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AI活用で接客を省力化・省人化!実現する方法と活用事例を解説

接客業をはじめ多くの業界で人手不足が深刻化する中、業務効率や生産性の向上を目的に、AIによる省力化・省人化を検討する企業が増えています。しかし、AIは導入するだけで自動的に効果が出るわけではなく、活用領域の見極めや運用設計を誤ると、期待した成果が得られないケースも少なくありません。

本記事では、AIが省力化・省人化にどのように貢献するのかを、レジレス店舗・配膳ロボット・AIチャットボット・ダイナミックプライシングなど具体的な事例を交えて解説します。業界別のAI活用パターンや著名企業の成功例を参考にしながら、自社の課題解決につながるヒントを探っていきましょう。

省力化・省人化とは?AI活用が注目される理由

省力化と省人化は似た概念ですが、「省力化を進めた結果として省人化が実現する」という関係で捉えることができます。人手不足や生産性向上といった課題への対応として、特にAIを用いた省力化・省人化のアプローチが注目されています。

まずは両者の意味と目的の違い、そしてAI活用が求められる背景を解説します。

省力化と省人化の意味・目的の違い

省力化と省人化はいずれも作業負荷を減らす取り組みですが、目的には以下のような違いがあります。

  • 省力化:無駄をなくし業務効率化を進め、一人ひとりの作業負担を軽減し、品質や安全性の向上を図る
  • 省人化:定型作業をAIやロボットに置き換え、人員の削減や、空いた人材を創造的な業務やコア業務に充てることを目指す

省力化は「労力の軽減」が目的であり、人員削減を伴うとは限りません。一方、省人化は省力化の先にある段階で、作業の無駄が減ることで1人あたりの作業可能量が増え、人員配置の最適化が可能になる状態といえます。

AI活用による省力化・省人化が求められる背景

省力化・省人化は、人材不足に直面するあらゆる業界にとって重要な取り組みです。少子高齢化による労働人口の減少に加え、働き方や待遇への不満、需要増加などの影響で、多くの企業が人材確保・定着、生産性向上を課題としています。

その解決策として注目されているのがAIです。例えば、AI-OCR・RPA・会計システム連携による経理処理の自動化や、AIチャットボットを活用したナレッジ検索・問い合わせ対応の効率化などがあります。定型業務を自動化し、限られた人員で高品質なサービスを維持するために、AI活用の重要性が高まっています。

【業界別】AI活用で省力化・省人化を実現する具体的な方法

AI活用による省力化・省人化は、業界によって使用するツールやアプローチが異なります。複数のツールやIoT機器を組み合わせることで、業界特有の課題を総合的に解決することも可能です。

ここでは、小売・コンビニ業や飲食業など、特に接客を伴う業界における具体例を解説します。

小売・コンビニ業におけるAI活用

小売・コンビニ業界では、AIカメラやセンサーを用いた「レジレス店舗」や、在庫補充・発注の最適化が急速に進んでいます。AIが顧客の動線や購入行動を解析し、入退店から決済まで自動化できる仕組みが整いつつあり、店員が常駐しなくても店舗運営が可能になりつつあります。人手不足が続く中で、夜間や早朝など人員確保が難しい時間帯でも運営を維持しやすくなる点は大きな利点です。

また、多言語対応のAIアシスタントは、外国人客への接客や、外国人スタッフへの教育・サポートにも役立ちます。AI活用による省力化・省人化は、店舗運営の柔軟性を高めながら、スタッフの負担軽減と顧客満足度向上を同時に実現する有力な手段といえます。

飲食業におけるAI活用

飲食業では、注文・配膳・調理の各工程にAIが導入され、店舗全体の省力化が進んでいます。AI通訳機やセルフオーダーシステム、配膳ロボット・調理ロボットの活用により、ホール・キッチン双方の作業時間を大きく削減できます。

