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ホテルの人手不足を解消する方法は?原因と対策を徹底解説

少子高齢化が進む現代日本では、どの産業も人手不足に悩まされていますが、特に問題が深刻化しているのがホテル産業です。中には人手不足から廃業に追い込まれるケースもあり、早急な対策が求められています。

そこでこの記事では、ホテルにおける人手不足の主な原因や、人手不足がホテルにもたらす影響、人手不足を解消する方法についてまとめました。ホテルの人手不足に悩んでいる方や、具体的な対策方法を知りたい方はぜひ参考にしてください。

ホテルにおける人手不足の原因

ホテル産業を含む宿泊業は、他の業種に比べると欠員率が高く、慢性的な人手不足に陥っています。ホテルが特に人手不足になりやすい理由は、大きく分けてホテル開業数の増加、新型コロナウイルスの影響、離職率の高さの3つが挙げられます。

ホテル開業数の増加

1つ目の要因は、2021年開催の東京オリンピックに向けて、首都圏を中心にホテルの開業数が増加したことです。ホテルの数が多ければ多いほど必要とされる労働力も増えるため、必然的に人手不足に陥りやすくなります。

なお、オリンピックがもともと開催されるはずだった2020年には新型コロナウイルス感染拡大によるパンデミックが発生し、ホテル需要は激減しました。しかし、ホテルの建設自体はその数年前から計画されていました。そのため、今なお首都圏エリアには多くのホテルが点在しており、人手不足の問題が深刻化しています。

新型コロナウイルスの影響

2020年初頭から世界で猛威を振るった新型コロナウイルスは、国内外で旅行・観光業に大きな打撃を与えました。日本では数度にわたる緊急事態宣言が出され、移動を伴う行動をなるべく自粛するよう呼びかけられたことから、観光・旅行客は激減。やむなく休業に追い込まれるホテルも多く、従業員の解雇や離職が相次いだケースも少なくありません。

現在は新型コロナウイルスがインフルエンザと同じ第5類に移行し、観光需要は回復してきましたが、コロナ禍でホテル業界から離れた人材を取り戻すのは難しく、人手が足りていない状態で営業を続けているところも多いようです。

もともとの離職率の高さ

ホテル業界は新型コロナウイルスの問題が発生する以前から、他の産業に比べて離職率が高い傾向にあります。新型コロナウイルスの影響を受ける前、2019年の宿泊業、飲食サービス業の離職率は33.6%に上っており、次点である生活関連サービス業、娯楽業(20.5%)を大きく上回っています。

離職率が高くなる原因は複数ありますが、長時間労働である、休日数が少ない、賃金が低い、業務負担が大きいなどの理由が挙げられています。これらは新型コロナウイルスと関係なく、ホテル業界が長らく抱えていた問題であり、人手不足が慢性化している大きな理由とされています。

参考:厚生労働省『2019年(令和元年)雇用動向調査結果の概況』

人手不足によるホテルへの悪影響

ホテルの人手不足が慢性化すると、顧客満足度の低下や従業員の負担増、シフト管理の難航など、さまざまな悪影響が生じる原因となります。場合によっては事業の継続が困難になる可能性もあるため、早急な対策が必要です。

ここでは人手不足がホテルの営業にもたらす悪影響を4つのポイントに分けて説明します。

顧客満足度が下がる

必要な人材が不足していると、サービスが行き届かなくなり、顧客が不平や不満、ストレスを感じやすくなります。例えば、新たな客のチェックインまでに部屋の清掃が終わらない、清掃が不十分、チェックイン・チェックアウトの待ち時間が長い、リクエストに応じてもらえない……といったトラブルや問題が発生すると、顧客満足度が著しく低下し、顧客離れが起こる原因となります。

特に近年は口コミサイトやSNSの普及により、サービス品質の低下や対応の悪さといったネガティブな情報は瞬く間に拡散されやすい傾向にあります。そのため、集客に大きな悪影響を及ぼす可能性が高いです。

従業員の負担が増える

ホテルの人手が不足すると、従業員1人当たりの業務負担が大幅に増加します。その結果、長時間労働が常態化したり、従業員の心身に大きな負担がかかったりして、モチベーションの低下や離職・休職者の増加など、さまざまなリスクが発生する要因となります。

