訪日外国人集客が重要な理由やうまく進める方法を解説
目次
ホテルや旅館などの宿泊業や飲食店サービス業にとって、訪日外国人がもたらすインバウンド需要は大きな経済効果をもたらす重要な要素です。実際、多くのサービス業は訪日外国人向けのサービスを広く展開しており、外国人集客に力を入れています。
訪日外国人集客の手段は複数あるため、どのような方法が自分たちに合っているのか、よく見極めて取り入れることが大切です。
この記事では訪日外国人集客が重視されている理由や、集客を上手に進める方法、訪日外国人集客を成功させるために押さえておきたいポイントをまとめました。
訪日外国人集客が重要視されている理由
宿泊業や飲食店サービス業界において訪日外国人集客が重要視されている理由は大きく分けて2つあります。
なぜ訪日外国人集客に力を入れるべきなのか、その理由をわかりやすく解説します。
訪日外国人が増えている
観光庁が公開しているデータによると、訪日外国人は2012年ごろから2019年にかけて右肩上がりに増加しており、ピーク時の2019年には3,188万人に達しています。2020年以降は新型コロナウイルス感染症の影響により、訪日外国人の数は一時的に大幅減となりました。しかし、ワクチンの普及などにより2023年以降は回復の兆しを見せ、2024年には2019年の人数を大きく上回る、3,687万人もの外国人が訪日しました。
訪日外国人が増加している理由については諸説ありますが、円安の影響によって外国人がお得に観光旅行を楽しめるようになったことや、既成緩和によってビザの取得が容易になったことなどが主な要因と考えられています。訪日外国人は今後も増加する見込みであることから、宿泊業や飲食店業界にとって、インバウンド需要を獲得するための外国人集客は必須でしょう。
参考:国土交通省 観光庁『訪日外国人旅行者数・出国日本人数』
観光や食事を目的に日本に来る人が多い
外国人が日本を訪れる理由は人それぞれですが、中でも多いのが観光や食事を目的に訪日する人です。観光庁が実施しているインバウンド消費動向調査の結果(2024年年間報告書)によると、主な来訪目的について「観光・レジャー」と回答した人は全体の約84%にも及んでいます。
また、一般客1人当たりの旅行支出を費目別に見ると、交通費は約1割強にとどまっています。残りの8割を占めるのが、宿泊費や飲食費、娯楽等サービス費、買い物代です。特に多いのは宿泊費(7万6,743円)、次いで買い物代(6万6,046円)、飲食費(4万8,907円)と、日本で思い切りグルメやレジャーを楽しんでいる様子がうかがえます。観光・飲食に気前良くお金を使う訪日外国人を集客できれば、売上・業績アップに大きく貢献するでしょう。
参考:国土交通省 観光庁『訪日外国人の消費動向 インバウンド消費動向調査結果及び分析 2024 年 年次報告書』
訪日外国人集客をうまく進める方法
訪日外国人が増えている一方で、インバウンド需要のために訪日外国人集客に力を入れている企業・店舗もまた、増加傾向です。競合店に打ち勝つためには、さまざまな方法を駆使して訪日外国人を集客する必要があります。
ここでは訪日外国人集客をうまく進めるための主な方法を8つご紹介します。
SNSで情報を発信する
不特定多数の人に情報を発信できるSNSは、今や企業や店舗にとって欠かせないマーケティングツールの1つです。実際、前述したインバウンド消費動向調査でも、出発前に役に立った旅行情報源としてSNSを挙げている人は38.9%で最多となっています。
SNSには企業や店舗が発信する情報だけでなく、その店やサービスを実際に利用した人の口コミや体験談もチェックできるため、気軽に利用できる情報源として多くの人が活用しているようです。公共語である英語を使ってSNSで情報を発信すれば、訪日外国人を呼び込む有用な手段となるでしょう。
参考:国土交通省 観光庁『訪日外国人の消費動向 インバウンド消費動向調査結果及び分析 2024 年 年次報告書』
Webサイトを活用する
Webサイトを活用すれば、SNSよりもさらに多くの情報を発信できます。特に外国人に喜ばれる観光やレジャー、グルメに関連するコンテンツを充実させれば、アクセス数が増えて集客率アップに貢献するでしょう。前述したインバウンド消費動向調査の結果でも、出発前に宿泊施設や口コミサイトなどのWebサイトを参考にした人は一定数おり、紙媒体であるパンフレットやガイドブックなどよりも多くの人に活用されていることがわかります。
ただし、日本語の多いWebサイトは訪日外国人にとってハードルが高いため、訪日外国人集客に活用するのなら、ワンタッチで英語や中国語などの外国語に切り替えられるようにするなどの工夫が必要です。