さらに、AIによる需要予測・自動発注・予約管理システムを組み合わせることで、店舗運営業務の多くを自動化・効率化することも可能です。こうした取り組みにより、人手不足の解消やオペレーションの均質化など、飲食店が抱えるさまざまな経営課題の改善が期待できます。

ホテル・旅館業におけるAI活用

ホテルや旅館では、顔認証などのAI技術を用いたチェックイン・チェックアウトの自動化が進み、受付業務の省人化に貢献しています。スマホで利用できるAIコンシェルジュや、客室のAIスピーカーによる施設案内・観光情報提供など、接客サポートも拡大しています。

予約受付ではAIチャットボットが一次対応を担うなど、問い合わせ業務の省力化も可能です。さらに、AIによるデータ収集と需要予測は、ダイナミックプライシングの効率化や収益最大化にも役立ちます。定型業務がAIで効率化されることで、スタッフは「おもてなし」向上に注力できるようになります。

交通・観光施設におけるAI活用

空港・駅・商業施設・観光地では、多言語対応サイネージやAI通訳、AIアバターによる音声案内が導入され、省力化・省人化が進んでいます。画像解析やデータ分析を行うAIは、混雑状況・気象情報・行動履歴などをもとに、利用者へ最適な回遊ルートを提案することも可能です。

特定施設だけでなく、地域全体でデータを共有し観光施策を最適化するような広域的な取り組みも活発化しています。観光資源の活用と、人手不足・オーバーツーリズム対策の両立を支える基盤として、AIは観光業界の持続可能性を高める重要な役割を担っています。

省力化・省人化にAIを活用する事例4選

続いて、小売・コンビニ業、飲食業、ホテル・旅館業、交通・観光施設における、AI活用で省力化・省人化を実現している具体的な事例を紹介します。業界が異なっても、ツールの活用法や課題解決の考え方は自社の取り組みにも応用できる部分があるでしょう。

ファミリーマート × TOUCH TO GO

株式会社ファミリーマートは、株式会社TOUCH TO GOの無人決済システムを活用し、オフィスビル、駅構内、市役所、学校関連施設、商業施設、従業員休憩スペースなどに50以上の無人決済店舗を展開しています。

来客は会員登録不要で入店でき、手に取った商品をAIカメラと重量センサーが自動認識し、スキャン操作なしで会計が完了します。スタッフによるレジ作業や精算業務が不要となり、品出しと清掃のみで安全な無人運営を実現しています。人手不足を解消しつつ、利用者の利便性向上も両立した、省人化の代表的な事例といえるでしょう。

NECプラットフォームズ:FoodFrontia

NECプラットフォームズ株式会社は、飲食店向けPOSシステム・オーダーエントリーシステム「FoodFrontia」を提供しています。注文から会計、調理指示、本部管理までを一体化し、AIやロボットとの連携により飲食店の省力化・効率化を支援しています。

主な特徴は以下の通りです。

  • POSシステムはレストラン、居酒屋など幅広い業態に対応
  • ハンディターミナルにより、注文受付から調理指示、会計までを連携して業務を効率化
  • セルフオーダー、モバイルオーダー、セルフ会計POS、FoodFrontia KIOSKで省人化・非接触運営を実現
  • AI電話予約やマルチ配膳ロボットとの連携により、さらなる省力化を推進
  • 本部システム(FoodFrontia Pro SA)が売上・経費を一元管理し、データ分析による経営改善を支援

倉敷アイビースクエア:ダイナミックプライシングAI

複合観光施設「倉敷アイビースクエア」では、施設内ホテルの宿泊価格をAIで算出し、価格設定の効率化と最適化を進めています。従来はベテランスタッフの経験と勘に頼っていましたが、コロナ禍以降の需要変動により限界を感じ、AIによるダイナミックプライシングを導入しました。

蓄積データを用いた需要予測や周辺イベント情報を基に、AIが適正価格を自動算出することで、属人化が解消され、売上機会損失の改善にもつながっています。価格設定業務の時間を約30%削減できたほか、前年比の売上が10%増加し、客室平均単価も5%向上しました。