離職・休職によって不足した人材を補おうとしても、労働環境が悪化しているホテルにはなかなか人が集まらないため、人手不足はますます深刻化します。実際、人手不足による労働環境の悪化が原因で人手不足が顕著になり、事業継続が難しくなったというケースは少なくありません。

シフト管理が難しくなる

多くのホテルは24時間365日体制で営業しているため、各業務に穴が開かないよう、従業員をやりくりしてシフトを組まなければなりません。しかし、2019年4月(中小企業は2020年4月)からは時間外労働の上限規制が導入されました。

従業員の月間および年間の時間外労働・休日労働の時間に制限が設けられた今、少ない人手でシフトの穴埋めを行うのは簡単なことではありません。特に従業員が急病などで欠勤しなければならなくなった場合、人手に余裕がないとシフトに穴が空いてしまうリスクが高く、業務が立ち行かなくなる恐れがあります。

参考:厚生労働省『時間外労働の上限規制 わかりやすい解説』

事業の継続ができなくなる

人手不足が深刻になると、ホテル側はサービス品質の低下を防ぐために、受け入れる顧客数を減少せざるを得ない状態になります。事業規模が縮小すれば、当然売上も減少するため、収益減によって事業の継続が困難になる可能性があります。

また、人手不足によって顧客満足度が低下すると集客力が落ちるため、ますます収益が少なくなっていきます。実際、人手不足が原因で倒産や破産に追い込まれたホテルは決して少なくなく、ホテル業界全体の深刻な問題として取りざたされています。

ホテルの人手不足を解消する方法

ホテルの人手不足を解消するには、労働環境の改善や評価制度の見直し、業務のアウトソーシングなど、さまざまな施策を取り入れる必要があります。それぞれの方法に特徴があるため、自社の問題・課題の解決に適したものを選んで上手に取り入れましょう。

ここではホテルの人手不足を解消する代表的な方法を7つご紹介します。

労働環境を改善する

既存の従業員の離職を防ぎ、かつ新しい人材を確保するためには、労働環境の改善が必要不可欠です。具体的には、長時間労働の是正や、従業員1人当たりの労働負担の軽減などです。本来、これらの問題を解決するには人手の確保が必要ですが、ホテル業務全体の業務を効率化すれば、既存の人手だけで無理なく業務を回すことも可能になります。

例えば、フロント業務をシステム化したり、予約・在庫管理にAIを活用したりすれば、一部の業務を自動化することができ、従業員の負担や労働時間のカットを期待できます。

福利厚生を充実させる

従業員に対する福利厚生を充実させるのも人材流出を防ぐ有効な手段となります。具体的には、交通費支給や深夜手当といった基本的な福利厚生はもちろん、特定の資格の保有者に手当を支給する、社員寮や社員食堂を整備する、育児・介護休暇の取得を推進するなどです。また、語学研修を行う、自己啓発のための補助金を支給するなど、人材の教育・研修制度に力を入れると、未経験者でも働きやすいというアピールにつながります。

ただし、福利厚生を充実させるにはそれなりのコストがかかるため、収支のバランスや費用対効果を慎重に考えて導入を決めた方が良いでしょう。

シフト管理システムを活用する

シフト管理システムとは、従業員のシフトの作成や調整、共有などをシステム化できるツールのことです。例えば、あらかじめ設定した条件に沿って自動でシフトを作成したり、従業員の希望や繁忙期などを考慮してシフトを自動調整したりすることが可能になります。

クラウド型のシステムを導入すれば、システムに反映された内容はリアルタイムで従業員に共有されるため、シフト表を配ったり、シフトの変更を従業員一人一人に伝えたりする必要はありません。シフト管理システムの導入によってシフト関連業務の一部を自動化すれば、少ない人手で効率良くシフトを回せるようになります。

派遣スタッフを活用する

正規の人材を確保するのが難しい場合は、派遣スタッフを活用するという方法もあります。派遣スタッフには常用型とスポット型の2種類があるため、慢性的に人手が不足している場合は前者、土日や繁忙期など特に人手が足りないときに手伝いが欲しい場合は後者を選ぶなど、目的や予算に応じて使い分けられるのもメリットです。

