多様なビジネス領域のAI活用事例21選!自社の成長につなげるヒント
目次
AIを自社のビジネスに活用する方法を模索している方も多いのではないでしょうか。AIサービスは多様化しており、特定の業界・業種に最適化されたものも続々とリリースされています。実際にビジネス課題の解決に役立てている企業も豊富です。
この記事では、さまざまなビジネス領域におけるAIサービスの活用事例を解説します。比較的新しい技術・サービスや先行事例を知り、自社の成長につながるAI活用のイメージをより明確にしましょう。
ビジネスにおけるAI活用とは?
ビジネスにおけるAI(人工知能)活用とは、AI技術を駆使して業務効率化や顧客体験の向上、新たな価値創造を目指す取り組みです。AIはデータ分析・予測・自動化・画像認識・音声認識などの分野で優れたパフォーマンスを発揮します。
ChatGPTに代表されるAIサービスは、業界や業種に特有のビジネス課題に対する有効なソリューションとなり得るもので、幅広い領域で活用が進んでいます。大きく報じられる成功事例を目にする機会も増えており、多様なAIサービスから自社に最適なものを選び使いこなせるかどうかが、今後の成長を左右する重要な要素になるでしょう。
6種のビジネス領域におけるAI活用事例19選
AIサービスは、ECサイト運営やSNSマーケティング、需要予測・自動発注、無人店舗運営など、多様なビジネス領域で活用されています。さらにAIとIoTやロボットを組み合わせた事例として、スマートファクトリーやマンション管理・ビル管理の自動化、スマート農業などもあります。
ECサイト運営の効率化や高精度なSNSマーケティング
マーケティング領域では、ChatGPTなど生成AIによるクリエイティブ制作の効率化に加え、さまざまな場面でAIが導入されています。例えば、ECサイト運営の効率化や高精度なSNSマーケティングにより、ビジネス全体のパフォーマンス向上が可能です。
- ECサイトのデータフィードから商品特徴をAIが学習・分析し、ハッシュタグ自動生成や検索サジェストで回遊性・CV率を向上
- AIチャットボットにより問い合わせや注文後サポートを効率化し、キャンペーン情報やクーポン配布を自動化
- PR施策データを学習した生成AIでSNSマーケティングの戦略立案やインフルエンサー選定を行い、感覚頼りの手法から脱却
- SNS広告チェックAIを活用し、インフルエンサーマーケティングのステマ対策を強化して炎上を未然に防止
小売業・卸売業における需要予測と自動発注
小売業や卸売業では、発注や在庫管理が熟練担当者の経験や勘に依存しており、人手不足やノウハウ継承が課題となっています。一方、汎用的な需要予測システムは精度の低さや商品の変動性に対応できない点、予測と発注が連携しない点が問題です。
こうした課題に対し、AI搭載システムを導入する企業では、高精度な需要予測と自動発注を実現し、在庫・発注管理を総合的に改善しています。
- ドラッグストア・調剤薬局チェーン:日配品・特売・季節行事に対応するAI需要予測型自動発注システムを導入。棚割計画と連携して分類単位での在庫・発注量を制御し、発注業務を大幅に削減。商品回転率の向上にも寄与
- 食品・酒類の卸売企業:AI需要予測を自社向けにカスタマイズし、スポット需要に柔軟対応。倉庫規模に応じた在庫・納品頻度の自動制御を実装し、業務品質を保ちながら発注業務時間を半減
ウォークスルー型レジレス店舗など無人店舗運営
無人店舗は、コンビニ、書店、雑貨店、インドアゴルフ、フィットネスジム、コワーキングスペースなど幅広い業態で導入が進んでいます。人件費を抑えつつ24時間営業に対応でき、人手不足の解消、働き方改革、非対面接客や新たな顧客体験の提供など、多様なニーズに応えています。
無人店舗におけるAI活用例は次の通りです。
- 入店時にスマホアプリを専用端末にかざし、商品はAIカメラや重量センサーで識別。退店時に自動キャッシュレス決済されるウォークスルー型レジレス店舗
- AI搭載の顔認証端末で本人確認・入退室を管理し、セルフレジと組み合わせて深夜・早朝のみ完全無人営業とする、有人・無人併用の24時間店舗
- クラウド型防犯カメラと行動認識AIで映像を解析し、不審・異常行動を検知・通知。事件や事故を未然に防ぎ、早期対処を可能に
工場・製造業の課題を解決するスマートファクトリー
工場・製造業は、人材不足の解消、生産性の最大化、熟練工の勘に依存した設備保全や品質管理からの脱却など、多くの課題を抱えています。これらを包括的に解決する手段として、AI・IoT・ロボットを活用したスマートファクトリーの実現が進められています。
国内の工場・製造業におけるAI活用事例は以下の通りです。
- 業務ノウハウを学習したAIが需給(製造)計画や在庫転送計画を自動策定し、業務時間を大幅に削減。属人化を防ぎ、オペレーションリスクを低減
- AI搭載の自律走行搬送ロボット(AMR)が製品や資材をリアルタイムで管理し、工場内物流を省人化。作業負荷を軽減
- 工場システムにAIアルゴリズムを組み込み、設備ごとの不具合発生確率を予測。突発的な故障による生産停止を防ぎ、稼働効率を向上
AIやIoTによるマンション管理・ビル管理の自動化