大阪観光局:生成系AIチャットボット

大阪観光局は、大阪公式観光情報サイト「OSAKA-INFO」にて、従来のAIチャットボットから、ChatGPTをカスタマイズした多言語対応の生成系AIチャットボットへ切り替えました。
24時間無人で旅行者の言語に合わせて案内できるため、観光案内所やコールセンターの負担を軽減しつつ、利便性を向上しています。700以上の観光スポット情報をもとに案内を行うことで、オーバーツーリズム対策にも貢献しています。

また、広域観光連携や周遊ルートの開発をさらに推進する取り組みとして、石川県・滋賀県・奈良県・鳥取県・高知県・大阪府の6府県が共同で実証運用する「めぐろっと」も注目されています。ユーザーの興味や気分、空き時間や交通手段をAIが分析し、3,000以上の観光スポットから最適な周遊ルートを提案できる仕組みです。

AI活用で省力化・省人化を目指す際に必読のイッツコム記事3選

AI活用による省力化・省人化を進めるには、「AIで何ができるのか」を正しく理解することが欠かせません。導入後に期待した成果が出ない事態を避けるためにも、中長期的なリスク管理や運用体制の準備が重要です。業界によっては、将来的に無人店舗の運営まで視野に入るケースもあります。

ここでは、イッツコムのコラム記事の中から、AI活用の発想づくりや運用設計に役立つ3記事を紹介します。

自社の成長につながるAI活用事例21選

「AIを導入したいが、自社に合う活用方法が分からない」という課題は多くの企業に共通しています。以下の記事では、ECサイト運営、小売業・卸売業の省力化・省人化をはじめ、スマートファクトリーやスマート農業など、幅広い業界の課題とAIによる解決策を紹介しています。AIの活用可能性を俯瞰し、自社での応用を検討する際のヒントが得られる内容です。

【関連記事:多様なビジネス領域のAI活用事例21選!自社の成長につなげるヒント】

AI導入のパターンや流れを徹底解説

AIを導入しても、「思ったほど効果が出ない」「運用が定着しない」といった課題は珍しくありません。接客業や観光業のように「人とAIの共存」が鍵となる現場では、どこまでAIに任せ、どこを人が担うのかという切り分けも重要です。

以下の記事では、AI導入の進め方をパターン別に整理し、各フェーズでの留意点を詳しく解説しています。セキュリティ面の不安を解消するための環境整備にも触れており、さまざまなリスクを適切に回避しながら運用体制を構築する際に役立つ内容です。

【関連記事:AI導入のパターンや流れを徹底解説!失敗を避けるためのポイントも】

AI・IoTを活用した無人店舗のビジネスモデルとは?

小売業やサービス業で省力化・省人化を進めていくと、将来的には店舗の無人化を検討する段階に至る場合があります。以下の記事では、AI・IoTを活用した無人店舗の仕組みやビジネスモデルを分かりやすく解説しています。

メリットだけでなくデメリットや課題にも触れており、接客や会計業務を自動化しつつ、顧客体験を損なわない運営方法を学べます。人手不足の懸念を和らげ、さらなるビジネス展開を検討する際のヒントとなる内容です。

【関連記事:無人店舗のメリット・デメリットやビジネスモデルの具体例を徹底解説】

まとめ

AI活用による省力化・省人化は、人手不足が深刻化するあらゆる業界で、柔軟な組織運営やサービス品質の維持・向上を実現するための重要な取り組みです。小売業・飲食業・観光業など接客を伴う業界では、注文・会計・在庫管理・問い合わせ対応といった定型業務の自動化がすでに進み、運営負荷の軽減と顧客満足度の両立が可能になっています。お勤めの企業での人手不足が深刻な場合は、AIの特性をよく理解した上で、積極的に活用し、省力化・省人化に取り組みましょう。