無人店舗のメリット・デメリットやビジネスモデルの具体例を徹底解説
目次
人材不足や不動産活用に課題を抱えており、無人店舗のビジネスモデルについて理解を深めたい方もいるのではないでしょうか。
無人店舗は省力化による店舗オペレーションの改善などに役立ち、さまざまな業種・業態で活用が広がっています。ただし設備投資や運用中のトラブル対応など、無人店舗ならではの課題があることは注意点です。
そこでこの記事では、無人店舗のメリット・デメリットやビジネスモデルの具体例について紹介します。
無人店舗のビジネスモデルとは?
無人店舗とは、商品・サービスの提供を自動化し、常駐スタッフを配置せずに運営する店舗です。一般的には、スマートロック・カメラ・センサーといったIoT機器や各種管理システムを用いて店舗を遠隔管理し、受け付けや支払いなど接客時に必要となる業務を無人化するものを指します。
人手が必要となるのは清掃や商品補充などバックヤード業務のみで、店舗運営を効率化・省力化できるのが魅力です。小売業界をはじめ、コワーキングスペースやフィットネスクラブ、ホテルなどさまざまな業種・業界において、無人店舗を活用したビジネスモデルが生まれています。
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無人店舗のビジネスモデルを採用するメリット
無人店舗は人材不足の解消や24時間営業・多店舗展開、経理業務の効率化などに役立ちます。有人店舗に比べて顧客情報の分析が容易で、遅延やミスのないオペレーションにより顧客体験の向上も期待できるのがメリットです。
人手不足を解消して24時間営業も容易になる
無人店舗のビジネスモデルは人手不足の解消や24時間営業に役立ちます。
少子高齢化の進行により日本の生産年齢人口(15~64歳の人口)は減少し続ける見通しで、労働力の減少は深刻な問題です。すでに小売業などでは店舗スタッフの確保に悩まされている企業も多いでしょう。
無人店舗であれば、常駐スタッフを雇用する必要がありません。限られた人材のシフト調整や夜間スタッフの確保に悩まされることなく、24時間営業にも対応しやすくなります。
人件費削減で多店舗展開も有利になる
店舗運営コストのうち、人件費は大きな割合を占めます。無人店舗のビジネスモデルなら人件費を大幅に削減でき、常駐スタッフの採用・教育の手間やコストもかかりません。特に人件費が高い業種・エリア・時間帯での店舗運営には、多大なコストカットが期待できるでしょう。
出店・運営の経営リスクを下げつつ、利益が出やすくなるのは大きなメリットです。無人店舗運営のビジネスモデルを確立すれば、同じシステムやオペレーションを流用して多店舗展開も考えやすくなります。
省スペース展開や経理業務の効率化に役立つ
無人店舗のビジネスモデルは省スペースで展開でき、経理業務の効率化に役立つことも魅力です。
例えばカメラやセンサーを組み合わせたウォークスルー決済、スマホアプリで完結する施設予約・決済システムなどを取り入れれば、店舗内にレジや受け付けは必要ありません。レイアウトに無駄のない小規模店舗を構えやすく、遊休スペースに店舗機能を追加することも比較的容易でしょう。
支払いをキャッシュレス決済のみにすることで、店舗で現金を扱うことがなくなり、経理業務の効率化にも役立ちます。
顧客情報やインサイトの分析が容易になる
顧客情報の収集・分析や活用が容易になることも、無人店舗のビジネスモデルを展開するメリットの1つです。一般的に有人店舗では顧客関連データを収集しにくく、顧客分析のために断片的な属性情報などを人手で入力・整理することもあるでしょう。
無人店舗であれば店舗内に設置したカメラやセンサー、予約・決済システムや入退室管理システムなどにより、顧客情報が自動的に蓄積されます。AI搭載ツールと連携した自動分析もしやすく、さまざまな情報を顧客属性と関連付け、ニーズや課題を把握しやすくなることが魅力です。
