ペーパーレスとは?必要性やメリット・デメリット、推進のポイントを徹底解説
目次
近年は企業努力で環境破壊防止に取り組むことや、多様な人材が場所や時間を問わずに働けることなど、サステナブルなビジネスへの社会的要請が高まっています。ここでポイントとなるのが「ペーパーレス」です。サステナブルなビジネスが求められる中、ペーパーレスの必要性や推進のポイントを知りたい企業担当の方もいるのではないでしょうか。
ペーパーレスがビジネスや社会にどのように影響し、またペーパーレス化推進にはどのような障壁があるのかを知ることで、ペーパーレス化に向けた取り組みを具体的に検討できます。
ペーパーレス化に必要なシステム整備も知り、企業責任を果たしつつ業務効率化や生産性向上を目指しましょう。そこでこの記事では、ペーパーレスの必要性やメリット・デメリット、推進のポイントについてご紹介します。
ペーパーレスとは?ビジネスに必要とされる3つの理由
ペーパーレスという言葉は紙ベースの仕組みが電子化するさまざまな場面で使われます。ペーパーレス化は単にコスト削減のために行われるものではありません。デジタル化やテレワーク推進、またSDGsの一環として社会的要請は強く、政府も法整備を進めています。まずはペーパーレスとは何か、なぜ必要とされるのかを見ていきましょう。
ペーパーレスやペーパーレス化とは?
ペーパーレスは英語で「Paperless」、その名の通り「紙を使わない」ことを指します。文脈によってどこまでをペーパーレスの対象に含めるかは異なりますが、ビジネスシーンでは「紙資料を使わず、電子データで情報を閲覧・伝達・保管すること」を指すのが一般的です。
ペーパーレスは情報活用が電子化された状態で、ペーパーレスに向けて取り組むことやペーパーレスになることを「ペーパーレス化」と呼びます。
デジタル化やテレワーク推進によるペーパーレス
現在多くの企業はビジネスのデジタル化や、その先にあるビジネスモデルの変革、つまり「DX(デジタルトランスフォーメーション)」を目指しています。紙依存の認証プロセスや情報活用はこの取り組みを阻害しやすいので、必然的にペーパーレス化を推進する企業は増えている状況です。
また、コロナ禍の影響でテレワーク制度を導入する企業が増えています。テレワーク環境では離れた拠点同士でデータのやり取りが多く、紙資料に依存したままだと制度整備が進みません。テレワーク推進という意味でもペーパーレス化の動きは加速しています。
SDGsの一環としてのペーパーレス
紙を使えば使うほど、原料である木材の過剰消費により環境破壊や地球温暖化につながります。これは人類及び地球環境全体にとって深刻な懸念点です。現在は世界的にサステナブルな(Sustainable/持続可能な)社会、つまり環境破壊をせずに維持・継続できる社会を求めた動きが加速しています。
特に影響力が大きいのは、2015年9月に国連サミットで採択された「SDGs(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)」です。SDGsは全ての国連加盟国が2030年までに達成すべき17の目標と169のターゲットを定めたもので、政府・国際機関・民間企業・市民団体などの協調的な取り組みが求められています。
日本のビジネスシーンにおいても、SDGsの取り組みの一環としてペーパーレス化に取り組むことが常識化している状況です。
政府が法整備を進めるペーパーレス
日本政府はペーパーレス化を推進するための法整備を段階的に進めており、適時法改正をしてペーパーレスの対象は規制緩和されています。政府主導で進めるテレワークなど柔軟な働き方においても、ペーパーレスが推奨されている状況です。政府によるペーパーレス関連の取り組みには以下のようなものが挙げられます。
・電子帳簿保存法:国税関係の帳簿や書類について、電子データによる保存を認める法律
・e-文書法(電子文書法):紙による保存が義務付けられていた書類について、電子データによる保存を認める法律。商法や法人税法など約250の法律に対して適用される
・働き方改革:改革推進の重要施策のひとつとしてペーパーレス化が挙げられている
ペーパーレスがビジネスにもたらす5つのメリット
ペーパーレスはビジネスに以下のようなメリットをもたらします。
・コスト削減やオフィスの省スペース化
・業務効率化や生産性向上
・テレワークとの親和性が高い
・セキュリティを強化できる
・CSRへの対応と企業イメージの向上