ポータルサイトに情報を掲載する
自社が運用するWebサイトだけでなく、ポータルサイトや口コミサイトに自社の情報を掲載するのも効果的です。具体的には、訪日外国人向けのオンライン旅行予約サイト(OTA)に掲載を依頼し、日本での滞在先を探している外国人の目に留まりやすいようにします。また、海外向けの口コミサイトに商品やサービスの情報を投稿すれば、日本の情報を集めたい外国人に対して有用なアピールとなるでしょう。
ただし、OTAなどへの掲載には手数料等が発生するため、費用対効果が高いかどうか慎重に見極めることが大切です。
Googleマップを活用する
Googleマップは、フィルタ検索を行うことで条件に合ったお店を探すことが可能です。この機能を生かして、Googleマップ上にて店舗情報を上位表示させるために行う工夫をMEO対策(Map Engine Optimization)といいます。
MEO対策では以下の項目を重視させることが重要なポイントとされています。
●Googleビジネスプロフィールの最適化
●適切なカテゴリの設定
●最新情報の発信
●口コミへの返信
店舗に関する情報をなるべく詳細に、かつ正確に記述するとともに、消費者に対して小まめに情報を発信することが大切です。加えて、利用者の口コミに対して真摯に対応・返信するよう心掛ければ、Googleマップ上で評価され、上位に掲載されやすくなるでしょう。
店頭でのアピールを行う
多言語対応の看板やのぼりは、店を目指してやってきた訪日外国人の目印になるのはもちろん、付近を通りがかった外国人に対するアピール材料にもなります。また、店内でも商品やサービスの魅力を伝えるポップを掲げれば、どこにどのような商品・サービスがあるのか、どういうメニューを提供していて、おすすめのグルメは何か、などの情報をスムーズに入手しやすくなるでしょう。
近年は店内に多言語対応のタブレットや小型モニターを取り付けて、訪日外国人が自ら商品やサービスの情報を検索できるようにしているところもあるようです。
地域のネットワークを利用する
街ぐるみで訪日外国人の集客に取り組むという方法もあります。例えば、観光案内所やホテル・旅館と、飲食店同士で連携し、互いの施設・店舗を紹介すれば、双方の利益獲得につながります。
ただ紹介してもらうだけでなく、飲食店で作成したクーポンなどを観光案内所で配布し、外国人客を呼び込むのもアイデアの1つです。地域ネットワークの連携がうまく行けば、訪日外国人にとっても「おすすめの店を探す手間が省ける」というメリットが生まれ、満足度の向上が期待できます。
キャッシュレス決済を導入する
訪日外国人が日本円を入手するには手数料をかけて両替しなければならないため、「面倒」「コストを節約したい」といった理由でキャッシュレス決済を使いたがる人は少なくありません。特に近年は日本でもキャッシュレス化が進んでいることから、「キャッシュレス決済を使えて当たり前」という認識も広まっているようです。
人によっては、「キャッシュレス決済が使えないから」という理由で来店を敬遠することも考えられます。クレジット決済や二次元コード決済などに対応できる環境は、しっかり整えておいた方が良いでしょう。
Wi-Fiを設置する
訪日外国人は旅行先の情報を入手したり、SNSに旅行の思い出をアップしたりするために、スマートフォンを多用する傾向です。特に宿泊先や飲食店では、くつろぎながらスマートフォンを活用したいという人も多いため、無料Wi-Fiを設置すると喜ばれます。
なお、無料Wi-Fiを設置する場合は、「Free Wi-Fi」と描かれた看板やステッカーなどを店先に掲示し、Wi-Fi設置店であると積極的にアピールしましょう。
訪日外国人集客を進めるときのポイント
ここまで紹介した方法を使って訪日外国人集客を進める際は、いくつかのこつや注意点を押さえておく必要があります。
ここでは外国人集客率をよりアップするためのポイントを5つご紹介します。
訪日外国人のニーズを把握する
訪日外国人を集客するには、どのようなニーズがあるのか正確に把握することが大切です。
外国人が訪日旅行に求めるものはさまざまです。大きく分けると、日本での買い物に関わる消費である「モノ消費」と、日本で日本の観光やサービス、文化、習慣などの体験に関わる消費である「コト消費」があります。例えば、中国から訪日した観光客の場合、コト消費では特産物の飲食や自然景勝地観光のニーズが高いという結果が報告されています。また、モノ消費に関してはブランド品や電化製品へのニーズは減少する一方、日用品や化粧品の売れ行きが急増している傾向です。