重要なインサイトを得られるようになれば、新規商品・サービスの開発や効果的なプロモーション、次の出店エリアの選定などを検討しやすくなるでしょう。
遅延やミスのないオペレーションで顧客体験の向上も
無人店舗のビジネスモデルは顧客体験の向上にも役立ちます。有人店舗の場合、常駐スタッフのスキル不足による受け付け・支払いの遅延、ヒューマンエラーによる入力ミスや釣り銭の間違いなども起こるでしょう。
無人店舗なら受け付けやレジ待ちの時間を大幅に短縮でき、スムーズにサービス利用や商品購入ができます。コワーキングスペースや宿泊施設などの場合、スマートロックを採用すれば物理鍵の受け渡しも必要ありません。また「店員に話しかけられるのが苦手」という客も気兼ねなく店舗を利用でき、さまざまな面で利便性・満足度の向上を期待できます。
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無人店舗のビジネスモデルで注意したいデメリットと課題
店舗の無人化にはさまざまなメリットがある一方、いくつかの注意点もあります。例えば、IoT機器などの設備投資が必要になることや、消費者が施設利用をためらう場合もあることです。運営の課題として、セキュリティリスクやアクシデントへの対応を挙げられます。
初期費用がかさみやすい
無人店舗は店舗運営のランニングコストを抑えられる一方、初期費用はかさみます。店舗オペレーションの自動化や遠隔管理のために、カメラ・センサーや入退室管理システムなど、さまざまなIoT機器・システムの導入が必要です。
機器購入やシステム開発にはまとまったコスト投下を要するため、機器レンタルあるいはクラウド型ツールなど、サブスクリプション型サービスの利用も検討しましょう。
またビジネスモデルによっては、無人店舗向け商品の開発、大量生産のための工場設備なども必要になる場合があります。資金に余裕がない場合はレンタルスペース事業など、なるべく初期費用がかからないビジネスモデルを採用することも検討しましょう。
消費者が施設利用をためらう場合も
消費者にとって心理的なハードルが高い場合もあることは、無人店舗の経営リスクの1つです。無人店舗は入退場を管理するゲートシステムや、キャッシュレス決済のシステムが導入されることもよくあります。各システムは店舗によって仕様や組み合わせが異なり、事前の会員登録やユーザーによるデバイス操作が必要なことも多いでしょう。
消費者のデジタルリテラシーによっては「入退場や決済ができない」というトラブルも考えられます。しかし完全無人運営の店舗の場合、利用方法が分からなくても店舗スタッフに確認できません。
ビジネスモデルによっては初回利用時の説明やトラブル対応ができるスタッフを配置したり、利用方法を店頭壁面に分かりやすく掲示したりするなど、誰でも簡単に利用できる配慮が求められるでしょう。
セキュリティリスクやアクシデントへの対応が課題
無人店舗の課題として挙げられるのは、セキュリティリスクやアクシデントへの対応です。基本的なセキュリティリスクとして、店舗や個室への不法侵入、商品・備品の盗難や破損などが考えられます。セルフレジの場合は来客のうっかりミスによる読み取り漏れもあるでしょう。
スタッフが不在の場合、こういったトラブルに即時に対応できません。基本的なセキュリティ対策として、監視カメラ・センサー・入退室管理システムなどの整備は必須です。無人販売所の場合は入退場ゲート式にすることも検討しましょう。
またスマートロックは、オートロック機能により室外に締め出されてしまうこともあります。施解錠の遠隔操作ができるなど、アクシデントに対応しやすい製品・サービスを選ぶとよいでしょう。
無人店舗を採用したいビジネスモデルの具体例
無人店舗を活用したビジネスモデルは、フレキシブルオフィス(シェアオフィス)や宿泊施設(無人ホテルや民泊)、フィットネスジムやインドアゴルフなどで実現されています。自社でオリジナルのサービスを展開することもできますが、さまざまな業種・業態でフランチャイズ本部と提携することも可能です。
