POS・Webサイト・ECサイトなど、さまざまなチャネルから顧客データが集まります。これらのデータを担当部署ごとに管理するとデータ活用に支障が生じ、価値提供の取り組みを阻害するため、顧客データの統合や活用に関して業務改善が必要です。

そこで顧客データを一元管理できる「CRM」、CRMによる顧客データ基盤を活用して営業支援を自動化する「SFA」、同じく顧客データ基盤を活用してマーケティング支援を自動化する「MA」の導入が効果を発揮します。

業務改善に効くICT環境整備はイッツコム!


クラウドストレージやWeb会議システム、CRM・SFA・MAは業務改善の取り組みに大いに役立ちます。イッツコムが提供する「Box」「Zoom」「ホットプロファイル」は特に業務改善を目的としたICTツール導入に効果的です。ここからは、それぞれのツールの魅力を見ていきましょう。

活用シーンはさまざま!業務改善の糸口はイッツコムのサービスにおまかせください。
【イッツコムの法人向けサービス】 商談プロセスは、新しいスタイルへ。今の商談に欠かせない必要ツールはこれだ!

業務データの安全なクラウド管理で業務改善 Box

業務改善の取り組みではペーパーレス化や業務マニュアルの作成・共有が重要で、テレワーク環境でもスムーズに情報共有できることが求められます。そこで導入したいのが、法人向けに開発されたクラウド型コンテンツマネジメントシステム「Box」です。

有料版Boxは容量無制限のクラウドストレージとして利用できる上、タスクやプロジェクトまで一元管理できます。ファイルのオンラインプレビューやリアルタイム共同編集、最大無制限 の自動バージョン管理にも対応しており、業務データを保存・共有・活用するプラットフォームとして最適です。

米国政府が採用するほど高セキュアであることも利点で、わずかな月額料金で安全に業務データを管理できます。

コミュニケーションのオンライン化で業務改善 Zoom

会議のムダを削減したりテレワーク環境のコミュニケーション課題を解決したりするには、使いやすいWeb会議システムが求められます。有料版「Zoom」なら時間制限を気にすることなく利用でき、複数の共同ホストが進行役を務めるグループワークに対応できる上、Zoomビデオウェビナー機能で最大1万人参加の大規模ウェビナーの開催・運用も可能です。

有料アカウント登録が必要なのはホスト(主催者)だけで、参加者は無料のZoomアプリさえあれば利用できます。会議場の準備は必要ないため、会議やセミナーが大規模になるほどコスト面の多大な恩恵を享受できることも利点です。

営業活動のトータルサポートで業務改善 ホットプロファイル

CRM・SFA・MAの導入は顧客データの一元管理や営業・マーケティングの効率化に役立ちますが、それぞれのシステムを個別に導入すると必要なスキル数が多くなり、またコスト増となることは懸念点です。

そこで名刺管理・SFA・MA一体型の「ホットプロファイル」の導入が効果を発揮します。ホットプロファイルはBtoBの売上向上や業務改善に特化したシステムです。さまざまな顧客データを自動的に収集・統合・分析することにより、「いまホットな顧客」を可視化・通知し、営業活動の選択と集中をサポートします。

営業担当者によるOne To Oneメールの送信にも対応し、マーケティング活動とのシームレスな連携ができることも利点です。システム利用者は営業履歴を共有できる上、地図連携による営業ルート検索やGPS連携による営業報告にも対応し、ムリ・ムダ・ムラをなくして業務改善を実現します。

まとめ

業務改善の取り組みによって全社的に業務のムリ・ムダ・ムラをなくすことで、生産性向上や働き方の改善、経営の健全化につながります。効果的なICTツールを導入し、相性のよいフレームワークを指針として適切なプロセスで業務改善を進めましょう。

「Box」「Zoom」「ホットプロファイル」を導入すれば、コラボレーションやデータ活用を効率化することで大きな業務改善効果を得られます。ビジネス課題をムリなく解決するなら、効果的な複数ツールをスムーズに導入できるイッツコムにご相談ください。