マンション・ビル管理では、日常清掃員や管理員の確保が難しく、人手不足によるサービス品質低下が大きな課題です。さらに、物件と入居者のマッチング、セキュリティ、建物管理の効率化なども解決すべき問題となっています。
AIやIoTを活用した自動化により、省人化や業務効率化に加えて、顧客満足度の向上も期待できます。具体的な事例は次の通りです。
- AI相性診断や査定で物件と入居者のマッチングを高精度に自動サポート
- 防犯カメラと連動したAI顔認証で入退室管理や属性分析を自動化し、セキュリティ対策とマーケティングを両立
- 入居者からの問い合わせに24時間365日対応するAIコンシェルジュが快適な暮らしを支援
- 管理実務を自動化し、ダブルチェックを行うAI建物管理クラウドで業務負担を大幅に軽減
スマート農業におけるデジタルツインの活用
農業は、従事者の高齢化や後継者不足、耕作放棄地の増加、新規参入の難しさなど、さまざまな課題を抱えています。これらを解決し持続可能な農業を実現する手段として、AI・IoT・ロボットを活用したスマート農業が注目されています。
近年は、ロボットトラクターや営農スマートガイドといった既存技術に加え、デジタルツインの活用も進められています。デジタルツインとは、現実のデータを基に仮想空間に「双子(ツイン)」を再現する技術で、農業における具体例は以下の通りです。
- 農園を移動センシングしたデータを基に栽培環境を仮想空間に再現し、AI解析で植物の気孔まで観察可能にする
- 農園の状況を遠隔で把握し、ドローンやIoT機器を操作して肥料・水・エネルギーの使用量を最適化
- 仮想空間に全天候型バーチャル農園を構築し、異常気象や害虫リスクを予測。ロボットによる摘果や収穫のシミュレーションを実施
ビジネスにおけるユニークなAI活用事例2選
AIサービスは、イノベーション創出が求められるビジネス領域とも親和性が高く、ユニークな活用事例も見られます。ここでは柔軟な発想で活用方法を考えるヒントとして、搭乗操作型ロボットの開発や、収納スペースを変形(最適化)できるAI宅配ボックスの事例を紹介します。
搭乗操作型ロボットの開発をAI活用で効率化
搭乗操作型ロボットの設計・開発・販売を行うツバメインダストリ株式会社は、SF作品のようなロボット「アーカックス」の開発にAIを活用しています。
アーカックスは胸部コックピットに人が乗り込み、ロボットモードと走行モードに変形可能で、人間と同じように5本指の腕を2本備えています。部品点数が多く試行錯誤も必要なため、3Dデータから図面を作成する工程には多くの時間を要していました。
そこで特注部品を短納期で供給できるAIプラットフォーム「meviy(メビー)」を導入。3D設計データをアップロードするだけで自動見積もりが可能となり、開発リードタイムを大幅に短縮。製品の魅力をより深く追求できるようになりました。
宅配便の再配達ゼロを目指すAI宅配ボックス
トラック運転手には2024年4月から時間外労働の上限規制が適用され、物流業は宅配便の再配達が大きな課題となっています。その解決策の一つが宅配ボックスです。
中でも注目されるのが「スマロビAIボックス」です。AIシステムが荷物に合わせて格納スペースを変形(最適化)する仕組みで、限られたスペースを有効に使い、集合住宅にありがちな「適したサイズのボックスが埋まっていて再配達」といった問題を回避します。
さらにIoT監視カメラで24時間荷物を管理し、セキュリティを強化。食品や日用品を24時間購入できる「スマロビAIストア」を併設し、住人の利便性と満足度向上にも貢献しています。
AIサービスをビジネスに活用するメリット
AIサービスは、ビジネス領域に特化したものが次々と登場しています。対応するニーズはサービスごとに異なりますが、主なメリットは以下の通りです。
- 定型業務を自動化し、業務時間を削減。従業員の負担を軽減し、創造的業務に集中できる環境を実現
- 自動化・効率化と24時間稼働により、残業代削減、省力化、人手不足の解消を支援
- 大量のデータをAIが分析し、市場動向や顧客ニーズ、需要・売上・株価を予測。精度の高い意思決定を可能にする
- 豊富なデータ基盤と提案力で、未経験分野への参入や新たなビジネスモデル創出を後押し
- 複雑なセキュリティ業務も正確にこなし、ヒューマンエラーによる事故や不正行為を未然に防止
AIサービスをビジネスの成長に生かすポイント
自社ビジネスの成長にAIサービスを取り入れ、快適かつ安全に運用するためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
- 導入目的の明確化:業務効率化、コスト削減、顧客満足度向上など、解決すべき課題に即した具体的な目標を設定する
- 適切なサービスの選定:汎用型か特化型かを含め、自社のビジネスや目的に合致したサービスを精査する
- 従業員のAIリテラシー向上:学習データの特性や用途、プロンプトのコツ、先行事例など必要な知識を周知する
- 運用ルールの策定:情報漏えいや誤情報の発信、著作権侵害を防ぐため、安全な利用ルールを整備し周知する
- 利用環境の整備:安定利用とセキュリティ確保のため、デバイスやネットワーク、監視体制を準備する
AIサービスの安定・セキュアな運用に必須の通信環境整備ならイッツコム!