ここでは、それぞれのメリットを詳しく解説します。
コスト削減やオフィスの省スペース化
ペーパーレス化によって得られるメリットのひとつはコスト削減です。紙を使わないことで、印刷や郵送にかかる費用がかからなくなります。削減できる主なコストは以下の通りです。
・用紙代やトナー代
・プリンターのリース代やメンテナンス費用
・キャビネットの調達・管理費用
・書類の郵送費用
・書類の廃棄費用
また、紙を印刷・保存しなくなることで大部分のキャビネットが不要になり、結果的にオフィスの省スペース化やレイアウトの効率化にもつながります。
業務効率化や生産性向上
ペーパーレスによって業務効率化や生産性向上にもつながります。紙に依存する手間や時間の無駄は生じません。この意味で挙げられるメリットには以下のようなものがあります。
・検索効率の向上:キーワード検索するだけ。書類を探したりページをめくったりする必要はない
・書類整理が不要:書類のファイリングやバインダーの整理の手間がかからない
・移動時間の圧縮:書類を手に取るまでの移動時間がかからない
・文書作成の効率化:記入漏れや誤字脱字があっても容易に修正でき、一から作り直す必要はない
・自由なアクセス:ファイルをクラウドストレージに保存すればいつでもどこからでもアクセスでき、同時閲覧・同時編集も可能
・承認プロセスの効率化:回覧・承認のために、書類を郵送する手間や時間が不要になる
テレワークとの親和性が高い
テレワーク制度の導入でネックになる課題のひとつが、紙ベースの承認プロセスや情報の共有方法です。近年は「電子印鑑」による承認が認められるように規制緩和が進んでおり、電子契約サービスを利用すれば実物の印鑑による承認・決済が不要になります。「box」などのクラウドストレージを利用すれば、ファイルの保存・共有を効率化でき、電子メールからの脱却も可能です。
セキュリティを強化できる
紙で文書を作成すると、キャビネットに鍵をかけるなどの物理的なセキュリティ対策と継続的なコスト投下を要します。また、破損や消失が起こることも懸念点です。この点ペーパーレスなら、コスト投下を抑えて以下のようなセキュリティ対策効果が得られます。
・パスワードやアクセス権限の設定によりファイルの改ざんや盗難を防止できる
・ファイルをクラウドストレージに保存すれば、自社サーバーへの不正アクセスによる情報漏えいも防止できる
・災害や経年劣化による破損や消失が起こらない。ファイルはクラウド上にバックアップでき、復元も容易
CSRへの対応と企業イメージの向上
サステナブルな社会を求める動きが活発化する中、企業は「CSR(企業の社会的責任)」を果たすことを強く求められています。CSRは自主的な取り組みですが、SDGsへの取り組みを積極的に掲げたり、パートナー企業にもSDGsへの取り組みを求めたりする動きが広がっている状況です。
消費者の間でも、環境保護に積極的な企業の商品を選ぶ傾向や、消極的な企業の商品を避ける傾向があります。CSRとしてペーパーレス化を進めることで、企業イメージが向上し、消費者に選ばれる企業になりやすいこともメリットです。
ペーパーレス化の妨げとなる4つのデメリット
ペーパーレスにはさまざまなメリットがある一方で、以下のような点がネックになり、ペーパーレス化の推進が阻害されるケースもあります。
・ドキュメントの一覧性は紙に劣る
・直感的にメモを取りにくい
・システム整備にコストがかかる
・社員のITリテラシーを要する
ここでは、それぞれのデメリットを詳しく解説します。
ドキュメントの一覧性は紙に劣る
電子データの場合、一覧できるファイルの大きさや量は、ディスプレイの画面サイズや枚数に依存します。大きな図面の全体像を把握したいときや、複数のファイルを同時に見比べたいときなど、不便に感じることもあるでしょう。
この点、紙ならデスクに資料を並べて見比べるのは容易です。全体像を把握するために縮小する必要もありません。電子データが紙に比べてドキュメントの一覧性に劣ることは、業務内容によってはネックです。
直感的にメモを取りにくい
電子データのファイルをどのように編集できるかどうかは、ファイル形式やファイルを読み込むアプリの機能によります。資料閲覧時にメモを書き込みたくなっても、直感的に入力するのが困難な場合も少なくありません。
この点、紙なら使い慣れたペンを使って簡単にメモを書き込めます。ファイルが扱いにくいという意味で、資料を印刷したほうが便利と考える社員も出てくるでしょう。