以上の点を踏まえつつ、訪日外国人向けにアピールできる要素があれば積極的に前面に出していきましょう。飲食店であれば、地元の特産品が使われたメニューがあるとアピールする、近場に自然景勝地があると宣伝するなどの販促方法が有効です。
参考:日本政府観光局『訪日外国人旅行者の消費動向とニーズについて』
ターゲット像をイメージする
同じ訪日外国人でも、国や地域、年齢、家族構成、文化や宗教などによって求めるものは異なります。万人に喜ばれる商品やサービスを提供するのは難しいため、自社の強みや魅力を明確にした上で、ターゲット層を絞ってアピールした方が効率良く集客できます。具体的には、ターゲット層となる人の年齢や性別、国、家族構成、年収、価値観、宗教などを設定したペルソナを作成し、「この人に喜んでもらうためにはどのようなアプローチをすれば良いか」を検討すると、ターゲット層への効果的な集客方法が見えてくるでしょう。
Webサイトやメニューを改善する
店舗のWebサイトやメニューが日本語表記になっていると、訪日外国人はどのような商品やサービスを扱っているのかが一目で判断できず、利用自体を敬遠しがちです。そのため、Webサイトやメニューはワンタッチで言語を簡単に切り替えられる多言語対応のものに変更し、どの国の人が見ても内容がわかりやすい状態にしておきましょう。店頭では多言語対応のタブレットやデジタルサイネージを設置するのも有効です。
従業員の教育を実施する
訪日外国人の多くは母国語を使用するため、店頭または電話での対応や、問い合わせメールへの返信には相手の国や地域に適した外国語を使わなければなりません。特に店頭や電話では、その場ですぐに対応しなければならないため、従業員に対して外国語の教育・指導を行う体制を整えておきましょう。
ただし、外国語の習得には時間がかかるため、まずは日常的によく使用するフレーズや、もしもの場合の対応方法を教えておくと安心です。また、近年は従業員向けのインバウンド研修なども活発に行われているため、教育・指導をアウトソーシングするという方法もあります。
翻訳機を活用する
訪日外国人の中には、複雑なリクエストをしてきたり、クレームを入れてきたりする人も少なくありません。教育を実施していたとしても、このような複雑なケースには対応しきれない可能性があります。可能であれば、従業員が手軽に使える翻訳機を用意することも検討しましょう。翻訳機があれば外国人が話している内容を把握した上で、スムーズかつ適切に返答しやすくなります。
なお、翻訳機にはさまざまな種類があります。必要なシーンでさっと使えるよう、ポケットに収まる程度の小型の翻訳機を選ぶのがおすすめです。
訪日外国人への対応には「POCKETALK」がおすすめ!
イッツコムが提供するPOCKETALKは、手のひらに収まるほどコンパクトなAI通訳機です。小型ながら85の言語に対応しており、AIとの対話によって、まるでその場に通訳がいるかのように外国語を翻訳できます。
言語は国旗を選択するだけで簡単に切り替えられるため、相手がどの言葉を話しているのかわからない場合にも、対応しやすいです。また、お気に入りのフレーズを登録できる機能も具わっているため、よく使うフレーズをあらかじめ登録しておけば、スムーズに接客できます。翻訳結果は画面表示だけでなく音声も出力でき、相手に直接聞かせてコミュニケーションを取ることが可能です。
訪日外国人への集客には「デジタルサイネージ」もおすすめ!
デジタルサイネージとは、店舗の屋内外に専用のディスプレイを設置し、さまざまな情報をテキストや映像として流せるツールです。看板やポスターなどに比べると人目を引く上、映像を切り替えれば複数の情報を配信できるため、多くの店舗で販促や宣伝に用いられています。例えば、空港に設置したデジタルサイネージに周辺の観光スポットやグルメスポットを表示する、商品の近くに小型サイネージを取り付けて商品の魅力や特徴を配信するなどの活用方法があります。
多言語対応のデジタルサイネージを導入すれば、訪日外国人も母国語で情報を確認しやすく、商品やサービスの魅力を効果的に伝えられるでしょう。
まとめ
訪日外国人の数が急速に増えている今、外国人観光客をいかに集客するかは売上・業績を大きく左右する重要なポイントです。訪日外国人集客の方法は複数あるため、自社の魅力や強みを効果的にアピールできる方法はどれか、予算も考慮しながら慎重に検討することをおすすめします。
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