AIサービスを導入するに当たって必要な準備の1つに、通信環境の整備を挙げられます。イッツコムなら「かんたんWi-Fi」と「モバイル閉域接続」により、AIサービスを施設内外で安定・セキュアに運用する環境を整備できます。
「かんたんWi-Fi」で施設内のAIサービス活用を安定化
オフィス・店舗・工場でAIサービスの活用が進むと、ネットワーク帯域が圧迫され、分析や自動化のパフォーマンスが低下することがあります。特にモバイルデバイスやIoT機器と連携する際は、Wi-Fi環境の不備によるトラブルに注意が必要です。
こうしたWi-Fi通信の安定化には、業務用Wi-Fiアクセスポイント(AP)を安価にレンタルできる「かんたんWi-Fi」の導入がおすすめです。施設の形態・構造を問わず、届いたAPを設置しケーブル接続するだけですぐに使用できます。
「ハイエンド6」プランでは、高速・高セキュアなWi-Fi6に対応し、1APで最大100台まで快適・安全に接続可能。ゲストWi-Fi機能も備えており、業務用と来客用のネットワークを分離してフリーWi-Fiを提供できます。
【関連記事:アクセスポイントとは?LANの仕組みや機器の機能も一挙解説】
「モバイル閉域接続」で施設外からのセキュアなAIサービス活用
AIサービスは基本的にクラウド型です。リモートワーカーなどがスマホアプリから操作することも、連携するIoT機器などを遠隔操作することもあるでしょう。AI活用の利便性や効率性を高めるなら、施設内外を問わず快適にアクセスできる環境を整えるのが得策です。ただし施設外からアクセスする場合、セキュリティには注意を要します。
イッツコムの「モバイル閉域接続」であれば、モバイル通信・セキュリティ対策のニーズに1つのサービスで対応できます。こちらは法人データSIMと閉域網接続を組み合わせたサービスです。
専用SIMカードを挿入したデバイスは、インターネットから隔離された閉域網を経由して拠点のLANに接続し、インターネット接続の際は閉域網とLANを経由します。常に閉域網を経由するためセキュリティを確保でき、通信ログの取得によりセキュリティポリシーの保持にも役立ちます。
AIに関連する他のトピックが気になる方はこちら!イッツコムが詳しく解説
【クラウドAI×ビジネス】クラウドAIとは?メリットや導入時の注意点を知り業務に生かす
クラウドAIはクラウドベンダーのリソースを活用し、サーバ管理不要で高度なAI機能を安価かつ迅速に導入できる点が大きな魅力です。自動運転や需要予測、スマート農業、パーソナライズドマーケティングなど幅広い分野で活用され、業務効率化と生産性向上、新たな価値創出を実現します。ただし通信環境やセキュリティリスクには注意が必要で、信頼できるサービス選定が成功の鍵となります。
以下の記事では、クラウドAIについても詳しく解説しています。
【関連記事:クラウドAIとは?メリットや導入時の注意点を知り業務に生かす】
まとめ
ビジネス向けのAIサービスは多様化しており、さまざまな業界・業種に特化したものが続々とリリースされています。ECサイト運営・SNSマーケティングの効率化、需要予測と自動発注、施設管理の自動化・省力化など、AI活用によりさまざまなビジネス課題の解決を目指せます。
AIサービスの本格活用に当たり、より安全で快適な通信環境が必要になることもあるでしょう。通信環境の強化をお考えなら、業務用Wi-Fiサービスにもモバイル・IoT端末向け閉域網回線にも対応できるイッツコムにご相談ください。