システム整備にコストがかかる
ファイルの一覧性の低さをカバーするなら、ディスプレイの調達が解決策のひとつです。メモが取りにくく不便なら、直感的にメモを入力できるデバイスやアプリの導入も求められます。他にも、ペーパーレスの基盤として、ファイルの管理や共有に関するシステムを構築することが必要です。
こういったシステム整備にはコスト投下を要します。これもペーパーレス化を妨げる要因と言えますが、ペーパーレスは紙に依存するさまざまなコストを抑えられるので、ランニングコストの面ではペーパーレスのほうが有利です。
社員のITリテラシーを要する
システム整備をしても社員のITリテラシーが不足していてはシステムを使いこなせません。簡単に操作方法を覚える社員もいれば、なかなかツールに馴染めない社員もいるでしょう。インターフェースが分かりにくいツールや操作方法の複雑なツールを導入すると、ペーパーレスは社内に浸透しにくい場合があります。
2020年ペーパーレス化を推進した企業は75.7%!
ペーパーロジック株式会社の2020年度調査によると、都内企業55.1%が「2021年度にペーパーレス化推進システム導入の予算配分を予定/検討」と回答し、昨年対比で19.1%上昇しました。
また、2020年に「社内のペーパーレス化を推進した」と回答した都内企業は75.7%に上ります。2020年ペーパーレス化推進企業の60.7%は、「2021年度にペーパーレス化推進システム導入の予定/検討」と回答しており、今後もペーパーレス化の流れは加速していく見込みです。
ペーパーレス化を推進する4つのポイント
ペーパーレス化は自然発生的に起こるものではありません。以下のようなポイントを押さえ、トップダウン型で計画的に進めることが大切です。
・経営陣のマインドを変える
・ペーパーレス化は段階的に進める
・あらかじめファイル管理のルールを策定
・社員が使いやすいツールの導入
ここでは、ペーパーレス化を推進する4つのポイントを解説します。
経営陣のマインドを変える
ペーパーレス化を推進するにはSDGsやCSRを踏まえた上で、業務システムや業務プロセスを変えるなど、ビジネススタイルの根本的な変革が求められます。
この変革のためには、経営陣がペーパーレス化の必要性や効果を理解した上で、社員はその意義を理解して現場でシステム運用することが必要です。まずは制度の主導的立場にある経営陣のマインドを変え、情報を社内に周知して仕組みを浸透させていきます。
ペーパーレス化は段階的に進める
ペーパーレス化を完全に達成するには、全社的に大きな変革が必要です。初めから完全な達成を求めて構造改革を進めると、社内に多大な混乱を招くことが予想されます。
業務に支障が生じることで、社員がペーパーレス化のコンセプトを理解せずに反感を示し、スムーズな浸透を阻害する動きが生まれるかもしれません。まずは部署・プロジェクト・業務といった単位で導入を進め、ペーパーレスの効果測定や情報共有を踏まえ、段階的に進めていくことがポイントです。
あらかじめファイル管理のルールを策定
ペーパーレス化を進めると、必然的に社内情報は電子データとして日々蓄積されていきます。ここで懸念されるのは、フォルダ構造の複雑化やファイルの乱立と、それに伴う検索効率の低下やセキュリティリスクの増大です。
既存の紙資料を電子データに置き換えたり、新しい資料を電子データで作成したりする前に、ファイル管理に関する以下のような仕組み作りが求められます。
・ファイルサーバーやクラウドストレージの導入
・ファイル・フォルダの管理者を任命
・ファイルの作成・保存・編集・削除・バックアップに関するルールを策定
・フォルダ構造のルールやファイル・フォルダの命名規則を策定
・社員・グループ単位やファイル・フォルダ単位のアクセス権限の設定
社員が使いやすいツールの導入
ペーパーレス化を進めるには、文書管理に関するITツール・ICTツールの導入が求められます。ここで重要なのは、ITやICTに強くない社員でも使いやすいツールを導入することです。主に以下のようなツールを導入し、ペーパーレス化を進めます。
・OCRソフトやPDF変換ソフトなどによる既存文書の電子化
・電子契約システムによる印鑑不要の承認プロセス
・複合機とファイルサーバーやクラウドストレージを関連付けた「ペーパーレスFax」
・クラウドストレージによる文書管理とテレワーク対応
・Web会議システムによる「ペーパーレス会議」
ペーパーレスに必要なシステム整備はイッツコム!