また、あらかじめ派遣会社に必要な人材の条件を伝えておけば、ホテル業務の経験がある人や、専門的なスキルを保有している人を派遣してもらえます。

評価制度を見直す

従業員の離職率低下やモチベーション維持のために、評価制度の見直しも行ってみましょう。例えば、普段の働き方を特定の指標で評価し、一定水準を超えた場合はインセンティブを与えるなどの方法があります。

評価の基準や評価方法はあらかじめ従業員に公開し、透明性の高い評価制度を導入すれば、従業員の仕事へのモチベーションをぐっと高めることができます。働く意欲が高くなれば時間当たりの労働生産性も向上し、サービスの品質を落とさずに業務をこなすことも可能になるでしょう。

外国人採用を強化する

少子高齢化が加速化している現代日本では、労働生産人口が年々減少しており、日本人の働き手を確保するのが難しくなっています。そこで検討したいのが、外国人採用枠の拡大や強化です。外国人を採用すれば人手不足を解消できるのはもちろん、インバウンド需要の増加に伴って必要になった外国人の接客対応を任せられるという利点があります。

ただし、外国人を採用する場合、業務内容に応じた在留資格を保有しているかどうかが重要なポイントになります。例えば、外国人がフロントやバックオフィス業務に就くときには、技術・人文知識・国際業務の在留資格が必要です。厨房で調理業務を担当する場合は、外食分野の特定技能ビザが必要になります。

これらの在留資格・特定技能がない状態で各々の業務に従事させると不法就労扱いになってしまうため、採用の際は十分注意しましょう。

業務の一部をアウトソーシングする

ホテル業務の一部を外部業者に委託(アウトソーシング)するのも、人手不足解消につながる方法の1つです。実際、客室の清掃業務やナイトフロント業務、駐車場管理、警備業務などを外部業者に委託しているところは少なくありません。委託できる業務はある程度選択できるため、支援が必要な業務のみピンポイントでアウトソーシングするなど、用途や目的に応じた使い方もできます。

ただし、複雑な業務を外部業者に委託するのは難しいため、アウトソーシングする場合はまず外部に委託できる業務を洗い出すところから始めましょう。

ホテルの人手不足を解決したいならイッツコムへ!

イッツコムでは、人手不足問題を解決するのに役立つさまざまなサービスを提供しています。

ここでは、特にホテル業務の効率化に適した「コネクティッドポータル」と「コネクティッドスペースシェア」の魅力を紹介します。

民泊やレンタルスペースの管理を効率化できる「コネクティッドポータル」

「コネクティッドポータル」は、物件や施設の鍵管理を効率化する便利なシステムです。

専用アプリをインストールすることで手持ちのスマートフォンを鍵代わりとして利用できるようになり、客室のドアに設置したスマートロックと連携させれば、フロントを介さずに直接チェックインすることが可能です。手間を省けるだけでなく、鍵の受け渡しミスや回収漏れなどのヒューマンエラーの予防にもつながるため、トラブル防止やセキュリティ強化の効果も期待できます。

LINE公式アカウントで使える「コネクティッドスペースシェア」

「コネクティッドスペースシェア」は、ホテルのLINE公式アカウントを友だち登録するだけで、施設の予約や客室の解錠、代金決済などを行える多機能ツールです。いつも利用しているLINEのみで利用できるため、わざわざ専用アプリをダウンロードする手間がなく、ゲストにとって使いやすい仕様になっています。また、売上や稼働率などの情報を一覧表示できるダッシュボード機能が備わっており、各種データを分析すれば今後のマーケティング施策に役立てることも可能です。

まとめ

ホテル業界の人手不足は新型コロナウイルス感染拡大以前から深刻化しており、顧客満足度の低下や従業員の負担増などに悩まされている施設は少なくありません。場合によっては事業継続が困難になってしまう可能性もあるため、労働環境の改善やシフト管理システムの導入、アウトソーシングの活用など、さまざまな工夫を取り入れて人手不足の解消に努めましょう。

イッツコムでは、予約業務やチェックイン業務の効率化に役立つ「コネクティッドポータル」や「コネクティッドスペースシェア」を提供しています。限りある人手で質の高いサービスを提供したいとお考えの方は、ぜひイッツコムのサービスのご利用をご検討ください。