フレキシブルオフィス(シェアオフィス)
コワーキングスペースやレンタルオフィスなどのフレキシブルオフィス(シェアオフィス)は、空き物件や遊休スペースを無人店舗として有効活用できる方法の1つです。空間を貸し出すレンタルスペース事業であるため、小売業や宿泊業などに比べ低リスク・低コストで参入でき、注目を集めています。
予約・決済システムやスマートロック・AIカメラなどを整備すれば、人件費を抑えて24時間の無人運営が可能です。各区画をスマートロックで施解錠することで、個室や会議室などを時間貸しで柔軟に提供できます。
ワークスペースは机・椅子やWi-Fi環境などの最低限の設備があれば提供できるため、遊休スペースの一角に個室ブースを設置するなど、省スペースで提供できることも魅力です。
宿泊施設(無人ホテルや民泊)
ホテルや民泊などの宿泊施設は、24時間無人営業にすることも、日中のみフロント1名体制にすることもできます。例えばスマートロックや予約・決済システムを導入し、セルフチェックインの仕組みを作ることで、フロントの無人化が可能です。
鍵の受け渡しが不要になる他、物理鍵やカードキーの閉じ込みや紛失・盗難も防止し、スムーズかつ安全な宿泊サービスを提供できます。エレベーターをオートロック化し、宿泊客以外の不正侵入を防止することも可能です。
人件費を削減することで内装やサービスに余力を割けるようになり、非対面・非接触で満足度の高い宿泊施設を効率的に運用できるでしょう。
フィットネスジム
一般的なフィットネスジムは利用料金が高くなりがちですが、無人店舗にすれば人件費削減により低料金で運営しやすくなり、ジム初心者層の入会ハードルを下げられます。
例えばスマートロックや予約・決済システムを導入すると、受付業務や予約管理業務の省力化が可能です。マシントレーニングに特化すれば、常駐スタッフもトレーナーも常駐する必要がありません。これにより低価格で長期継続しやすい24時間営業のフィットネスジムを提供できます。
完全個室型で集中してトレーニングができる仕組みや、スマートミラーでAIトレーニングができる仕組みなどを取り入れれば、無人店舗の利点を生かして満足度を高められるでしょう。
インドアゴルフ
24時間営業の無人インドアゴルフを提供することも可能です。導入するゴルフシミュレーターによっては、スイング練習だけでなく、ラウンド・パターや上達分析にも対応できます。
予約・決済システムやスマートロックにより打席を遠隔管理し、打席予約時に希望者のみインストラクターを予約する仕組みとすることも可能です。
無人店舗とすることで低料金で提供しやすくなる他、完全個室型にすれば人目を気にせずゴルフ練習に集中でき、初心者でも利用しやすくなるでしょう。賃料の高い都心部の場合、1室のみなど小規模店舗の運用も可能です。
その他フランチャイズ経営など
他にも無人店舗はさまざまなビジネスモデルが考えられます。例えば以下のようなものです。
・コインランドリー
・トランクルーム
・無人販売(飲食販売)
・セルフエステ
・外貨両替機
これらの業態はフランチャイズ経営で開業できるビジネスモデルが生まれており、フランチャイズ本部が設備の導入や商品の補充などをサポートすることで、比較的低コストに参入できます。業態によっては遊休スペースの一角を活用したり、他の無人店舗と組み合わせたりすることも可能です。
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まとめ
無人店舗は人材不足の解消や効率的な24時間営業などを叶え、ビジネスモデルを確立すれば多店舗展開にも有利です。フレキシブルオフィス・宿泊施設・フィットネスジムなど、さまざまな業種・業態で無人店舗が展開されています。常駐スタッフを配置しない店舗オペレーションには、IoT機器や管理システムの導入が必須です。
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