ペーパーレス化を進めるにはITツールやICTツールの導入が必須です。イッツコムはクラウドストレージ「box」やWeb会議システム「Zoom」の有料版、さらにデータ通信サービスの「モバイル閉域接続」など、ペーパーレスに役立つ多彩なサービスを提供しています。
box
ペーパーレス化を進める上で必要になるのは、使いやすく便利なファイル共有システムです。多大な手間・コストがかかる自社運用のファイルサーバーより、サービス提供者側でサーバー管理をするクラウドストレージが向いています。
有料版の「box」は容量無制限で、さまざまなファイル形式の文書だけでなく、画像・動画・タスク・プロジェクトの一元管理が可能です。
世界最高峰のセキュリティ基盤を備える上、アクセス権限はWindows OSのファイル共有機能よりも詳細に設定でき、社外のコラボレーターとの共同編集にも対応できます。スマホ版のアプリからでも簡単にアクセスでき、テレワークとの親和性が高いのも利点です。
Zoom × box
ペーパーレス化がビジネスにもたらす変化のひとつは、ペーパーレス会議が実現できることです。紙を使わずに電子データで会議資料を共有できれば、資料印刷の手間やコストがかかりません。
有料版の「Zoom」であれば、時間無制限で大規模なオンラインミーティングを開催でき、さまざまなファイルを画面共有してペーパーレス会議を実現できます。
さらにboxと組み合わせることで、box内のファイルの画面共有ができるので、Zoomから会議資料にアクセスするだけでミーティング進行が可能です。
モバイル閉域接続 × Zoom × box
boxやZoomは他のビジネスツールとの連携も容易で、ペーパーレス化を推進する上で基盤となるツールです。インターフェースが分かりやすく、操作方法もシンプルなので、ITリテラシーに自信のない方でも活用できます。
さらに、セキュアなデータ通信サービス「モバイル閉域接続」を組み合わせれば、モバイル端末からのツール利用も安全です。PCやスマホに専用SIMを挿入するだけで、安全な通信環境が得られます。
社内LANへの接続にはインターネットを経由せず、boxやZoomの利用時にインターネット接続する際は社内LANを経由する仕組みです。モバイル閉域接続を導入すれば、テレワーカーや外回りの営業担当者も、ペーパーレスかつ安全に業務を遂行できます。
まとめ
SDGsの影響もあって世界的にペーパーレスの常識化が進んでおり、多くの企業がペーパーレス化に取り組んでいる状況です。ペーパーレス化を促進すれば、企業イメージの向上により消費者から選ばれる企業となる効果が生まれるだけでなく、効率的なファイル管理による業務効率化や生産性向上も期待できます。そのために不可欠なことのひとつはシステム整備です。
イッツコムは容量無制限のクラウドストレージboxをはじめ、有料版Zoomやモバイル閉域接続など、ペーパーレス化に役立つさまざまなICTツールを提供しています。ペーパーレス化の推進と生産性向上や業務効率化をお求めなら、複数サービスの組み合わせで相乗効果が得られるイッツコムにご相談ください。